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青春

いつかの岸辺に跳ねていく

幼なじみの2人がそれぞれの道を歩んでいった。その道は交わるかどうかはわからなかったが時が経つにつれ、2人それぞれの物語が1つへと変わっていくようになった。しかし1つになった時、幼なじみの女性は既に病床にあった。 幼なじみと言うことなので、気心は知れていた。しかし知れていたからでこそわからないこともある。時には壁にぶつかってしまい、現状に呪うことさえもある。そんなときに「あきらめない」心と思いがあっ […]

#柚莉愛とかくれんぼ

アイドルは、英語で直訳すると「偶像」と表す。いわゆるシンボルようなものであり、なおかつ偶像であるが故に、非日常を演出している。もっともそういった事を生み出す方々は歌手に限らず、タレント、役者など幅広い。 そのアイドルに関してはそれぞれの「ファン」がいる。そのファンもまたアイドルに対しての愛情が深いのだが、中には愛情が歪んだ形で表してしまい、当のアイドルも迷惑となるケースも少なくない。 本書はアイド […]

三匹の子豚

本書のタイトルである「三匹の子豚」は18世紀後半頃に作られた童話であるのだが、実際に誰が、いつ作られたのかはわかっていない。ただ判明しているところでは書物としては1812年に初版が発行され、童話として親しまれ、1933年にはウォルト・ディズニーの映画にて上映された。この映画が世界的に親しまれるようになり、今日の「三匹の子豚」が形成付けられた。 もっとも童話と書いたのだが、実際の所は「伝承」の一つと […]

ピカソになれない私たち

本書の話に入る前に私事になってしまい申し訳ないが、私の住んでいる鎌倉から電車で走ると大船駅がある。よく買い物に行くところであるが、その駅から通った道の中に美大の予備校がある。よく夜に買い物へ行くため、ちょうどその時間帯で授業が行われている。美大に通うために必死にデッサンをはじめとした作品をつくり上げていく姿が印象的である。 本書の話に絡んでいくのだが、美大に入り、芸術家の道に行く方、あるいは仕事を […]

商店街のジャンクション

よく着ぐるみで踊ったり、アピールしたりするようなものを見かける。本来であれば「中身はない」と言うことが失礼に当たらないのだが、ある映画ではキャラクターの着ぐるみに中身がバレたり、テレビ局のマスコットの着ぐるみは、中身だけでなく、外見までボコボコにされたりといったのもあった。 それはさておき、本書は犬の着ぐるみの存在と、それにまつわる3人の男女の日常を描いている。男女3人とも着ぐるみを着るのだが、い […]

僕の母がルーズソックスを

本書のタイトルだけを見ると「キツい」や「ムリすんな」を連想してしまう。もちろんそれが似合う年齢であればそうは言わないのだが。 本書は主人公の母親が本当に「17歳」(後に「おいおい」という声優ではない)になった所から始まる。別の物語では大の大人が子どもになってしまったという話があるのだが、本書は母親がギャルになってしまったという奇想天外な物語である。 しかしそのギャルになった母親に困惑した息子が、母 […]

日向を掬う

本書の物語は温かい家族の物語であるのだが、着目すべきは「物語前」のことである。ここ最近でも「精子提供」と言ったことが広がりを見せ始め、特に2020年あたりからはSNSを通じて行われるようになり、急増している。また精子提供のみならず、「精子取引」もあり、同じように提供・利用が急増している。 それはさておき、本書は精子提供を行い、生まれた少女が身寄りをなくしてしまい、提供者の家族へと行き、後見人として […]

蕎麦、食べていけ!

著者の江上剛と言えば第一勧業銀行(現:みずほ銀行)、日本振興銀行と銀行畑を歩み、その経験から金融関係、さらには経済関係、サラリーマン関係の小説を多数出している。そう考えると、本書の小説は異色中の異色と言える。 本書の舞台は高校生からの町おこしである。しかし実際に観てみると金融や経済の要素が散りばめられており、題材が異なれど、著者自身が培ってきた経験が活かされており、金融機関の役割、そして最近でも話 […]

【S支局発】スクープ

本書の帯に「自伝的小説」と標榜している。経歴にはほとんど記されていなかったのだが、著者は新聞記者であり、週末は作家に勤しんでいる。仕事の立場上はどこの新聞社は描かれていない。 ちなみに本書はとある中高一貫校における運動会における組体操の事故を取り上げている。自ら記者として真実を追っていたこともあり、真実を追う姿と、学校側の隠蔽を行う姿がありありと映し出される。実際に組体操の事故は報道されたこともあ […]

昨日壊れはじめた世界で

本書の表紙を見ると、何かディストピアな感じがしてならない。もっとも夕暮れなど風景によってはディストピアのイメージが拭えないようなものがあり、昨年から続いている新型コロナウイルスの影響による外出自粛で、本来であればいつも人だかりのある場所が誰もいなくなると言った風景もまたディストピアとも言える。 それはさておき、本書はとある書店の屋上で「世界が壊れはじめている」と言う言葉を聞いてから物語が始まる。生 […]