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日本人

直向(ひたむ)きに勝つ 近代コーチの祖・岡部平太

昨今のスポーツでは見直されたとは言えど、未だに「精神論」「根性論」で語るような指導者もいる。中にはそればかりに主張しすぎてしまい、スポーツをすることの楽しさ、さらにはスポーツを通しての人間形成を無視してただただ「勝利」だけを求める「勝利至上主義」がまだ残っている。もちろん勝利をすることも大切だが、勝利・敗北はあくまで結果でしかなく、その前後のプロセスも兼ねて今後の人生に対しての糧となる。 またスポ […]

藤原仲麻呂-古代王権を動かした異能の政治家

日本には生前、もしくは没後に位階とよばれる位に叙勲されることが多い。もちろん功績などのことが考慮されるケースもあるのだが、その功績の中で最高の位として「正一位(しょういちい)」がある。実際に正一位に授与された人は何人かいるのだが、ほとんどが没後叙勲で中には没後数百年してやっと授与された人もいる(織田信長や豊臣秀吉がその一例)。しかしこの正一位の没後叙勲でさえここ100年以上授与がなく、もっと言うと […]

沢村栄治 裏切られたエース

プロ野球の賞の一つに「沢村賞」がある。これは先発投手の中で最も活躍した人に与えられる賞である。この「沢村」は本書で取り上げる沢村栄治からとられている。戦前のプロ野球界に燦然とした活躍をしながらも、大東亜戦争にて戦死した沢村。その沢村の野球観現在も行われているプロ野球(本書では「職業野球」と記載している)の初期の歴史を取り上げている。 第1章「沢村栄治と正力松太郎」 沢村は1917年三重県に生まれ、 […]

柔の道 斉藤仁さんのこと

現在はJOC(日本オリンピック委員会)の会長である山下泰裕だが、現役時代は柔道選手として世界選手権3連覇(うち1回は2階級制覇)、84年ロサンゼルスオリンピック金メダルを獲得するなど柔道の絶対王者としての活躍をした。 その山下と同時かその後に活躍したのが本書で紹介する斉藤仁である。斉藤は山下が金メダルを獲得したロサンゼルスオリンピック、その4年後のソウルオリンピックで金メダルを連覇し、山下のライバ […]

英もよう 女形ひとすじ 二代目英太郎の生涯

本書で紹介する人物は演劇、特に新派をご覧になる方々以外は馴染みが薄いかも知れない。劇団新派の俳優でありつつ、新派を越え、歌舞伎などの外部の公演でも女形を貫き、演じてきた。その俳優の名は二代目英太郎(はなぶさ たろう)である。新派では波乃久里子や二代目水谷八重子ら女優もいるのだが、男優でありつつ女形を貫いた数少ない俳優であった。2016年に逝去しているため没して5年経つが、英太郎がどのような生涯を貫 […]

板垣退助-自由民権指導者の実像

「板垣死すとも自由は死せず」 これは1882年岐阜にて遊説中に暴漢に襲われた事件にて発した言葉であるが、実際には「吾(われ)死するとも自由は死せん」である。それがメディアによって今のような言葉に変えられ、広まっていった。 板垣退助はいわば「国会の父」あるいは「憲政の父」とも呼ばれた。自由民権運動の指導者であり、なおかつ江戸時代では倒幕の主導者の一人としても有名である。その板垣退助の生涯について追っ […]

遊王 徳川家斉

徳川家斉は江戸幕府の11代将軍であり、江戸はもちろんのこと、鎌倉・室町を含めた将軍、さらには征夷大将軍の中では最も在位の長かった将軍であり、50年もの間その座にいたのだが、12代将軍家慶に譲った後も逝去するまでの4年間は実質的な権力を握り「大御所時代」をつくったため、実際には54年もの間、実権を握った人物である。 実権を握るほどの権力やカリスマ性があったかというと、実はそうではなく、老中が家老らに […]

東條英機 「独裁者」を演じた男

第二次世界大戦における枢軸国の先頭指導者というと、イタリアではベニート・ムッソリーニ、ドイツではアドルフ・ヒトラーといる。しかし日本ではと言うと、「軍部」と言うだけあり、明確な指導者は年々と変わってきており、明確ではない。しかしたった一人を上げるとなると、本書で紹介する東条英機が挙げられる。本書は東条英機を思想の偏りもなく、様々な日記や史料に基づいてありのままの生涯を紐解いている。 なお元々は東「 […]

奇蹟の爪音―アメリカが熱狂した全盲の箏曲家 衛藤公雄の生涯

昨今では新型コロナウイルスの影響により、ライブなどが開催されなくなると言ったことも相次いでおり、イベント業界や、ライブハウス業界などでも苦境にあえいでおり、倒産した所もちらほらある。 そのイベントについて、日本人が日本では日本武道館で、アメリカではカーネギー・ホールで公演すると言ったことは少なくないのだが、中でも日本初・日本で二番目に行った方がいる。本書で取り上げる箏曲家の衛藤公雄である。 衛藤公 […]

有島武郎――地人論の最果てへ

有島武郎(ありしまたけお)は「カインの末裔」や「或る女」など多くの作品を残した小説家である。小説家の中では学歴ではエリートであり、ハーバード大学にも進学したほどである(1年足らずで退学したが)。その有馬の生涯と、著作の傾向について取り上げたのが本書である。 第一章「二つの地/血から未開地へ」 有島武郎の親族は親こそ大蔵官僚でかつ実業家であるが、作家の里見弴、画家の有島生馬を弟に持つ。生まれこそ東京 […]