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評論

書評はまったくむずかしい

私は約1年半書評を行ってきた。これからもそうするつもりでいるが、最近では乱発という具合に書評ブログができ始めその中でも人気ブログとなっているものもいくつかある。 「書評」というのは簡単に言うとほんの感想や論評を行うことを言う。こう簡単にいえば誰でもできるのではと思う。当然書評ブロガーも多数いるためそういう風潮にあるようだが、本書は赤坂氏の書評とともに書評の難しさについても取り上げられている、そのこ […]

闘う書評

本書は平成16年1月〜平成20年3月の「週刊新潮」で連載していた「闘う時評」より書評を中心にセレクトしたものである。 当ブログは書評を中心に投稿しているが、参考のために書評サイトのみならず新聞や雑誌の書評も読んでいる。今回はちょっと本格的な書評を読んでいこうと思う。 第一章「文学賞と死者の値打ち」 ここでは文芸作品の書評を行っている。当ブログでは小説の書評は行っていないため専門外であるが、小説を中 […]

日米開戦の真実 大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く

前回の「日本二千六百年史」に続いて今度は大川周明に関する研究本を紹介。現在作家の佐藤優氏が大川周明ルネッサンスということで上記の「「戦後二千六百年史」を読み解く」をシリーズで行っている。本書はその前のやつの「米英東亜侵略史」を読み解いた一冊である。ちなみにこの「米英東亜侵略史」は開戦直後の1941年12月に、大川周明によるNHKラジオの連続講演が行われ、それを速記し1冊にまとめられ、上梓された。内 […]

姜尚中の青春読書ノート

東京大学大学院教授で政治学者の姜尚中が熊本の野球少年だったときからずっと数多くの書物を読んでいた。本書では夏目漱石やボードレール、丸山眞男、マックス・ウェーバーの作品をピックアップして姜尚中自身の半生を綴っている一冊である。 とりわけ私が衝撃を受けたのはボードレールの「悪の華」についてである。 「愚癡(ぐち)、過失、罪業、吝嗇(りんしょく:「ケチ」ということ)は  われらの精藭(こころ)を占領し、 […]

武士道の教科書

「武士道」というと新渡戸稲造のことを思い出す。新渡戸稲造はこの武士道の英訳版をつくり世界中で武士道精神を教えた立役者である。それと同時に国際連盟の事務次長も務め、さらには台湾統治下では製糖の製造の指導を行い飛躍的に生産量を伸ばしたという。 本書はその武士道の解題的内容なのかと思ったらまず著者が会津藩第五代藩主の「松平容頌」であることからこれとは違う。本書は武士道というよりも「日新館童子訓」というも […]

なぜケータイ小説は売れるのか

ケータイ小説は5年前に知ったがこれほど売れるものだとは思わなかった。当時はYoshiの「Deep Love」シリーズが大人気であり特に第1章の「アユの物語」や第2章「ホスト」を読んでいる女子をよく見ている。ちなみにこのときは国語の時間に数分だけ「読書の時間」があった。その時に何を読もうかで迷ったが。大概私は文庫か新書くらいだったのでそれには興味もわかなかった(5年たってもそんなんです)。 著者はケ […]

小林多喜二名作集「近代日本の貧困」

いま「蟹工船」が大ブームとなっている。 「蟹工船」と言えば小林多喜二の代表的作品であるが、昨年には漫画化しさらに読書エッセーコンテストを通してブームとなったのかもしれない。それだけではなく、現在のワーキングプアの状況と小林多喜二の作品と通底するところはあったのかもしれない。しかしこれだけは言っておきたい。 確かに小林氏の書かれた時代というのはまさに世界恐慌であった。もっとその前を言ったら第一次世界 […]

アラビアンナイト

子供のころから童話や映画で見たアラジンなどのアラビアンナイト(千一夜物語)作品。しかしこの作品の舞台は一体どこなのか、中東のどこかであるのか、アフリカ大陸なのか、ある番組を見てイラクが舞台なのかなと思った。 さて本書を読むとアラビアンナイトのルーツがわかるが、これが非常に衝撃的である。まず前半ではアラジンの翻訳の変遷が書かれているが、非常に雑学的な内容だったので読みごたえはあったが非常に興味深い内 […]