CATEGORY

芸能

テレビアニメ夜明け前―知られざる関西圏アニメーション興亡史

テレビアニメは様々な所でつくられる。多くは東京の会社であるのだが、中には富山をはじめとした地方で制作されることもあった。その中で本書は京都・大阪の2つの地方のアニメを追っているのだが、そもそも京都や大阪の2つの場所ではどのようなアニメがつくられ、変化していったのかを取り上げている。 第一章「京都映画社 戦後関西アニメの出発点」 日本におけるテレビアニメの始まりは1953年、それ以前には戦前・戦中の […]

小山三ひとり語り

歌舞伎を全く知らない人にはあまり知られていない名前であるが、歌舞伎を知るとなるとその人の存在感は大きなものとなる。 「中村屋の生き字引」 著者につけられた異名のようなものである。その名と重なるほどの人生を著者は送ったと言っても過言ではない。と言うのは4歳の頃に歌舞伎入りするのだがその時に十七代目中村勘三郎(当時は三代目中村米吉)に弟子入りした。その後十八代目勘三郎、六代目勘九郎・七之助兄弟と長年仕 […]

はなし家たちの戦争―禁演落語と国策落語

落語と戦争は切っても切れないものである。もっとも現在でも語り継がれている昭和の名人たちは様々な形で戦争体験をしてきた。ある名人は慰問のために海外に渡り、ある名人は招集を受け、兵隊として戦争に駆り出されるといったことがあった。また国策として「禁演落語」として封じられた噺もあり、なおかつ様々な変化があったという。逆に「国策落語」として演じることを奨励した噺もある。その禁演・国策それぞれの落語と噺家たち […]

九代目松本幸四郎

昨年の12月に記者会見が行われ、37年ぶりとなる高麗屋三大襲名が再び行われることとなる。本書で取り上げる九代目松本幸四郎が父の最後の名前である松本白鸚(まつもとはくおう)の二代目を襲名し、七代目市川染五郎が十代目松本幸四郎に、そして四代目松本金太郎が八代目市川染五郎にそれぞれ襲名する。その襲名を1年後に控えた今、九代目松本幸四郎はどのような足跡をたどっていったのか、そして二代目白鸚になってからどの […]

いとしこいし想い出がたり

あけましておめでとうございます。本年も「蔵前トラックⅢ」をよろしくお願い申し上げます。 新年1発目として本書を取り上げます。「初笑い」という部分で。 私自身お笑いが好きであるのだが、昨年は様々な訃報があった。関西を中心とした上方の演芸に焦点を当ててみると初頭には上方落語四天王の一人である三代目桂春団治氏が、年末には吉本新喜劇のメンバーで「パチパチパンチ」で有名な島木譲二氏がこの世を去った。そのこと […]

将棋界の不思議な仕組み プロ棋士という仕事

今、将棋界は良くも悪くも話題となっている。春には20代の新名人が誕生したり、さらにはスマホ疑惑まで生じたりするなど、様々なものがある。その様々なことが起こる将棋の世界、もとい将棋棋士の仕事とは一体どのようなものか、本書は現役のプロ棋士であり、日本将棋連盟の専務理事を務めている方が紹介している。 第1章「棋士の仕事がわかる」 棋士の仕事はもちろん対局であるのだが、他にも様々なイベントで指導対局を行っ […]

昭和特撮文化概論 ヒーローたちの戦いは報われたか

戦後しばらくしてからずっとヒーローものが生まれるようになった。古くは今や亡き作曲家・川内康範氏が生み出した「月光仮面」をはじめ多くのヒーローが生まれた。現在でもヒーローと呼ばれる存在は数多くあるのだが、そのヒーローは報われたのかというと思わず首をかしげてしまう。そのかしげてしまう要因はいったいどこにあるのか、そのことについて考察を行ったのが本書である。 第一章「巨大化したヒーロー」 巨大化したヒー […]

宝塚幻のラインダンス―戦争で夢が消えた乙女たち

宝塚音楽学校は2年間のカリキュラムが組まれており、その2年間で卒業し、晴れて宝塚歌劇団の一員になる際、初舞台の催しものとして「ラインダンス」が行われる。 ラインダンスは毎年行われている初舞台の恒例行事の一つであるのだが、そのラインダンスが「幻」となったことがあったという。本書はその「幻」となったラインダンスを迎えた世代を中心にその時代に生きたタカラジェンヌたちを追っている。 第一章「一枚の写真」 […]

蜷川幸雄の劇世界

「世界のニナガワ」と呼ばれ、数多くの芸能人を舞台に上げた演出の鬼・蜷川幸雄が今年の5月に帰らぬ人となった。稽古や本番前のリハーサルなどで怒鳴ったり、物を投げたりすることが多く、そのことから「鬼」と名付けられたといえる。しかしその妥協なき演出によって、アイドルを演劇の世界に踏み入れさせ、そして大成した方も少なくない。その妥協のない演出はどのようなものだったのか、長らく蜷川の演出を見続けてきた著者が解 […]

プロの尼さん―落語家・まるこの仏道修行

本書で取り上げる落語家は「尼さんであり落語家である」方であるが、仏門に入った落語家は存命している落語家の中では三代目三遊亭円歌が挙げられる。そう考えると仏門に入った落語家はいないわけではないのだが、非常に珍しい。もっと言うと今でこそ女性の落語家は出てきているのだが、上方でも三代目桂あやめをはじめ数人しかおらず、こちらの面でも珍しい。 話を戻す。そもそも著者はなぜ落語家になり、それでいて仏門に入った […]