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青春

誰かが足りない

本書の表紙を見るとテーブルと椅子が4つある。これは何を意味しているのかとふと疑問に思ったのだが、本書の目次を開くとおのずと「レストラン」であることがわかる。そう、本書は予約を取ることですら難しい小さなレストランを舞台にした「6つ」の物語である。「6つ」は簡単に言うと6組のお客様が、それぞれのドラマを持ってきて、紡いでいる。 6つの物語でもそれぞれお客様が異なる。老夫婦もいれば、青年だけもおり、若い […]

残り全部バケーション

何ともハッピーなタイトルの一冊であるのだが、本書の主人公は「裏家業」をやる2人組である。「裏家業」というと全くと言ってもいいほど穏やかなものではないのだが、その2人組は何ともデコボコぶりがあり小気味良い展開であるのが良かった。 全体で五章に分かれているのだが、一貫して裏家業の2人組が中心であるのだが、周囲の人物がそれぞれで異なる。そのことなる中で変わる人間模様はもちろんのこと、その変わってきた中で […]

abさんご

本書は第148回芥川賞を受賞した作品である。もっと言うと史上最高齢で芥川賞を受賞した作者であり、作品である。しかし本書は中編でありながら、小説のあり方を大きく覆すような一冊である。 何が覆しているのかというと、本書には人を指すような「固有名詞」が一切ない。しかももっと言うと途中までは横書きで左読みなのだが、最後の一篇だけは縦書きで右読みとなっている。そう考えると今まで小説を読んだ方々にとっては「何 […]

ラジオラジオラジオ!

私自身テレビをあまり見ない一方でラジオを聞くことが度々ある。AMやFMもさることながら、最近ではインターネットでも生・録音問わずに配信される、いわゆる「ネットラジオ」も出てきている。番組、そしてその番組によって流れる音楽もヴァリエーションが多く、聞いていても飽きないのが魅力である。もっとも釘付けにならずに済むのだから勉強などをしながら聞くというのも良い魅力として挙げられる。 私事はここまでにして置 […]

なぜ「そうじ」をすると人生が変わるのか?

「そうじ」というと嫌がる人も少なくない。その一方で「そうじ」を積極的に行おうとする人もいる。私はというと、どちらかといえば後者である。もっとも部活動で毎日のように掃除を課せられていたのだが、「やらされている」という義務感よりも、自分自身から「やらせていただく」というような考えでそうじを行った。 その考え方は社会人になった今でもあり、自宅の掃除はもちろんのこと、仕事がてら掃除を行うこともこまめに行う […]

盤上に散る

将棋、囲碁、チェス、バックギャモン…と「盤」と呼ばれるような所で戦っている人々は数多くいる。その盤上に己の技術・思考・プライドすべてを賭けて戦い、勝つものもいれば、負けるものもいる。その中で負けてしまうと本書の表紙にあるようにうなだれる、中には悔し涙を流すような人もいる。 ちなみにそれは競技における「プロ」やお金をかけない「アマチュア」問わずにある世界であり、もう一つの世界としてかつてあった「賭博 […]

新しい鳥たち

本書を取り上げる以前に、本書の著者を取り上げる必要がある。ご存知の方もいると思うが、著者は今から15年前に「世界の中心で、愛をさけぶ」で一大センセーショナルを生み出し、映画・ドラマにもなった。それから15年して著者がベストセラーをたたき出したかというと、お世辞にも言えない状況にある。 そして本書である。本書は「世界の中心で、愛をさけぶ」と同じ類の恋愛小説であるが恋愛小説でありながら、「人類の希望」 […]

エデュケーション

日本の教育現場にまつわる本は今まで色々と読んできたのだが、本書は小説であるにせよ、教育現場のことを生々しく描かれている。 「日本の教育現場を変えたい」という夢と情熱に駆られた若者が、次々と立ち向かう残酷なる「現実」。その「現実」に立ち向かいながら、理想に向かってひたむきに奔走していく新米教師たちの物語が本書である。 「教師になりたい」という夢は人によって存在し、理想の教師像も人それぞれである。しか […]

働かないの―れんげ荘物語

タイトルを見るからにニートの小説なのかというと、実際にメディアで取り上げられるようなニートではなく、40代後半の女性であるという。そう考えると専業主婦かとイメージしてしまうがそうではなく、本当の意味で「働かない」ためニートである。そのような女性が本書のサブタイトルにもある「れんげ荘」で月10万円の生活を送っているのだという。 しかしその「れんげ荘」はどこにあると探してみたが、どこの都道府県なのか、 […]

いとの森の家

福岡の団地で暮らしていた娘が父親のある「思い付き」で山々に囲まれた小さな村に住むようになったという。その住むところが「森の家」と呼ばれるところにあるのだが、その森の家の中では「おハルさん」と呼ばれる婆さんがいる。そのおハルさんは娘にとって特別な存在にまでなったのだが、その中で出会っていく「生」と「死」を描いている。 元々は一般書にて書かれたのだが、後に児童書にもなり、やがてドラマ化された一冊であっ […]