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小説

任侠病院

本書は「阿岐本組任侠シリーズ」と呼ばれるシリーズの第二弾であるのだが、任侠と病院という「異色」の組み合わせの作品である。この作品を見ると、確か2005年にやっていた和田アキ子主演のドラマ「介護番長」を思い出す。任侠というといかついイメージがあるのだが、本書の様に病院や介護、さらには「阿岐本組任侠シリーズ」にも出ている「高校」といったものまであるので、ギャップがあり、いかついものから「憎めない」もの […]

星降る楽園でおやすみ

無認可保育園と言うところで園児5人を人質に立てこもる事件が起こった。身代金を要求されたが、この事件には身内が手引きをしているという疑いが。その疑いに疑心暗鬼となる園長さらには人質となった園児を持つ家族も巻き込まれ、複雑な人間関係の中で人間の心がどのようにえぐり出しているのか、と言うことを描いている。 本書を見て気付いたのが、単に事件を解決していくミステリーばかりでは無く、「無認可保育園」の存在、そ […]

経済特区自由村

「経済特区」というと都市部のイメージが先行してしまうのだが、本書はむしろ農業や畜産を中心とした、言わば「田舎」と呼ばれる所で集団生活の中で、自給自足やエコロジーやエコノミーについて問うている。最近はエコ生活に関する本を呼んでいるせいかすんなりと入ってこれるのだが、時折外食業界の話にも言及している。 この外食業界が重要な役割を担っている。というのは外食業界でも契約農家や、自社持ちで農場や牧場などを持 […]

くちびるに歌を

本書はフィクションであるのだが、時間軸からして2008年辺りの中学校を舞台としている。その証拠にはNコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲にアンジェラ・アキの「手紙~拝啓 十五の君へ~」が取り上げているからである。この曲は2008年にNコンの中学の部で本当に取り上げられた曲であり、合唱シーンも動画サイトで取り上げられているほどである。 さっき中学校が舞台になっていると書いたが、具体的には長崎 […]

九死一生

よく諺で「九死に一生を得る」というものがある。本書のタイトルを見て、小手鞠氏の作品からして異色の作品のように思えてならない連想をしてしまうのだが、実際の所、小手鞠氏の得意芸でもある「愛」を中心に描いている。しかし著者が描いている愛の中では異色とも言える「喪失」がもたらす愛を描いている所が印象的である。 あと本書を読んでみてタイトルの意味はもう一つある。本書は猫を主人公として描いているのだが9回生ま […]

エースの系譜

本書は「もしドラ」こと「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」で有名な作家であるが、元々は放送作家として秋元康氏に師事していた。その後AKBのプロデューサーやお笑い学校講師を歴任し、2009年に作家となった。処女作が「もしドラ」で200万部以上売り上げてきた。その後「甲子園だけが高校野球ではない」と言う本も出版され、その後に出版されたのが本書である。 「もしドラ」 […]

高く手を振る日

自らも老いて、妻に先立たれて、人生そのものの行き止まりに瀕していた男性が、大学時代の思い出の写真を見つける事から物語は始まる。大学時代と言ってももう50年ほど前の事であり、印象の強い子と意外は忘れ去られてもおかしくないのだが、その主人公は今もなお大学時代の淡い恋物語の記憶を残していた。その思い出を約50年の歳月をかけて精算するとき、その男性はどのような心境の変化があったのか、「老い」と「恋」の両側 […]

がんのお姫様

今となっては「がん」と言う病は最新医療によって死亡率は減って入るものの、依然として最も亡くなる人の多い病として取り上げられている。しかもこの「がん」は老年・壮年の方々が発病されるイメージがあるのだが、10代・20代の時期に発病する「若年性がん」もあり、それが原因で死に至るケースも多い。 本書は女性が働いている中でがんに冒され、闘病生活と医療制度の狭間に生きる姿を描いているが、その女性は「名家」やら […]

揺れ惑いおり、妻逝きて

「妻を自宅で看取る」という選択は現在、珍しい物でもない。いわゆる「在宅死」という類だが、以前にも「地域・施設で死を看取るとき」という本で取り上げたので、「在宅死」に関する詳しい解説は省略する。 「在宅死」の概念は現代社会にも浸透しているが、もしも最愛の人が死の直面に瀕していたときにどうなるのか、それを小説にしたためたのが本書であるが、フィクションながら著者自身の体験を題材にしている。病気が発病して […]

ひかりの魔女

「おばあちゃんの知恵袋」と言う言葉をご存じだろうか。言葉はよく知っていても、どのようなものがあるのか、知る人は世代によって異なるが、私たちの世代だとそれを知る人は少ないだろう。ちなみに私の祖母はもうすぐ傘寿を迎えるのだが、故郷に帰る度に色々な事を教えてくれる。口うるさい部分もあるのだが、それでも自分のことを思って教えてくれているんだなと言うことが感じられた。 さて、本書の話に移る。本書の物語は型破 […]