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文芸・評論

BB/PP

何か「バーバパパ」のようなタイトルのように見えるのだが、ある言葉の略であり、「Blue Beard」と「Purple Pubes」の頭文字を取ったものである。日本語に直訳するのはエチケットの関係から省くのだが、ある意味コードネームのようなものであることが窺える。 本書はタイトルも含めた短編集であるのだが、人工知能があるなど「SF」の要素も含まれている。 しかし本書はSF作品のみならず、叙情的、なお […]

野川

高校では色々な種類の青春がある。部活に授業に課外活動に、そして放課後にと様々な場で「青春」がある。その青春は様々な風景を通して見ることができるのだが、本書はその「青春」の中では一風変わっている。 課外活動なのだが、部活でも授業でもない中で仲間たちと伝書鳩を育てると言うもので、教師と生徒とで活動をすると言うものである。 鳥の目からどのような世界が映るのか、さらに取りを育てるために見たり触れたりしてい […]

窓から見える最初のもの

窓には様々な風景を映し出すことができる。その風景には何が映っているのかによって印象が変わってくる。 本書はとある心療内科に通う人びとのことを描いているのだが、その中には短大生・大学生の2人をはじめ、様々な人物がいるのだが、そんお周囲の人物を巡り、ある行方不明事件が起こる。行方不明となった人物とは何か、事件とは何か、その事件の引き金となった動機とは何か、トリックは何かなどを物静かな物語の中でうごめい […]

構造素子

「事実は小説よりも奇なり」という言葉がある。ちなみに本書はノンフィクションではなく、れっきとしたフィクション作品であるのだが、もっともそのフィクションを書くあるSF作家の周囲が本当の意味でSF的なことが青こったというものである。 もっともSFと言ってもどのような要素があるのか、作家が想像するものと、それと異なるようなものがある。そのジレンマが本書にてありありと映し出しながら、宇宙や物質、構造の異な […]

誰がネロとパトラッシュを殺すのか――日本人が知らないフランダースの犬

「フランダースの犬」は1975年に「カルピスまんが劇場(後の「世界名作劇場」)」にて放映されたアニメとしても有名であるのだが、元は1872年にウィーダがつくった物語である。その物語は少年の悲劇を描いた小説であるのだが、なぜ悲劇となっていったのか、そのことをアメリカと日本の翻訳を通じて論じている。 第1章「悲劇を描いたウィーダの悲劇」 悲劇を描く小説としてはかつてはシェイクスピアの「オセロ」「ハムレ […]

虹の向こう

本書のタイトルを直接英訳すると「Over The Rainbow」とある。もちろん表紙にも記載があるのだが、「オズの魔法使い」を連想するようなタイトルである。 本書は4編の短編小説である。その短編は一つ一つ本書のタイトルの一部、それにも似たようなタイトルが並んでいる。 ミステリー作品が4つあるのだが、いずれも謎の解き方が明快でありながらも、一気に読め、なおかつ一つ一つがつながっていないながらにして […]

ウェンディゴ

謎めいたタイトルのように見えるのだが、本書のタイトルはカナダにあるとある妖怪を表している。その妖怪との邂逅を描いているのだが、本書はあくまでファンタジーなので、魔術研究を行っている人を舞台としている。 また本書は中編集であるため表題作ばかりでなく、他にも2編あるのだが、いずれも幻想的な味わいを醸している。 しかもファンタジー小説でありなが、英国文学の中でも名著にあたるような一冊であるのだが、長らく […]

ひやかし

「ひやかし」と言うと商売をしている方々にとってはイヤな思い出しかないイメージがある。もっとも商売で購入しようとする人を求めているだけあり、お金を払ってくれるお客さまを求めるような人を求めるため単純に下見・物色だけしようとする人を表しているためである。 ちなみ本書はどのような「ひやかし」なのかと言うと吉原の女郎であるのだが、武士の娘と一見恵まれている身分に見えながらも、事件により地に落とされ、なおか […]

猫には嫌なところがまったくない

全くその通りと答えてしまうようなタイトルである。もっとも私自身は猫を飼ったことはないのだが、野良猫を見ては鳴き真似をして近づく猫の様子が好きである。もっとも近づいてくれると気まぐれでありながらも、時折人なつっこさが出てきて、癒やされる感じがなんとも言えない。そのこともあり、嫌なところを見つけようにも見つからない。 本書の著者もまた同じような感触を持っている。以前に名ジャズピアニストが猫に対するエッ […]

スピンク日記

スピンクと言う名前は珍しいのだが、それは本書の表紙にある犬の名前を表している。ちょうど耳に当たる部分がピンク色をしていることから表しているのかも知れない。 そのスピンクと主人との付き合い、なおかつ犬の生態とともに、どのように飼っていたのか、著者と犬との関係と出逢い、さらにはエピソードなどふんだんに織り込まれているエッセイ集である。 犬は忠実な生き物のように見えて、人間にないかわいさと滑稽さが織り交 […]