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エッセイ

常識の路上

私自身「常識」という言葉は好きではない。もっとも「常識」という言葉もあるのだが「世間一般」や「普通」といった言葉にも似ていることがある。とどのつまり「常識」は場所もあれば、時間軸、さらには人の価値観によって大きく変わるのである。そのことからそういった言葉を振りかざす人をどうしても信用することができない。 私事はさておき「常識」という言葉をひとえに言っても冒頭にも述べたように「場所」にも異なりがみら […]

六月の夜と昼のあわいに

本書が出版されたのは10年近く前の話だが、作家の名前だけでいえばホットな人物と言える。というのは先日「蜜蜂と遠雷」で第157回直木三十五賞を受賞したからである。この受賞までに何度もノミネートされるも選ばれないことがあり、ようやくの受賞となった。 ちなみに本書は短編集で様々な趣の作品が収録されている。方や淡い恋を描いているものもあれば、方や仄暗い雰囲気で流れていく作品、さらには人間関係が刻々と変化し […]

二度寝とは、遠くにありて想うもの

本書は著者自身が朝日新聞・京都新聞・日経ビジネスオンラインをはじめとした数多くのメディアにて掲載したエッセイを1冊にまとめたものである。展覧会のことから、オリンピック、旅や日常で移動する電車などが綴られている。 著者は芥川賞作家であることから作家にまつわるエピソードも充実している。主にどのような環境で小説を描いているのか、その描いている中で何が必要なのか、必要なものを購入するためにどこの店(具体的 […]

女もたけなわ

新年会のシーズンである。昨年の忘年会ほどの盛り上がりではないのだが、新年を迎えたことでどんちゃん騒ぎとなり、締めには「宴もたけなわではございますが」とあいさつして宴が終わりとなる。ちなみに「たけなわ(酣)」とは、 「物事の一番の盛り。真っ最中。」(「大辞林 第三版」より抜粋) とある。宴も盛り上がっている中失礼しますがという意味もある。ちなみに本書もタイトルも「たけなわ」であるが、女性の文字のある […]

小川宏の心に残るいい話

「小川宏ショー」などで知られる名司会者であり、アナウンサーの小川宏氏が昨月29日にこの世を去った。90歳の大往生だった。その小川宏氏の足跡は長らくテレビの世界ではその名を知る人はいないほどだったという。その長いアナウンサー・司会者の生活の中でどのような交友関係を築き、なおかつエピソードを築き上げて行ったのかを綴ったのが本書である。 第1章「こだわり好きな人々」 こだわりは誰しも持っているかもしれな […]

本にだって雄と雌があります

私自身これまで数千冊の本を読んできたのだが、本に「雄」と「雌」があることは私も知らなかった。とはいっても本には本の「性格」や「種類」があり、相性もあり、なおかつ関連性もある。それが「雄」「雌」となっている部分もあるのかもしれない。 本書の舞台は現代における「旧家」と呼ばれる家の中の書斎である。その書斎には数多くの本が揃えられているのだが、禁忌があるという。それは「みだりに本棚の本の位置を変えてはい […]

もしも君に会わなかったら

「君」の正体は著者の妻のことを指している。しかしその「君」は読み手にもどのような人なのか、状況と人とを照らし合わせて考えてみることによってその読み手それぞれの面白さが引き立つことができるようになる。 ちなみに本書は著者自身の最愛の妻の長い結婚生活と別れ、そして現在について書かれたエッセイ集である。そのエッセイには一つ一つの思い出が詰まっており、なおかつもしも自分に妻がいるとしたらどのような愛妻生活 […]

決意とリボン

元々著者はコピーライターとして活躍し、その後小説家・エッセイストとして多くの著書を世に送り出すなどの活躍を果たした。そのほかにもコメンテーター活動も含めてテレビにも出演しており、まさに「引っ張りだこ」と呼ばれる作家の一人として挙げられている。 その引っ張りだこの作家として挙げられている。その作家が政治に関すること、テレビに関すること、テレビの中でも出演しての裏側と視聴しての雑感など両方の側面を持っ […]

泣いたの、バレた?

本書は2013年5月~2014年5月に「週刊現代」で連載されていたエッセイを収録されたエッセイ集である。この時代は安藤美姫もあれば、紅白歌合戦、三陸鉄道、ソチオリンピックなどの時事的な出来事もあれば、著者の普段の生活の中で思ったこと、感じたことを取り上げている。 テレビのこと、お芝居のこと、旅行のこと、仕事のことなどありとあらゆることすべて裾野を広げると幅広いのだが、一つ一つ著者ならではの気付きや […]

蚕食鯨呑――世界はおいしい「さしすせそ」

本書で取り上げている四字熟語はそのまま文章にすると、 「ときに蚕のように食べ、ときに鯨のように呑む」 とある。こういった四字熟語は飲み食いのことを言っているように見えて、実は食べるように国を侵略するようなことを形容して表したものである。しかし本書はそのままの意味で、食べ物・飲み物がたくさん出てくるエッセイ集である。 しかし取り上げられる「飲み物」「食べ物」は日本だけではなく世界中のおいしい飲み物・ […]