CATEGORY

短編集

少女奇譚 あたしたちは無敵

人は誰しも不思議なことに出くわすことはある。それは頻度・度合い関係なく、である。本書はその中でも少女たちが多かれ少なかれ「不思議」なことに出会ったことを綴った短編集である。 日常から非日常へと移り変わる刹那、少女たち自身の意識も変わっていく。秘密を持ちながらも、「無敵」と思えてしまうのだが、少女たちには荷が重いような運命も起こり当て、それを乗り越えていく描写は何とも言えなかった。 現実からかけ離れ […]

おとぎカンパニー

世の中には色々なおとぎ話がある。そのおとぎ話は実際の所残酷な話を上手い具合にデフォルメにして子どもも楽しめるようにしたためているものが多くある。 そのおとぎ話を「会社」に見立てて、物語にした短編集というよりも「ショートショート」と呼ばれる超短編集にしたのが本書である。おとぎ話の「夢」の側面と、会社や社会と言った「現実」の側面を如実に表しているような気がしてならなかった。 もっとも会社をショートショ […]

グローバライズ

本書のタイトルなのだが、どうも「グローバリズム」を捩っているようにしか思えない。そもそも世界的・地球規模を意味しているのだが、そういった小説はなかなか見つからない。 もっとも本書は短編集であり、世の中のありとあらゆることなどを短編にして、一冊にまとめ上げている。しかしながらジャンル自体が多岐にわたっており、中には日本語で書いていない所もある(ちなみに何語で書いてあるのかは本書を見るとすぐ分かる)。 […]

怪談のテープ起こし

何度か知り合いに頼まれて講演や打ち合わせなどのテープ起こしを行ったことがあるのだが、聞いた内容を文字にすると言った単純作業がテープ起こしである。しかし本書のタイトルを見ると「やりたくない」と思ってしまうようなものである。 本書はおどろおどろしいような怪談をいくつか収録している短編集であるのだが、一つ一つの物語に怖いところが散りばめられており、背筋が寒くなるような感情に陥ってしまう。 実際にその物語 […]

世事は煙の如し 中短篇傑作選

本書のタイトルの一部である「世事」とは、 「1.世の中の事。処世の事。  2.僧が、通常の食事以外にとる食事。  3.世帯のこと。家事。また、食事。」(「広辞苑 第七版」より) とある。食事という意味合いが多いのだが、実際には「家族」や「世帯」といったものがあり、男女の関係を表している。男と女の関係は全く関係ないように見えて恋人同士や夫婦など、紐解いていくと色々とある。 本書は男女関係を基軸にした […]

ラジオ・ガガガ

私自身テレビはあまり見ない。その代わりラジオを聞くことが頻繁にある。ごく最近ではニコニコ生放送で行われたり、インターネット配信しているようなラジオもあり、それを聞くことが多くなったのかも知れない。テレビのように見ることによって行動を奪うことなく、何かをしながらの片手間に情報を得たり、面白く聞いたりすることがあるため、重宝している。 本書はその「ラジオ」をテーマにした短編集であるのだが、取り上げられ […]

スクロール

本書は短編集であるのだが、その短編集は「青春」と言う言葉がギュッと詰まっている短編集と言える。短編一つ一つには学生や社会人、といった舞台や年齢層は異なるものの、一直線に仕事やプライベートを突き進むというような状況にあることを感じ取れる。 本書のタイトルである「スクロール」は何を意味しているのか、短編集のタイトルの一つであるのだが、仕事の場では思い通りに行かずくすぶっていた中で事件が起こり、そこから […]

赤へ

人間における「本当」というのは何か、そこには「本性」というのがある。もっともそれが表れるのは極限の状態、それも「生」と「死」と言う言葉に直面するような場面によって出てくるのかも知れない。 本書はその「生」と「死」を描いた短編集である。その生死はなんとも生々しく、なおかつ不穏さもはらませているような部分も多くある。しかも生死との出逢い方もそれぞれ、年代もそれぞれでありながら、その「それぞれ」さが読ん […]

小型哺乳類館

色々な動物が存在するのだが、その中では小さなかわいい動物が存在するという。そもそも小型の哺乳類にはどのような種類があるのか、小さな哺乳類を主軸とした12の物語である。 もちろん小動物であるため、かわいさもあり、なおかつ独特の動物の生態も描かれているのだが、実際に小動物なのかと思いきや、マンモスなど口が裂けても「小動物」の部類に入らないような動物まである。 とはいえ、小さなマンモスであれば小動物と言 […]

曲がり木たち

人間は木と同じようにそれぞれの「成長」がある。その成長は真っ直ぐとした成長もあれば、様々な曲がり角にあるような成長の姿を見せることがある。 本書のタイトルにおける「曲がり木」と呼ばれるのは、人間で言う所では何らかのハンディ(障害)を抱え、成長していくという日常小説である。 私自身も中学時代にハンディを抱えている方々と交流があったのだが、その交流を通じてそれがあったとしても普通の人間のように生活し、 […]