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文芸・評論

ドロシイ殺し

ドロシイというと「オズの魔法使い」に出てくる主人公の少女のことを現している。その主人公の名もまたドロシイなのだが、とあるビルもまた「不思議な国」と見立てて、そのビルの支配者の遺体が発見されてから事件が始まる。 その事件にはメルヘンというのもあるのだが、もっともグリム童話のようにあたかもメルヘンの如く子どもにはかわいく映っていても、実際にはグロテスクな描写やミステリーの要素も含まれるなど、どうしても […]

ラヴェルスタイン

世界的に有名な学者から主人公に対して「回想録」を頼まれる事となった。その回想録を執筆する際に取材をするようになったのだが、その取材の中で学者は何を語るのか、そこには記憶とは何か、人種とは何か、そして生と死とは何かについてが問われていた。 そもそも本書の著者であるソール・ベローは今から13年前にあたる2005年に逝去した。その著者の描く小説の多くは心理描写が卓越しており、とりわけデビュー当初は戦争の […]

本屋さんのダイアナ

本はまさに様々な物語や考え方がある。その数は数多あり、あたかも「宇宙」とさえ思ってしまうほどである。もっとも書評家と名乗り始めて間もなく10年を迎えるのだが、未だに本とは何か、書評とは何かは未だに分からない。もっと言うと1000分の1にも満たない位しか理解できていないとしか言いようがない。 その本屋にて本と出会うことによって救われることがある。本書の主人公であるダイアナもその一人である。孤独や否定 […]

バスを待つ男

東京都民に怒られるかも知れないのだが、言うまでもなく東京にも路線バスがある(一部地域を除く)。しかし自分自身は東京に行ったとしてもJRや地下鉄などの電車などがあるため、バスに乗る機会が全くと言ってもいいほどない。あったとしても過去に1度だけ渋谷から六本木にかけて乗った1本だけ(それも10年近く前)である。 しかし東京も様々な場所があり、バスでしか行けないような場所もある。本書はそのバス路線を巡って […]

怪談のテープ起こし

何度か知り合いに頼まれて講演や打ち合わせなどのテープ起こしを行ったことがあるのだが、聞いた内容を文字にすると言った単純作業がテープ起こしである。しかし本書のタイトルを見ると「やりたくない」と思ってしまうようなものである。 本書はおどろおどろしいような怪談をいくつか収録している短編集であるのだが、一つ一つの物語に怖いところが散りばめられており、背筋が寒くなるような感情に陥ってしまう。 実際にその物語 […]

ライオンの歌が聞こえる

本書はサブタイトルにもあるように「平塚おんな探偵の事件簿」の第二弾であり、言うまでもなく平塚を舞台にし、2人の女性探偵が事件をドタバタしながら解決に導くというものである。 何てことがない依頼から事件が発展し、様々な関連性を調べていくのだが、その赴く中で平塚の細かい地名なども挙げられており、平塚市民であれば「ここか!」と言ってしまうようなこともあるようにつくられている。 ミステリー作品でありながら、 […]

世事は煙の如し 中短篇傑作選

本書のタイトルの一部である「世事」とは、 「1.世の中の事。処世の事。  2.僧が、通常の食事以外にとる食事。  3.世帯のこと。家事。また、食事。」(「広辞苑 第七版」より) とある。食事という意味合いが多いのだが、実際には「家族」や「世帯」といったものがあり、男女の関係を表している。男と女の関係は全く関係ないように見えて恋人同士や夫婦など、紐解いていくと色々とある。 本書は男女関係を基軸にした […]

スペース金融道

見るからに奇天烈なタイトルであるのだが、宇宙で金融を行っている人々がどのようなことを行ったのかを描いている物語である。SFの要素もあるのだが、コメディの要素が非常に強い。というのはナンセンスな物語でありつつ、なおかつ金融関係の言葉が次々と出てくる。 物々しいような言葉が出てくるのだが、悪さや怖さと行ったものがほとんどないのも不思議であるのだが、もともとSFであり、ナンセンスの要素がふんだんに盛り込 […]

GO! GO! アリゲーターズ

本書の表紙を見るとワニのような形をしたバスに、野球のユニフォームを着た人がいる。草野球チームかと思いきや、実は異なり、地方球団であるという。華々しいプロ野球と言うよりは、「独立リーグ」と呼べるようなところの弱小球団であるという。その球団に人生に迷いそうになった人が拾われるようになった。 しかし本書の主人公は女性なので選手ではなく、球団の事務職員やマスコットなど、いわゆる「雑用」として裏から支えるこ […]

17歳のうた

あなたの17歳はどのような人生だったのか。多くは高校生として青春を謳歌していると思う。かくいう私自身も高校生で、それも部活にのめり込んでいたため、部活の思い出が数多くあった。 本書の主人公は17歳であるのだが、舞妓として働く少女、漁師になるために修行をする少女、ローカルアイドルとして活躍する少女など、17歳の少女を中心としている。 少女たちだけの人生を描いた短編集のように思えるのだが、共通している […]