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評論

誰がネロとパトラッシュを殺すのか――日本人が知らないフランダースの犬

「フランダースの犬」は1975年に「カルピスまんが劇場(後の「世界名作劇場」)」にて放映されたアニメとしても有名であるのだが、元は1872年にウィーダがつくった物語である。その物語は少年の悲劇を描いた小説であるのだが、なぜ悲劇となっていったのか、そのことをアメリカと日本の翻訳を通じて論じている。 第1章「悲劇を描いたウィーダの悲劇」 悲劇を描く小説としてはかつてはシェイクスピアの「オセロ」「ハムレ […]

日本ミステリー小説史 – 黒岩涙香から松本清張へ

私自身も小説を多々読むのだが、ミステリーの歴史は結構長い。もっともミステリー作品は書店に行くと数多くあるのだが、隆盛の時代と不遇の時代の両方があり、その両方の中で歴史に残る作家も誕生してきた。日本におけるミステリー小説はどのような歴史を辿ってきたのか、そのことを取り上げている。 第一章「ミステリー到来前夜の日本」 元々ミステリー作品自体は江戸時代に存在しなかった。そのミステリーが日本にやってき始め […]

『レ・ミゼラブル』の世界

今からちょうど155年前に作られたロマン主義の大河小説がある。その名も「レ・ミゼラブル」。元々は「悲惨な人々」を意味している悲劇なのだが、その悲劇は小説の枠を超え、映画やアニメ、ミュージカルにも展開していった。特にミュージカルの世界では「夢やぶれて」「民衆の歌」は一つの曲として一躍有名となった。そもそも「レ・ミゼラブル」はどのような小説で、その小説を描いたヴィクトル・ユゴーの思想とは何かも併せて取 […]

テロルと映画 – スペクタクルとしての暴力

「テロ」は今も昔もあるのだが、その「テロ」を題材とした作品も映画・音楽・ドラマをはじめ、ありとあらゆる分野で取り上げられている。もっとも映画も数多くあるのだが、「テロ」を通じてどのような表現を醸成しているのか、そして「テロ」についてどのように訴えているのか、様々な題材とともに取り上げている。 第1章「暴力のスペクタクル―メディアのなかのテロル」 暴力による「テロ」はニュースでも数多く取り上げられて […]

動物で読むアメリカ文学案内

アメリカに限らず様々な文学があるのだが、その文学の中には作品によって「動物」が存在する。その動物は物語をどのようにして彩ったのか、本書はアメリカ文学を主軸にして物語を彩った動物たちを取り上げている。 第1章「リップの愛犬ウルフ」 「リップ・ヴァン・ウィンクル」は19世紀ごろにワシントン・アーウィングによってつくられた短編小説集であるのだが、その短編小説の中に「新世界の浦島」と呼ばれるところに「ウル […]

温泉文学論

「温泉」というと「憩いの場」とか、「癒しの場」というような役割を担っている。本書のタイトルである「温泉」を舞台とした文学作品を中心に取り上げているが、温泉と文学というと関連性がないようであるように思えてならない。作家が作品を仕上げるために温泉旅館に缶詰になる事もあり、温泉を舞台にした作品を生み出しやすいといえるのだが、それも温泉文学が寄与したとも考えられる。 第一章「尾崎紅葉『金色夜叉』・・・・・ […]

2週間で小説を書く!

ここ最近では書物による小説はもちろん、小説を無料でつくる事ができるサイトがいくつも存在する。もちろんその中には小説家に本気でなろうとして、発表される人もいれば、趣味の範疇でつくり、投稿される人もいる。小説を描くことにはルールといったルールはあるようでなく、もっと言うと「どのように物語を表現していくか」、それがカギとなる。そのような状況だからでこそ、いざ描こうとしてもなかなか描くことができない、と言 […]

面白い本

書評家の性というのか、私は「おもしろい本」には目がない。100万部超えたベストセラーよりもむしろ、内容やタイトルなど面白おかしさをもっていて、それでいながら読めば読むほど楽しくなるような本が良いとつくづく思う。本書の著者である成毛氏は読書家としても、超をいくつつけても足りないほど大物であり、かつ数多くの種類の本を読破している事から、本のことを隅から隅まで知り尽くしていると言っても過言ではない。もし […]

「山月記」はなぜ国民教材となったのか

私が高校の国語の授業で一番印象に残った作品は、中島敦の「山月記」という作品である。独特の物語にハマり、何度も何度も読んだことは今も記憶に残っている。その「山月記」は今となっては、色々な出版の教科書にて取り上げることが多いのだろうか。先日「国語教科書の闇」で取り上げなかった「山月記」について深く考察を行っているのが本書である。 第一章「小説「山月記」の掲載」 小説「山月記」は1942年に発表された短 […]

『源氏物語』と騎士道物語―王妃との愛

「源氏物語」は平安時代、紫式部が描いた恋愛文学であると同時に「姦通文学」と呼ばれる、いわゆる官能小説のような作品と言える。しかし「源氏物語」は代表的な日本文学作品として、日本はもちろんのこと、海外でも取り扱われることが多い。著者もアーサー・ウェイリーが英訳した「源氏物語」を読み、感銘を受けた一人である。 海外から見た「源氏物語」の魅力と、欧米に存在する「騎士道」と絡めて考察を行ったのが本書である。 […]