CATEGORY

日本人

認知症になった私が伝えたいこと

今となって認知症は治る病気になりつつあるのだが、核心的な治療法は未だに見つかっていない現状とある。もっとも多くの認知症は一生付き合うような病気であり、なおかつ周囲もそれに対する理解が求められるようになる。本書は元々システムエンジニアとして働いていたのだが、老境に差し掛かった時に認知症となり、そこから治療を続けながら全国で講演を行っている。その著者自身が認知症になって思うことを綴っている。 第一章「 […]

葛飾北斎の本懐

葛飾北斎という名前を聞いて思い浮かぶものと言うと「富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)」や「北斎漫画」などがある。その中でも前者の中における「神奈川沖浪裏」と呼ばれる荒波を描いた絵は歴史の教科書に載るほど非常に有名なものである。そのために江戸時代後期の中における「化政文化」を代表する画家であるのだが、しかし北斎は画業に執念を燃やすあまりに埋もれてしまった作品・エピソードなどがある。そのことを掘 […]

昭和声優列伝

今でこそアイドル並みの活躍を得ている声優の職業であるのだが、かつては俳優業のおこぼれで吹き替えやナレーションと言った仕事を生業としてきた。しかしその声優の仕事の幅も広がるようになり、俳優とは別の「声優」の職業が生まれるようになった。その草分け的存在である著者はその歴史を見てきた一方で「勝田声優学院」と呼ばれる学校をつくり、声優の卵たちを厳しく育て上げながら一流の声優を数多く育ててきた。「BL界の帝 […]

忘れられた哲学者 – 土田杏村と文化への問い

日本の哲学者と言っても様々いるのだが、有名どころだと「哲学」の日本語の生みの親である西周や西田幾多郎、政治哲学ではあるものの丸山眞男がいる。しかし本書で取り上げられる土田杏村(つちだきょうそん)はどのような哲学者なのか、そしてどのようなものを遺したのか、そのことを取り上げている。 第一章「1920年代の思想と文化概念」 元々土田杏村に関する文献はそれほど残されていなかった。そのことから「忘れられた […]

恋づくし – 宇野千代伝

元々私自身は宇野千代という人物について名前以外は知らなかった。しかし今から6年前の秋に「私のおとぎ話」という本に出会ったとき、ようやく人物・本に巡り合うことができた。元々寡作だったこともあり、作品自体になかなか出会えなかったのだが、犯罪以外様々なことに手を出した姿から、その経験や教訓を童話にしたためた作品は、今まで童話をいくつか読んだことのある私にとって身震いするほどの感動を覚えた一冊である。 本 […]

漱石、ジャムを舐める

夏目漱石といえば文学者で古き良き日本の芸を好み、食の嗜好もまた日本的なものが好きなイメージかと思ったら、食は意外にも牛鍋やケーキなどが好みだったのだという。本書のタイトルにあるジャムもおやつに舐めることが好きで医者にとめられるようなことがあっても止めなかったという逸話まで存在する。その知られるエピソードを食文化の歴史とともに取り上げているのが本書である。 第一部「作品にみる食文化史」 夏目漱石の食 […]

フライトナース

以前「ドクターヘリ」に関する話を読んだことがあるのだが、ナースもヘリコプターで空を飛び、現場に赴き、ケガや病を抱える方々を助ける役割を担っている。その空を飛ぶ女性看護師たちを「フライトナース」と呼ばれている。本書はその方々のことについて本書は取り上げている。 第1章「大丈夫ですからね」 フライトナースたちの日常は慌ただしく、休憩すらほとんどない。どこかに病気や事故の現場があればどこにでもやってきて […]

南国港町おばちゃん信金―「支援」って何?“おまけ組”共生コミュニティの創り方

人間にも「格差」があるように、企業にも「格差」はどうしても存在する。これは人間以前に、動物として生きる中で当たり前に存在する。もちろん「格差」があるということは「勝ち組」や「負け組」と言ったものがどうしても出てくる。しかし本書で取り上げる信金は勝ち組にも負け組にも属しない、「おまけ組」の道を選び、邁進している。著者自身、赤裸々に語っているが、なぜ「おまけ組」になったのか、そしてそうなるためにはどう […]

ジョン万次郎に学ぶ 日本人の強さ

ジョン万次郎、本名中濱万次郎は幕末における開国に関して欠かすことのできない自分物の一人として挙げられる。しかし第1章でも語られるように万次郎は、元々は漁師の息子だった。その万次郎がなぜ漂流し、アメリカへ渡り、そして開国の役割の一端を担ったのか、そのことについて取り上げている。 第1章「出漁そして漂流」 冒頭にも述べたように万次郎は現在でいう所の高知県で漁師の子として生まれた。当初万次郎は父の漁師の […]

水木しげる がんばるなかれ―小さなことを笑い飛ばすコトバ

昨日、「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」をはじめ、多くの作品を生み出し、なおかつ妖怪学の草分け的存在であり、漫画界の大重鎮と呼ばれた水木しげる氏が逝去した。水木氏の足跡は、漫画界はもちろんのこと、妖怪に関すること全般に関して多大なる貢献を果たし、影響を与えたといっても過言ではない。 その水木氏の生涯の中でもっとも意識していたこととは一体何か、その一つとして「言葉」がある。水木氏の93年にも及ぶ生涯の基 […]