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評論

あらゆる小説は模倣である。

私自身、小説作品に触れることが何度かある。その作品の中には「パクリじゃないか?」と見まがうような作品も少なくない。「パクリ」とまでは行かなくても著名な作家の影響を受けて作風にまで似ているような雰囲気を醸す作品もある。特に後者は「模倣」に近いようなものと言える。しかも後者は「作風に影響を受けた」というニュアンスであれば、多くの小説家は他の小説作品、人物に多かれ少なかれ影響を受けているため、本書にある […]

主人公はいない―文学って何だろう

書評を常日頃から行っている私自身にとって小説などの文学作品は苦手である。というのは背景描写からどのようにして読者に伝えていけば良いのかわからないのと、決まった読み方がないこと、さらには叙情的な表現が多く、どこをピックアップしたら良いのかわからないところにある。 その文学作品をどのようにして読むのか、どのようにして役立て、楽しむのか、本書は文学研究、及び文学ゼミを行っている立場から文学の良さを提示し […]

村上春樹―「喪失」の物語から「転換」の物語へ

4月12日に3年ぶりとなる長編小説「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」が発売され、発売前後から話題となった。発売前夜から行列をつくり、当日になったらなったで、10万部規模の重版が決定された。 私自身、あまり村上春樹作品に関しての作品に関心はなかった。しかし大学時代に「ダンス・ダンス・ダンス」「海辺のカフカ」は読んだことはある。ただ、お金の無かった時代だったため、大学の図書館で借りて読んだに […]

2分でわかる! ビジネス名著100冊のエッセンス

私は毎日のように本屋に行くのだが、行くたびに思うことが一つある。それはビジネス書が今でも活況を呈していることである。今日も新しいビジネス書が書棚に置かれているほどである。 著者は年間1000冊以上のビジネス書を読み、選りすぐりの本をブログやメルマガ、雑誌にて書評を行っている。これまで数千冊の本を読んできた著者が「名著」と呼べる様な本を100冊取り上げている。 しかもただ、取り上げているだけではない […]

やさしい古典案内

最近では「ビジネス書」をよく見かけ、当ブログでもビジネス書をよく取り上げる。しかし最近になって「貞観政要」などの古典にも目を向こうとしており、これから書評に関するシリーズを挙げているが、いずれも「古典」にフォーカスを当てている。 元々古典は読みにくい印象があったのだが、読めば読むほど、その作品についての深みを覚え、読んでいくうちに時が過ぎるのを忘れてしまう。まさにじっくり読むためであり、考え方とし […]

民話の森の歩きかた

「民話」と言うと聞き慣れない人あ多いのかもしれない。しかし「童話」と聞けば子供の頃に親しんだことを思い出す。 しかしこの「童話」も元々民衆の中で伝わった話、いわゆる「民話」の形で今日親しまれている。 本書はその民話のなかから「シンデレラ」や「赤ずきん」「長靴をはいた猫」などよく知られる話を精神学・文芸学の角度から考察を行っている。 第Ⅰ章「シャルル・ペローとヴェルサイユの民話」 シャルル・ペローの […]

ココロ医者、ホンを診る―本のカルテ10年分から

精神科医の観点から本を「診る」、というのもユニークである。本書の著者である小西氏は10年以上も前から毎日新聞の「毎日の本棚」欄にて書評を書き続けた。その書評のヴァリエーションは著者の専門である医学のみならず、小説や雑学に至るまで幅広く、難易度も問わず、あらゆるの書評を行っている。 本書は10年以上続いた「毎日の本棚」にて掲載された書評を独自の観点からカテゴリーに分けて紹介している。 第1章「隣の芝 […]

シャーロック・ホームズの愉しみ方

推理小説は幅広い世代から読まれている名作から、ニッチの作品までゴマンとある。以前ブログにて書いたのだが、私自身、中学の頃は推理小説にはまっており、とりわけ「刑事コロンボ」のファンであった。推理小説にはまった大きな理由には「少年サンデー」で連載中の「名探偵コナン」にある。連載が始まったのは今から18年も前、ちょうど小学2年生の頃である。主人公である江戸川コナンは、「明智小五郎シリーズ」の作者である江 […]

魔優

「松田優作」と「ファウスト」 まさに異色の組み合わせといっても過言ではない。元々著者は松田優作を心酔し、かつゲーテの「ファウスト」に衝撃を受け、この組み合わせを考案したのかもしれない。 松田優作の作品というと、私の中では「探偵物語」と「太陽にほえろ!」を想像してしまう。とりわけ後者は今にも語り継がれるほど有名な台詞も残っているほどである。 では本書ではどのように組み合わせられているのかというと、舞 […]

新書七十五番勝負

当ブログ、及び前身の「蔵前トラック」と書評を続け、はや4年半経つ。これまで書評した本は1200冊を越えるが、初期の頃は大概新書が中心であった。重箱の隅を突いているような本や、入門書、あるいは専門に関して狭くも深いような本と様々なものがあった。新書は毎月約70冊、新刊が出るため当たり外れも激しく、ブログで書評した当初は俗に「外れ」と呼ばれた本をどれだけ腐したことか、と述懐する。良くも悪くも「面白い」 […]