CATEGORY

小説

コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―

私自身、ほぼ毎日と言ってもいいほどコンビニに立ち寄る。セブンイレブンやローソン、ファミリーマート、たまにであるがミニストップやデイリーヤマザキなどと言った所に立ち寄る。帰省する場合はかならずセイコーマートにも立ち寄る。 主に買い物を行うのだが、コンビニでしか、さらには特定のコンビニでしか買えないアイテムまであるため、どうしても足を運ぶ。しかもコンビニにはそれぞれの地域ならではの「特色」がある。その […]

そのひと皿にめぐりあうとき

「食」の状況は今と昔とで劇的に変化している。大東亜戦争後は敗戦の傷跡からの復興もあれば、戦争中から食糧難が続いており、食べたくても食べることができなかった時代。それ故か、その時代に生き抜いた方々からは「食べものを粗末にするな」という声をよく聞く。しかし時代は変わり、「飽食」と呼ばれる時代になった。しかもここ最近では「食品ロス」という言葉まで出てきている。 その時代にいる2人が交錯することにより、こ […]

四十歳、未婚出産

元々出産となると、20代や30代、中には10代で出産をする人もいる。しかしここ最近では40代にて出産をする「高齢出産」を行う人もいる。 本章もその40歳で出産を行うのだが、しかもシングルマザーとしての出産であるためか周囲の目は冷ややかだった。もっとも社内外での冷たい視線にさらされ、なおかつ誰にも相談できないことに苦しみながらも、子どもを産み、育てるといった苦しいものである。 しかし全てが「敵」とい […]

つながりません スクリプター事件File

映画の撮影を行った方、あるいは映画についてマニアックな知識を持たれる方は知っているのだが、そもそも映画は様々なシーンを撮影を行い、その撮影したシーン・様子などをつないでいき、1本の映画を作っていく。その「つなぎ」の管理を行うのが「スクリプター」の役割である。 本書は映画監督とスクリプターの物語であるが、そのスクリプターが本章のタイトルにある「つながりません」が口癖である。しかし主人公の監督はそのス […]

その意図は見えなくて

物事には「視点」はもちろんのこと、当事者における「意図」が存在する。事により意図が無かったり、視点が少なかったり、逆に多かったりする。 本書は表題作を含めた5つの短編集であるが、その中に収録されている表題作は第42回小説推理新人賞受賞作である。その受賞作に恥じない推理作品だが、冒頭にあった「視点」「意図」の妙が推理の中にてふんだんに盛り込まれていた。高校を舞台にしており、高校生たちが推理の入り交じ […]

あなたにオススメの

本書のタイトルはけっこうどこにでもあるような感じがしてならない。かつてはAmazonにて本を選ぶと、購入や閲覧履歴から「あなたへのおすすめ」として列挙されてくるのだが、ここ最近では買い物を行うためのサイト、さらには動画に至るまで「おすすめ」として紹介される傾向が強くある。もちろん迷惑になることもしばしばあるのだが、傾向を知ってか知らないでか、ついついおすすめのものを選んでしまうことが多い。 私事は […]

群青の魚

本書は2人の若き警察官が、特養老人ホームで入所者が殺害された事件を追っている。なぜ本書のタイトルは、冒頭にて言及しているが、 生ける魚は水流に逆らって游(およ)ぎ、死せる魚は水流とともに流る「内村鑑三全集15」p.81より から来ているようである。この中にある「水流」こそが本書である「警察」「社会」そのものの縮図を映し出している。 事件の謎を紐解くために警察官は動くのだが、特養老人ホームの事情、社 […]

ノワール・レヴナント

本書の表紙にはトランプを行っている女子高生の姿がある。トランプのゲームによっては心理的な駆け引きが求められることもある。そのトランプにおける「数字」と、駆け引きが本書にて展開されている。 本書はとある男子高校生を主人公にしている。その高校生はあらゆる事象はもちろんのこと、他人の背中にも「数字」が見えるという。しかもその数字は「幸運」を表しており、どこかのRPGにおける「うんのよさ」を示している。し […]

夜空に泳ぐチョコレートグラミー

本書は短編集であるが、人間としての生と死、さらには青春にいたるまでのジャンルが網羅されている。子どもの無邪気なエピソードかと思いきや重い話になってしまうこともあれば、いきなり「恋人の死」に直面するようなエピソードに至るまで、本当の意味で「網羅」されているようである。 短編集でありながらも先述の理由から読み応えがあり、自分自身の生と死を考えさせられる一冊に仕上がっている。不思議な感覚の一冊であるが、 […]

余命3000文字

本書は表題作を含めて、数多くの作品を収録しているショートショート集である。特に冒頭の「余命3000文字」は文字数もカウントされており、なおかつ3000文字の中で物語を見事に描かれている所に驚きがあった。また他にも「彼氏がサバ缶になった」などナンセンスのものから、「食べログ1.8のラーメン屋」などリアリティがあるようでいて、風刺が効いている作品(むしろ小噺というべきか)まで収録されている。 小説にな […]