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青春

リバース&リバース

「リバース」が2つ並んでいるのだが、英語に直すと2つの単語が出てくる。「reverse」と「rebirth」、直訳すると「逆転」と「再生」のことを表している。それらは物語の中で何を紡ぐのか、不思議に思い、本書を手に取った。 とあるティーン誌の相談コーナーに送られた恋愛相談。その相談によって2つの場所で物語が動き出す。方や雑誌編集者、方や学生、それぞれの立場から人間関係が結ばれていき、遠く離れている […]

往古来今

過去・現在・未来と時間は流れるのだが、それがあたかも時空となって移動するようになったような物語である。その過去にしても平安時代にまで遡るほどであるため、時代の流れ、時の流れがあるのだが、その時の流れを中であたかもタイムマシンに乗ったように往来して生きながら「私」を探しているという、あたかも時空を超えた「自分探しの旅」とも言える。 中編小説を5編取り上げているのだが、その昔から今までの歴史の中で「私 […]

愛の夢とか

愛を描くのはなかなか難しい。それは男女の恋愛はもちろんのこと、家族愛など「愛」という言葉を拾い集めていくと、様々な要素があるためである。しかしながら、本書では様々な角度における「愛」が散りばめられた短編集であり、なおかつ多くの「愛」を網羅していると言っても過言ではなかった。 表題作は女性同士の愛。女性同士というとドロドロとした印象を持ってしまうこともあるのだが、爽やかでありつつ、甘酸っぱさも持つほ […]

チェーン・ピープル

「協調」と「同調」は似ているようでいて、大きく異なる。 「協調」とは、 「1.利害の対立する者同士がおだやかに相互間の問題を解決しようとすること。  2.性格や意見の異なった者同士が互いにゆずり合って調和をはかること。」(「広辞苑 第七版」より) とある。一方「同調」とは、 「1.調子が同じであること。  2.他と調子を合わせること。他人の主張に自分の意見を一致させること。  3.機械的振動体また […]

美しい距離

人と人との間には、多かれ少なかれ「距離」なるものが存在する。距離の長さは近いものもあればと遠いのもあるのだが、家族や夫婦と言った間柄であれば、限りなく近い者と成、赤の他人であればあるほど遠いものとなる。 しかしながらその距離によっては煩わしさもあれば、孤独感を生み出す要因にもなる。近しい人が病めるとき、あなたの立ち位置はどこにあるのか。そのことについて考えるきっかけともなり得る。そのなり得る距離は […]

アッティラ!

見るからにトンデモな登場人物が連なるのだが、実に楽しげであり、表紙にもある通り、愉しく音楽を奏でている。その優しさと楽しさが入り交じっているように思えてならなかった。本書のタイトルは「アッティルカイラー」という音楽(?)集団名の略称とも言えるものであるのだが、その集団の意味を知ろうと調べるのも野暮になるほど、底抜けの楽しさが伝わる一冊であった。 私自身も音楽をやったことのある人間であるのだが、そも […]

君のむこうを過ぎてゆく雨

有名な曲に「長崎は今日も雨だった」というのがある。この曲は1969年に内山田洋とクール・ファイブのメジャーデビュー曲として発売され、ミリオンセラーにまでなった。その後ソロデビューを果たした前川清によって今もなお歌い続けられている。 それだけ長崎は雨が多いのかというと、実際の所そうでなく、1982年に起こった長崎大水害こそあれど、慢性的な水不足になった時期もあったほどである(冒頭に述べた曲が出た時期 […]

近所の犬

近所の犬というと、私自身はあまり良い印象を持たない。大学生の頃に下宿していた所の近くに番犬が何匹かいたのだが、近づいていくと確実に吠えるためであった。とはいえ犬は嫌いではなく、むしろ近づくなどなつく犬もいるため、結構好きである。 本書は実際にいる犬2匹をもとにして、その犬を基軸にした物語である。犬ならではの視点と言うよりも犬がいる中でどのような生活なのか、ユーモラスに描かれており、「犬のいる生活」 […]

1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった

最近のラジオではメールアドレスを伝え、お便りを送ることが多い。いわゆる「メール職人」と呼ばれるような方々であり、その方々が送られるメールによってラジオの魅力がパーソナリティとともに彩っているといっても過言ではない。 しかしラジオは戦前からあり、戦後に至ってはオールナイトニッポンを始めとしたタレントがパーソナリティやDJとして活躍し、そのコーナーを進めていく中でお便りのやりとりは存在した。メールのな […]

僕らだって扉くらい開けられる

本書は超能力者が何人か出てくるのだが、使えると言ってもわずかな人もいれば、力を発揮できない人もいれば、さらには深刻なリスクを背負うような能力を使う人もいる。そう言う意味では「一風変わった」超能力者たちが集まって能力に目覚めていくという物語であるのだが、何とも言えないドタバタ感が拭えない。 しかし超能力であっても「能力」である。その能力を無駄にせず、ましてや呪うことなく向き合い、そして自分自身の「力 […]