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社会

文化・メディアが生み出す排除と解放

「差別」にまつわる報道は今も昔も存在する。差別的な表現や言葉を発しただけでもニュースに取り上げられたり、謝罪、あるいは辞任に追い込まれるような報道まである。たった一言で人は傷つけられることはあるのだが、私はあきらかに「言葉狩り」を既存メディア主導で行っている感が拭えず、メディアそのものの「ジャーナリズム」を疑ってしまう。 メディア観に関してはここまでにしておいて、本書では文化やメディアで取り上げら […]

民具学の基礎

「民具」とはそれぞれの地域の慣習によってつくられた道具、もしくは家具のことであり、大蔵大臣を歴任した民俗学者の渋沢敬三によって名付けられた。日本には地域によって様々な民具が誕生し、使われてきているが、本書ではその民具がいかにしてつくられたのか、という歴史的、あるいは地理的な観点などを織り込みながら考察するとともに、「民具学」という新たな学問の礎を築いた一冊である。 一.「民具研究の軌跡」 「民具」 […]

なぜうつ病の人が増えたのか

おそらくバブル崩壊してから「うつ病」が急激に増えており、社会問題にまで発展している。「うつ病」などの「心の病」に関する本はいくつか読んでおり、それに関して様々な収穫があった。本書は「うつ病」の増加に関してスポットを当てている。 第一章「うつ病患者が増えている」 「うつ病」という名前はバブル崩壊以前から使われていたのだが、使う頻度が増えたのはバブルが崩壊された頃からであり、急速に増えたのは1999年 […]

ニュースではわからない欧州危機のゆくえ

洋泉社 様より献本御礼。 欧州危機に関するニュースは新聞やTV、ネットなどでも叫ばれている。しかし日本での関心事かというと、そうではあるが、最優先事項とは言えない。しかしギリシャを発端とした経済危機はEU内全体に発展するどころか全世界、とりわけ先進国において影響を与えているのは間違いない。これ以上悪化すると日本人の生活にも悪影響を及ぼしかねない。 本書ではそういった金融危機についてのカラクリを解き […]

死のテレビ実験――人はそこまで服従するのか

私は最近TVを観ていない。つまらないからである。とはいえ大学生まではTVっ子だったため、TVにまつわるエピソードは色々とある。TV番組の中でおバカなキャラクターを嘲たりするような番組が増えているという。以前は「熱湯コマーシャル」などをはじめとした過激番組があったのだが、本書ではそれを遙かに凌ぐほどのTV実験にてTVと服従について考察を行っている。 第1部「テレビは殺人を犯せるか?」 いきなり物騒な […]

検証 キルギス政変―天山小国の挑戦

2010年4月7日 日本から遠く離れた「キルギス」と言う国で民衆が蜂起、時の政権はたった一日で倒れた。しかしその2ヶ月後には民族対立が激化、内紛となり数百人が死亡した。 かつてキルギスは冷戦終結後からロシアの干渉により様々な事件や紛争が起こったところとして知られている。しかし今回のそれとは訳が違っており、最初にもいったとおりキルギス国内、及び国民によって起こった政変であった。 本書ではニュースでも […]

学校と社会の現代史

「教育問題」が叫ばれるのは今も昔も変わらない。しかしこの「教育問題」も一括りに言ったもので、小中高校をはじめとした学校そのものの問題、あるいは教育指導要領をはじめとした教育内容にかかわる問題など様々である。 その「教育問題」は時代とともに変化をしていっている。本書は教育問題そのものを現在あるものだけではなく、戦中・戦後問わず教育の歴史を紐解くことによって教育問題解決への道筋を示している。 第一章「 […]

官僚制批判の論理と心理 - デモクラシーの友と敵

近頃のTVや新聞でも相変わらず「官僚批判」が後を絶たない。もっとも「官僚を叩けば日本は良くなる」といった幻想を信じているようにしか私には思えない。 しかしその「官僚制批判」を政治哲学という観点から紐解けるという。本書はそれを明かしている。 第Ⅰ章「リヴァイアサンとロマン主義」 「リヴァイアサン」と言えば「万人の万人に対する闘争」で有名なトマス・ホッブズの代表的な作品である。主に階級的な政治(絶対王 […]

著作権という魔物

「著作権」は誰のためにあるのだろうか。 法律的な建前上では「著作者」のためにあるのだというが、果たして「著作者」とはいったい誰のことを指しているのだろうか。 それを聞く理由として「著作隣接権」など「著作権」から派生する歪なものまである。本書のタイトルにある「著作権」は止めようのない暴走した「魔物」と化しているようにしか思えなくなる。 本書は著作権の現状と、これからのメディアやコンテンツがどうあるべ […]

6枚の壁新聞 石巻日日新聞・東日本大震災後7日間の記録

2011年3月11日午後2時46分 宮城県沖でM9.0となる非常に強い地震があった。後にこの地震は「東北地方太平洋沖地震」「東日本大震災」に発展し、戦後最悪の地震被害を受けた。 震源に近い宮城県石巻市でもこの地震と津波により多くの人命を失い、ほとんどの建物が崩壊、もしくは海に流された。石巻市の情報を日々発信している「石巻日日新聞」もこの震災で多大な被害を被ったが、震災翌日から「壁新聞」をつくり、日 […]