CATEGORY

小説

感情8号線

見るからして「うまい!」と思わせるようなタイトルである。もっとも「東京都道311号環状八号線」の略称である「環八」のうち「環状」を「感情」と変えているからである。しかしその本書のタイトルの捩り元である「環八」が本書の物語の舞台となっている。 そもそも環状八号線は電車では遠回りになっているにもかかわらず、直線で歩いて行くと近道になる。電車で楽に行こうとしても色々な紆余曲折があり、しかしちょっと歩こう […]

アメリカ最後の実験

軍事的な小説なのかと思いきや、本書の表紙にもある通り「音楽」を中心とした小説である。その音楽をアメリカを舞台にして「実験」を行うというものである。 その実験は殺人が起こる「ミステリー」であり、その事件の中で取り巻く3人の人物、その背景には「音楽」があるというものである。 「音楽」のつながりであれば良いのだが、それ以外のつながりはどうなのかと言うと、家族ではあるのだが、「荒廃」と言う言葉がよく似合う […]

歴史はバーで作られる

本書のタイトルを見ると「どうやって歴史を作るの?」と疑問に思ってしまうほどである。そのバーで歴史学者が侃侃諤諤の議論を行うことにより、史実と考察を行っていくことによってつくられるというのだから、本書のタイトルは成り立つという。 本書で取り上げる「歴史」は「マヤ文明」や「源義経」「銅鐸」のことについてである。いずれにしても歴史的な考察で議論を呼んでいるのだが、未だに結論が出ていない要素も数多く存在す […]

初恋料理教室

私自身料理をし出してから料理が楽しくなることがある。時間はかかるものの、料理をする前の材料集めから調理に至るまで、色々なアイデアを使うなど頭を使う。そのことで思いも寄らなかった気づきを得ることができ、仕事でも転用することがけっこうある。そのことから料理は好きだが、まだまだ味は良くなく「下手の横好き」と言う言葉を使ってしまうほどである。 本書の舞台はとある料理教室が舞台になっている。「男性限定」とな […]

ラジオ・ガガガ

私自身テレビはあまり見ない。その代わりラジオを聞くことが頻繁にある。ごく最近ではニコニコ生放送で行われたり、インターネット配信しているようなラジオもあり、それを聞くことが多くなったのかも知れない。テレビのように見ることによって行動を奪うことなく、何かをしながらの片手間に情報を得たり、面白く聞いたりすることがあるため、重宝している。 本書はその「ラジオ」をテーマにした短編集であるのだが、取り上げられ […]

スクロール

本書は短編集であるのだが、その短編集は「青春」と言う言葉がギュッと詰まっている短編集と言える。短編一つ一つには学生や社会人、といった舞台や年齢層は異なるものの、一直線に仕事やプライベートを突き進むというような状況にあることを感じ取れる。 本書のタイトルである「スクロール」は何を意味しているのか、短編集のタイトルの一つであるのだが、仕事の場では思い通りに行かずくすぶっていた中で事件が起こり、そこから […]

満月の娘たち

多感な中学生の時代には、どのようなものを見たり、考えたりしているのか、生きること、命、さらには人間関係に至るまで様々な悩みを持つようになる。もっとも思春期真っ只中の中学生だけあり、様々なことを感じるようになる。 また人によっては「反抗期」を迎え、親に対する反抗心も出てくる。もっとも本書に出てくる中学生もまた「反抗」と言う言葉がよく似合う。 本書はさらに親もまた娘に対する不満を募らせる。その不満とは […]

赤へ

人間における「本当」というのは何か、そこには「本性」というのがある。もっともそれが表れるのは極限の状態、それも「生」と「死」と言う言葉に直面するような場面によって出てくるのかも知れない。 本書はその「生」と「死」を描いた短編集である。その生死はなんとも生々しく、なおかつ不穏さもはらませているような部分も多くある。しかも生死との出逢い方もそれぞれ、年代もそれぞれでありながら、その「それぞれ」さが読ん […]

パンドラの少女

ギリシャ神話の中でも最も有名なもので「パンドラの箱」がある。これはゼウスからの贈り物として箱があったのだが、「決して開けるな」と言われた。しかしパンドラは好奇心に負けて箱を開けてしまい、災厄を飛び出すこととなったことを挙げている。 本書はその「パンドラ」と言う言葉をもののたとえとして挙げている。本章の舞台は完全に崩壊したイギリス、その国の中の荒廃した街の中で発見されたとある少女の存在を描いた物語で […]

俺たちはそれを奇跡と呼ぶのかもしれない

「奇跡」と言う言葉をあなたは信じるか。 私自身確率に関して色々と研究したことはあるものの、それでも「奇跡」は信じている。低い確率の中でも、どんなに悪い方向でも逆転してうまく行くと言ったことがある。それを「奇跡」と私は考える。 私の考えはここまでにし、もしも自分自身が朝目覚めたら他の誰かになったらどうなるのか、それを「奇跡」だと思うのか、それとも「不自然」だと思うのか、捉え方によっても異なるかも知れ […]