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文芸・評論

失われた過去と未来の犯罪

「過去」と「未来」、その時間軸は地続きかもしれないのだが、過去は失われ、線が外れてしまった中で未来の中で犯罪が生まれるようになる。その失われたのは主人公を始めた一部の人物だけなく、ある兵器によって人類全体が失った状況で起こった事件を取り上げている。 しかも過去の記憶をすべて失ったわけでなく、過去10分以降の記憶がドンドンと失ってしまうようなことになるが、その代用となるのがPCなどで使う「メモリ」と […]

縫わんばならん

「縫う」と一言でいっても、針で布を縫うのもあれば、本書で取り上げる「漁業網を縫う」や「記憶を縫う」といった表現でも用いられる。 「漁業網」の言葉が出てきたのだが、本書の舞台は長崎県にある小さな漁村が舞台である。その漁村に長らく続いている一族が四半世紀にわたって様々な記憶を縫い合わせながら生きていくというものである。 人生には様々な出来事やきっかけがある。それは一族言えど同じことである。その異なる記 […]

ラブコメの法則

ラブコメと言ったら何とも響きが良く、他にも思わず「ムフッ」としてしまうような感じさえしてしまう。しかしラブ(恋愛)だけでなくコメディの部分もあるので、笑いもほのかにある。そのことから自分自身にとっても好きなジャンルと言っても過言ではない。 さて本書であるのだが、そのラブコメの世界に映画でもって進出しようとするある映画監督を描いている。しかしその映画監督は、恋愛事は全くと言ってもいいほど疎く、その証 […]

ロック・オブ・モーゼス

私立高校に通う女子高生がロックの道に目覚め、天才ギタリストとして活躍を遂げる物語である。そのギタリストはある目立たない女子高生を見つけ、ギターを勧めた。その女子高生は瞬く間にうまくなり、やがてはプロのバンド活動をするようになっていった。 そこからプロのミュージシャンとして辛酸を舐め、成長を続ける日々が始まるという作品である。バンド活動をする女子高生を描く作品はいくつもあるのだが、ある意味ハチャメチ […]

ドール

「愛」の形は人それぞれであるが、その「それぞれ」の中にはひどく歪んでいるものも存在する。その存在する「歪み」が本書に表れている。 その歪みとはいったい何なのか、そして誰から来ているのかというと、本書はある「少年」から来ている。その少年はある少女が好きになった。しかしその「好き」は単純な恋愛よりも、自分自身のもの、つまりは「ドール(人形)」にしたいが故の「好き」である。 その「好き」は物語が進んでい […]

すなまわり

本書のタイトルにあるものは簡単に言えば「土俵」のことを表している。土俵は砂で覆われつつ、ラインが引いてある。周囲には藁に囲まれ、神聖な場所としても挙げられる。 ちなみに本書の主人公は力士かと思いきや、力士の夢敗れて行司の道を選んだある若者を取り上げている。 力士になることの夢、そして力士の夢を破れた絶望、そしてその代わりの道となる行司へと進んでいった。その行事になり、取り組みを取り仕切ることになっ […]

教授と少女と錬金術師

元々著者は美大出身で油絵の専攻である。その専攻した油絵の技術は本書にも生かされている。生かされている場所というと油絵の絵の具をはじめ美術史家の人物描写などが挙げられる。 ちなみに本書はどのような本なのかというと、ある薬学部の学生が育毛や油脂の研究を進めていた。その油脂の成分からそこから乾性油を作り出す。その作り出す中で髪の毛と神との共通点とは、油脂と油絵とは何かを様々な角度から取り上げているのだが […]

ルカの方舟

火星の隕石が見つかり、その隕石には生命の痕跡があったことから物語が始まる。そもそも火星にはそういったものがあることについては学会でも発表されることはあったのだが、本当のところは諸説あり、真実的としては不明というほかない。 しかし本書はそこにも斬りこんでおり、仮に「発見したら」ということをとらえながら、様々な出来事・事件が起こる。その中心にいるのは研究者というよりも世紀の発見をより早く、より正確かつ […]

美人薄命

3日前、衝撃のニュースが入った。人気アイドルグループ「私立恵比寿中学(通称:エビ中)」のメンバーだった松野莉奈氏がわずか18歳で逝去した。7年前にエビ中に加入し、2012年にデビューし、これから活躍する矢先の訃報である。テレビ自体は見ないのだがYouTubeを通じて歌っている姿は明るく、なおかつ美しかった。訃報を触れるとどうしても本書のタイトルにある四字熟語を思い浮かべてしまってならない。 本書の […]

お師匠さま、整いました!

本書にて取り上げる寺子屋の「師匠」はなんと女性である。その女性はある意味「肝っ玉」が据わっており、様々なことがわからなくても「まるっとまかせなさい!」という感じで応えていく。 その様な寺子屋にある「女性」が入塾してきた。本来であれば女の子や男の子が入塾すべき寺子屋なのだが、算術などを学び直したいという理由から入塾してきた。様々な戸惑いもありながらもその女性はひたむきに努力を重ねていく。 そのことが […]