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青春

わたしの良い子

「良い子」は何を意味しているのか、もちろん他人から見てとなるのだが、もっとも誰から見ても「良い子」はどういう子どもなのかは私にもわからない。中には「(どうでも)良い子」や、「(他人にとって都合の)良い子」といったカッコがつくようなものや、どこかのお笑いコンビのイメージを持ってしまう。 本書は家族に関しての物語であるのだが、主人公の妹の子どもと主人公の暮らしの物語であるが、子どもの親は蒸発(出奔)し […]

小説 しろひげ在宅診療所

医療とは何か、在宅診療とは何か、自分自身そういったことにかかったことがないため良く分からない。しかし本書を通して医療とは、在宅診療とは、そして終末医療とは何かを知り、なおかつその状況を垣間見ることができた。 もちろんそれぞれの役割について、定義までであれば、一般書でも多く出ており、書評を行ってきたためある程度わかる。しかし実際の現場はどうなのだろうか。モデルケースを見る限りでは、本当にできるかどう […]

空洞電車

夢に向かって、戦場に向かって乗る電車。しかし、ある出来事によって、悲喜こもごもと入り交じった感情がいつしか空っぽになってしまった。本書はとあるバンドがメジャーデビューを果たそうとした矢先、リーダー的存在だったギター兼ボーカルが突然の死を遂げた。 その死に他のメンバーが、マネージャーがどのように受け入れようとしたのか、各メンバーごとの思いが交錯して物語として成り立っている。 しかし他人から色々な観点 […]

セゾン・サンカンシオン

「三寒四温」とは、 三日ほど寒い日が続いた後に四日ほどあたたかい日が続き、これを交互にくりかえす現象。中国北部・朝鮮などで冬季に見られる「広辞苑 第七版」より とある。日本にはおそらく縁遠い四字熟語であり、強いてあるとするならば春か秋くらいかもしれない。夏だったら「七暑」、冬だったら「七寒」と言った方が良いかもしれない。 それはさておき、三寒四温は季節の部分の他に、人のモチベーションの所でも意味合 […]

友達未遂

「友達」や「仲間」といった言葉だと聞こえはいいものの、実際に悪いことだとしても止める人がいなくなり、互いに共犯をすることとなると言う。かつて「ひょうきん族」でビートたけしが言った「赤信号みんなで渡れば怖くない」といった言葉があるように。 本書はとある女子高校の生徒たちが奇妙な事件に遭遇するのだが、その女子高生ならではの「しきたり」に戸惑い、なおかつ4人の生徒たち(先輩・後輩といったものはあるのだが […]

壺の中にはなにもない

「日常」と呼ばれる毎日の中には「非日常」と呼ばれるようなことも往々にして起こる。本書の主人公である若者の男性もまた、のんびりと過ごす日常の中に、非日常が生まれ、世の中の変化に巻き込まれる。 その中には「初恋」と呼ばれるようなことに出会うこともあれば、マイペースであるが故に、ある人物は引き込まれた。陶芸家である祖父である。その祖父は陶芸家であるが故に壺を作るのだが、そのできたばかりの壺の中には何も入 […]

いつも鏡を見てる

その国の政府は、その国に生きる人の鏡である。 この言葉は社会・経済学者であり、近代の政治思想を生み出したマックス・ヴェーバーの言葉である。もっとも「鏡」と言う言葉は自分を映し出すだけでなく、その「背景」も映し出す。 そう言う意味で、本書は時代という名の「鏡」を映し出しているように思えてならなかった。本書は何かというと1970年代、1980年代~2000年代、2010年代、そして現在とタクシーの窓か […]

瞳のなかの幸福

人が「幸せ」を持つ要素は色々とある。大金を得る、あるいは成功をする幸せなどもあるのだが、身近な環境を変える、あるいは人・もの・ことを手に入れるなどで、得られる「小さな幸せ」がある。この「小さな幸せ」を集める物語が本書である。 本書はある女性会社員が、婚約破棄された過去を持ち、一人で生きていくためにマイホームを購入したことから始まる。一人暮らしでマイホームはかなり大きな買い物だったのだが。 しかしマ […]

働く女子に明日は来る!

あなたにとって「働くこと」とはいったい何か?働く人それぞれ答えは異なるだろう。ちなみに私は「愉しみ」そのものである。自分自身が働くことによって、自分も相手も喜ぶことができることをやりがいとしている。 私事はさておき、本書はとあるドラマの製作会社で働く新社会人の奮闘記である。ドラマの製作会社であるため、様々な人と関わり、なおかつ視聴率といった実績を求められるハードな仕事場である。 しかし夢や希望をも […]

日映りの時

本書は「無戸籍」の子どもの姿を取り上げている。無戸籍に「無戸籍の日本人」「日本の無戸籍者」などの本を取り上げたのだが、ようやくドキュメントやニュースなどで取り上げられ、日本でもやっと国会で取り上げ始めたところである。 無戸籍であることの原因は様々な要因があるのだが、かつては繊細によって無戸籍にあること、そして本書の物語で取り上げているように、家庭の事情(DVなど)により、戸籍が得られなかったケース […]