CATEGORY

短編集

西洋菓子店プティ・フール

お菓子は俗に「嗜好品」と呼ばれており、無くても生きてはいけるものの、衣食住の幅をきかせるなかでは、なくてはならないものの一つでもある。またお菓子と言ってもスナック菓子はもちろんのこと、洋菓子・和菓子など大きなカテゴリーがあり、種類も豊富にあるため、お菓子好きであれば色々と食べても飽きない。 しかしそのお菓子にも「物語」が存在する。そこで本書である。本書は頑固なおじいちゃんと、パティシエールとの奮闘 […]

イルミネーション・キス

季節は11月。そろそろクリスマスに向けて色々なイルミネーションが見られるようになる。そのイルミネーションでときめくようなデートなどのシチュエーションを連想する部分もあるのだが、その中でも本書は「キス」を題材にした短編集である。 本書で取り上げられている5つの「キス」のほとんどは女性から見たものを描いているのだが一つ一つの世界が幻想的であり、もちろん現実にも限りなく近い形で描かれている。なおかつキス […]

忍土

それぞれの土地にはそれぞれの「愛」がある。もちろんその「愛」の形は全国津々浦々の違いもあれば、その男女の性格の違いにも表れる。その中でどのような恋愛模様があるのか、本書はその地域での恋愛模様を短編集という形で描いている。 そもそも「忍土(にんど)」とは、「娑婆」であり、現在の世界である。その世界の中での恋愛は色々あるのだが、その色々の中で厳しい現実のようなものがある。 しかし恋愛とひとえに言っても […]

四百三十円の神様

タイトルを見るとずいぶん安い神様だなと思ってしまう。それはさておき、本書で取り上げられている「神様」はよく食べられる料理の価格のことを指す。その料理とは何かは物語の核心になってしまうため、あえて取り上げないのだが、その料理を専門に食べられる店はあまりそういったハートフルな物語は読者の心を暖かくさせることができる。 本書はそんな物語が7編集まった短編集である。もちろんある料理専門店のエピソードの他に […]

私はフーイー 沖縄怪談短篇集

残暑厳しい季節なのだが、もうすぐ夏は終わるような季節でもある。そのような季節に怪談はどうかと思ってしまうのだが、それでも沖縄で語り継がれている民謡を着想し、怪談をつくっているのが本書である。 本書は沖縄で代々伝わる怪談と言うよりも、先ほども述べたとおり、沖縄の文化から着想して紡がれた民話が7編収録されている短編集である。 私自身怪談はそれ程好きではないのだが、そもそも「沖縄の怪談」となるとどのよう […]

ちちんぷいぷい

本書のタイトルにあるようなおまじないや呪文をかけた方は少なからずいると思う。自分自身もそういった呪文をかけたことがあるのだが(あくまで幼稚園の時代の話である)、本書はそういった呪文を題材にしているのではない。 ではどのようなものかというと、東京の片隅に生息している幽霊50体といった方が良いのだろうか。しかし幽霊と言っても、誰にも知られることのなく、陰湿な佇まいの印象を持ってしまうのだが、自分自身が […]

甘いお菓子は食べません

「甘いお菓子」というのはある意味レトリックで、「お菓子」は恋愛に見立てている。直接的にタイトルのことを表すと「もう(少女マンガや純愛小説のような)甘い恋愛はしない(もしくはできない)」と宣言しているようなものである。 それ故に短編集であるが、ドロドロとした恋愛模様、そして赤裸々に語る女性の恋愛事情を描かれており、その姿はなんとも「怖い」という一言である。 その「怖さ」たるや、男性にしかわからない女 […]

骨風

本書のタイトルからして無骨な作品のイメージがあったのだが、実際に中身を見てみると短編集であり、表現もけっこうそぎ落としつつ、伝えるところは伝えられている作品である。しかしそれでいて繊細で、痛みや「死」といったことを向き合いながら、ひたむきに生き続けるような姿を映し出している。 もちろん短編集であるので、表題作の「骨風」や「矩形(くけい)の玉」「花喰い」「鹿が転ぶ」「蠅ダマシ」「風の玉子」「今日は  […]

地球の中心までトンネルを掘る

本書の主人公は特定の人物ではない。「もしもあなたがこのような状況だったら」ということについて「孤独」や「共感」を味わえる短編集である。 全部で11編あるのだが、その一つ一つのストーリー・シチュエーションを自分に重ね合わせやすいものもあれば、シチュエーションがシチュエーションであるだけに重ね合わせにくいものもある。 もちろん最初から最後まで全部読む必要も無く、共感や重ね合わせやすいものをピックアップ […]

すべての神様の十月

「10月」と「神様」の関連性は深い。その理由として10月は別名「神無月」と呼ばれており、諸説あるものの全ての神様が出雲大社に集まるため、それ以外の地域では神様がいなくなってしまうことから表している。ちなみに全ての神様が集まる出雲では「神在月(かみありづき)」と呼ばれている。 「神様」の存在については宗教によって一人だけか、たくさんいるのか、そして一人もいないなど差異がある。ちなみに日本では神道の考 […]