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文芸・評論

ぼくらが漁師だったころ

「漁師」の世界は過酷である。漁師の知り合いについて1人か2人はいるのだが、口々揃えてあまり薦められないと回答があった。もっとも漁師の仕事は海などを相手にする仕事であり、なおかつ最近では漁獲高が減り、なかなか収益も恵まれず「がんばっても報われない」と言うような世界である。 これは日本に限った話なのかというと、少し異なる。本書のようにナイジェリアを部隊しても状況は過酷であった。その過酷さの本質は日本の […]

私の息子はサルだった

何か息子が間寛平や岡村隆史と言ったサル顔の人が生まれたのかと思ったのだが、息子はサルのように叫ぶような子どもだという。そのような子どもが学校の中では、むしろ疎まれ、なおかつ、廊下に立たされると言った扱いを受ける。 しかしその息子の抱える親はそのような環境の中で息子に対して、周囲に対してどのように思ったのかは本書にも記されているのだが、その息子が成長したとき、親としてどのようにして見ていったのかが綴 […]

過ぎゆき

過ぎゆく日々の中には様々な思い出がある。その思い出には記憶や記録などがあり、恋愛や憎悪と言った感情もあれば、感動などといった感情などもある。その感情をいかにしてコントロールをすることも大事であるのだが、感情を「思い出」として残ったり、悩みとして引きずったりするようなことがある。 その中でも本書は過ぎゆく日々を引きずるようなことを描いた短編集である。全部で7編あるのだが、その7編には様々な人が交錯し […]

少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語

ただでしがない大学生がある少女との出会いによって生活が一気に急転するという物語である。その少女は本書のサブタイトルのような「屋根裏」に住んでおり、なおかつ少女の巡り合わせによって、大学生活はもちろんのこと、少女との距離もあり、青春が広がっていくように見える。 もちろん青春は小中校生特有のものではなく、大学生以降も充実したことを送ることができればたとえ壮年・老年であったとしても青春を送ることができる […]

心は燃える

「燃える」ことは色々あるのだが、物理的に燃えると言うのもあるのだが、目に見えない心的な観点で「燃える」と言うのもある。熱血というような言葉があるのだが、それだけにあることに対して心をたぎらせることで「心が燃える」ことがある。 本書は短編集であるのだが家族に絆を回復するために挑む女性もいれば、思いを拒絶され裏切られた恨みを持つ人、そして夢を追い求めて旅立つ男と様々な思いが巡って一冊の物語として醸成さ […]

いつか、あなたも

人にはそれぞれの「縁(よすが)」がある。その縁は巡り巡って「終末」と呼ばれる人生の終わりの中で物語が生まれる。病魔に見舞われながら、家族の暖かさもある。その反面病気であるため、「決断」に迫られるような状況に陥ることがある。その姿もありありと伝えている。 本書は短編集であるのだが、1編1編それぞれに家族があり、病気があり、それぞれの「物語」がある。その物語は家族や医者をはじめとした人間関係が時には考 […]

今日のハチミツ、あしたの私

蜂蜜園は私自身は言ったことがない。もっともどのような所なのか分からないのだが、ハチミツやローヤルゼリーなどを生産しながら、ミツバチを飼育すると言う役割がある。色々書いていくと非常に段階も多く、難しい仕事とも言われているのだが、それを楽しみにしたり、生活の糧に出来るような方々もいる。 本書もそういった方々であるのだが、そのハチミツを生産していく中で様々なトラブルに見舞われることがある。その見舞われる […]

空にみずうみ

東北で暮らす方々は震災以後の生活は大きく変化をしてしまい、その変化に順応出来る方々もいれば、順応できず、様々なトラブルに巻き込まれるような方々もいる。いずれにしても苦しい生活を強いられていることも多くある。元の生活に戻れた人もいれば、未だに戻れていない方々もいる。 震災から幾年を過ぎてからどのような「日常」となっていったのか、東北地方に住むとある作家の1年を描いた一冊が本書である。 震災の傷跡が残 […]

逆向誘拐

企業には様々なデータがあり、その中には「社外秘」と呼ばれるようなデータまであり、社外に漏れることが許されないようなものがある。そのデータをわたって収奪を争うような戦いがある。その戦いの中で本書のタイトルにある「誘拐事件」が起こった。 誘拐事件と言うと人質を取るのだが、本書では人ではなく「機密データ」であるのだが、そのデータは経済的な危機を及ぼしかねないようなことになるのだという。しかしそのデータを […]

ニルヤの島

生体映像の技術が発展し、人生をコントロールが出来るようになったのだが、その中には死後の世界があるのか。そこには倫理や宗教など哲学的な概念が飛び交いつつも否定的な思想を持つ者もいた。 本書の舞台は近未来であるのだが、場所がミクロネシアである。なぜミクロネシアなのかというのは本書の中にも物語として言及されており、興味深い。 もっともSFミステリーでありながら、「死生観」と言うものを考えさせられる一冊で […]