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文芸・評論

ラブセメタリー

恋愛のカタチは人それぞれである。しかしながら恋愛のカタチは多様であるにしても、それに対して相容れることができない方々もいるかもしれない。本書はその中でもBL(ボーイズ・ラブ)の類に入る一冊である。 私自身はそういった小説は少数ながらも読んだことがあるのだが、本書はその恋愛志向について思い悩むという「葛藤」を如実に描いている一冊と言える。「普通ではないのでは?」「他人からして相容れられないのでは?」 […]

ギロチンハウス―課長 榊江梨子の逆襲

タイトルからして物騒なものである。処刑台かと思いきやある会社の「閑職」と言われる所であり、なおかつ「追い出し部屋」と呼ばれるところであるという。通称「リストラ小屋」と呼ばれており、リストラを待つのみとしている人びとが配属されるところであるという。 本書はそこに配属された3人が、逆襲をするという物語である。そう考えると社会派小説のように思えるのだが、その中である「事件」が起こる。その事件の真相を紐解 […]

入れ子の水は月に轢かれ

沖縄の中心地である那覇市、その中に水上店舗通りが本書の舞台である。どこにあるのかというと那覇市牧志と世ばっる地域で、そこに流れる川として「ガープ川」があるのだが、そのほとりに店舗が軒を連ねていることからそう名付けられたのかもしれない。 その通りの裏はまさに「スラム」と呼ばれる地域であり、そこで生きる人びとは普通の人ではとても想像できないような境遇に生きる方々を描いている。しかしそこでとある水死体が […]

雷雲の龍 会津に吼える

会津というと戊辰戦争における「白虎隊」が有名である。その白虎隊は16歳~17歳(中には13歳や15歳もいたほど)になる青年によって構成され、新政府軍と戦い、多くの命を散らせたというものである。やがてそれが様々な作品を通して知られ、何度かドラマ・舞台化するほどにまでなった。 本書は北辰一刀流の大剣士である人物が、門下生と息子を連れて江戸を捨て会津藩へと渡り、新政府軍と戦った物語である。 ちなみにその […]

ジャップ・ン・ロール・ヒーロー

この頃はあまり聴かないのだが、「盗作」なり「パロディ」なりといったことで事件や訴訟になることもある。他にも私自身もよく使うのだが、Wikipediaなどのオンライン百科事典において、論拠のない記事や文言が取り上げられ、それが削除騒動になることもしばしばある。 本書はその中でも後者を風刺の如く、物語にして取り上げている。そのモデルとなっているのが1980年代に海外進出したとあるバンドであるのだが、そ […]

架空論文投稿計画 あらゆる意味ででっちあげられた数章

何というか、ある意味「ナンセンス」な一冊である。しかしながらその「ナンセンス」さが創作としての面白味を引き出たせている。 そもそも「論文」は論拠を見出して議論を構成していくため、架空であってはいけない。もっとも文献や仮説などをふんだんに盛り込まれるため事実から考えていくことが求められる。 そのため本書のような論文はあってはならないのだが、その「架空論文」を作るのであれば「こうだ」というのを物語にし […]

ヴィオレッタの尖骨

本書は短編集と言うべきか、中編集というべきか悩むところである。短編集であれば20ページくらいを1編としているのだが、本書は30~40ページを1編としているため、中編というにしても、ページ数が少ない。 それはさておき、本書は恋愛小説であるのだが、恋愛小説にしては絵で表現するにはR-15やらR-18にほど近いような表現がちらほらある。 少女はいわゆる「箱入り娘」や「籠の中の鳥」というような世間から隔絶 […]

架空の犬と嘘をつく猫

本書に出てくる名字が「羽猫」とある通り、特徴的なものであるのだが、もっとも特徴的なのがその家族である。「嘘吐きの家系」と言われており、家族も「嘘」という言葉がつきまとうものである。また「架空」と呼ばれる一種の「嘘」とも関連があり、それを好いている人、嫌っている人が家族としてなり立っているという。 本書はそんな家族の物語であるのだが、「嘘」という言葉の本質、そしてそれは本当に悪いことなのかどうかも含 […]

もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら

「もしも~」と言う名を冠しての本は数多く存在するのだが、本書ほど奇想天外な「もし」を描いた本は無いと言える。 そもそもカップ焼きそばの作り方はカップ焼きそばのラベルを見れば単純に分かるのだが、それを夏目漱石や太宰治、村上春樹、又吉直樹、小林よしのりなど作家に限らず、マンガ家に至るまで「もし」の幅を巻き込んでおり、国内のみならず、コナン・ドイルやドストエフスキーといった海外の文豪にまで「カップ焼きそ […]

ヅカメン! お父ちゃんたちの宝塚

華やかな舞台の一つとしてあげられる「宝塚歌劇」。その歌劇を彩っている宝塚歌劇団は今年で105年の節目を迎える。女性だけの華やかな舞台は多くのファンを今も昔も虜にしている。 しかし舞台は女性だけで成り立っているのだが、その裏は多くの男性にも支えられている事実がある。プロデューサーはもちろんのこと大道具などのいわゆる「裏方」の存在もあれば、タカラジェンヌになる夢を支えてきた家族の存在もある。華やかな舞 […]