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自伝・評伝

板垣退助-自由民権指導者の実像

「板垣死すとも自由は死せず」 これは1882年岐阜にて遊説中に暴漢に襲われた事件にて発した言葉であるが、実際には「吾(われ)死するとも自由は死せん」である。それがメディアによって今のような言葉に変えられ、広まっていった。 板垣退助はいわば「国会の父」あるいは「憲政の父」とも呼ばれた。自由民権運動の指導者であり、なおかつ江戸時代では倒幕の主導者の一人としても有名である。その板垣退助の生涯について追っ […]

遊王 徳川家斉

徳川家斉は江戸幕府の11代将軍であり、江戸はもちろんのこと、鎌倉・室町を含めた将軍、さらには征夷大将軍の中では最も在位の長かった将軍であり、50年もの間その座にいたのだが、12代将軍家慶に譲った後も逝去するまでの4年間は実質的な権力を握り「大御所時代」をつくったため、実際には54年もの間、実権を握った人物である。 実権を握るほどの権力やカリスマ性があったかというと、実はそうではなく、老中が家老らに […]

東條英機 「独裁者」を演じた男

第二次世界大戦における枢軸国の先頭指導者というと、イタリアではベニート・ムッソリーニ、ドイツではアドルフ・ヒトラーといる。しかし日本ではと言うと、「軍部」と言うだけあり、明確な指導者は年々と変わってきており、明確ではない。しかしたった一人を上げるとなると、本書で紹介する東条英機が挙げられる。本書は東条英機を思想の偏りもなく、様々な日記や史料に基づいてありのままの生涯を紐解いている。 なお元々は東「 […]

奇蹟の爪音―アメリカが熱狂した全盲の箏曲家 衛藤公雄の生涯

昨今では新型コロナウイルスの影響により、ライブなどが開催されなくなると言ったことも相次いでおり、イベント業界や、ライブハウス業界などでも苦境にあえいでおり、倒産した所もちらほらある。 そのイベントについて、日本人が日本では日本武道館で、アメリカではカーネギー・ホールで公演すると言ったことは少なくないのだが、中でも日本初・日本で二番目に行った方がいる。本書で取り上げる箏曲家の衛藤公雄である。 衛藤公 […]

有島武郎――地人論の最果てへ

有島武郎(ありしまたけお)は「カインの末裔」や「或る女」など多くの作品を残した小説家である。小説家の中では学歴ではエリートであり、ハーバード大学にも進学したほどである(1年足らずで退学したが)。その有馬の生涯と、著作の傾向について取り上げたのが本書である。 第一章「二つの地/血から未開地へ」 有島武郎の親族は親こそ大蔵官僚でかつ実業家であるが、作家の里見弴、画家の有島生馬を弟に持つ。生まれこそ東京 […]

マグロ大王 木村清 ダメだと思った時が夜明け前

道を歩いていると「すしざんまい」という店を目にする事があり、その店の前にはその社長が笑顔で両手を広げているモニュメントがある。好意的に捉える人もいれば、本当に必要なのかという否定的な人もいるかもしれない。 そのモニュメントにある「笑顔」こそが、本書の著者であり、「すしざんまい」を運営している株式会社喜代村の社長である木村清氏である。本書はすしざんまいができるまでのエピソードと自らの半生を綴っている […]

三島由紀夫 悲劇への欲動

私自身少し驚いており、元々岩波新書自体、三島由紀夫の思想とは真反対にあるような印象が強かったのだが、その岩波新書に三島由紀夫にまつわる本が上梓されるとは思ってもみなかった。 それはさておき、1970年11月25日に三島事件(「楯の会事件」とも呼ばれる)が起こり、三島由紀夫がクーデターを呼びかけた後、割腹自決を遂げた。この事件から今年でちょうど50年を迎える。 三島由紀夫と言えば、「潮騒」や「金閣寺 […]

マックス・ヴェーバー――主体的人間の悲喜劇

昨日取り上げた評伝は生涯をもとにした合理性や官僚制が中心となったのだが、本日取り上げる本書は評伝の中でもサブタイトルにある「主体的人間」といった所が中心となる。またもう一つの要素としては「闘争」と言ったものが挙げられる。「主体的人間」と「闘争」、この2つの要素は生涯の中でどのようにして形成付けていったのか、本書は生涯をもとにして追っている。 第一章「主体的人間への成長 一八六四‐一八九二年」 ヴェ […]

マックス・ウェーバー-近代と格闘した思想家

社会学、資本主義、政治思想など、ありとあらゆる学問にて「合理性」を始め、画期的な学説を発表し、なおかつ「職業としての学問」や「職業としての政治」など多くの著書を上梓してきたマックス・ヴェーバー(マックス・ウェーバー)が没してからちょうど100年である。 このウェーバーの思想は大東亜戦争後の日本でも丸山眞男を始め、多くの社会学者に影響を及ぼしたことは言うまでもない。このマックス・ウェーバーの生涯につ […]

伝える人、永六輔 『大往生』の日々

永六輔はマルチな才能を発揮した人物である。特に作詞家として、ラジオパーソナリティとしての知名度もあれば、1994年に「大往生」を上梓し、200万部を超える大ベストセラーにまで登り詰め、エッセイストとしても名を馳せた。マルチな才能を持つ一方で、「徹子の部屋」にも幾度となく出演し、好奇心旺盛な側面も覗かせた。その永六輔の生涯については1994年の大往生が上梓された以降の足跡を追っている。 Ⅰ.「ベスト […]