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芸術・スポーツ

シルクロードと世界の楽器―音楽文化の東西交流史

「楽器」というと世界中探してみたら何種類あるのか。全部で数え切れないほどあるというのだから驚きである。それだけに国々の音楽の形態や種類も違っており、音楽によっては差別の的となったりすることもある。「和」をとりなすことこそが音楽の根源であるというのに何とも皮肉なことだろうか。 さらに本書の冒頭では日本音楽は激しい差別を受けてきたのだという。とりわけ学校教育では琴や筝といった日本楽器を扱うことは、まっ […]

父の背中―拙者のハンセイ

2009年3月21日に林家いっ平が「二代目林家三平(以下:二代目三平)」を襲名した。本書はそれより少し前に出版された二代目三平自身の自伝であるが、海老名家と言えば先々代の正蔵(七代目林家正蔵)や初代林家三平の功績により裕福な家庭として育ったおぼっちゃまというイメージが先行するのだが、やはり噺家の道はしっかりと進んでいた、と思わせる人生であったとそう考えさせられる。 <遠い日に> <父の手> <父が […]

「裏声」のエロス

中学・高校と部活動は吹奏楽部だったが、練習の一つとして「ソルフェージュ」というのがある。簡単にいえば表現を磨くために合唱練習を行うというのである。そのことから「裏声」というのに関してはある程度は知っている。 しかし本書のタイトルを見ると意味淫靡なイメージがしてならない(私の妄想かもしれないが)。本書は裏声のメリットと実践法について書かれたものである。 第一章「「裏声の幸福」恋愛編」 「エロス」とい […]

ブラバンキッズ・オデッセイ 野庭高校吹奏楽部と中澤忠雄の仕事

節目を迎えるにあたり、これまで書評したものの中から選りすぐりのものを2つ選ぶ。 一つは「蔵前トラック」「蔵前トラックⅡ」を通して最も思い出に残る一冊を、 もう一つは「蔵前トラックⅡ」で一番最初に取り上げたものを再掲して、自ら振り返るということを行う。 ブラバンキッズ・オデッセイ posted with ヨメレバ 石川たか子 リトル・ドッグ・プレス 2007年04月 楽天ブックス Amazon Ki […]

平成落語論─12人の笑える男

今月8日に林家いっ平が「二代目林家三平」を襲名した。1980年に初代三平が急逝して、約28年もの間空位となったこの「三平」の名前が復活する。ちなみに初代三平はご存じのとおり「どうもすいません」「体だけは大事にしてくださいよ」という名セリフがあるが、二代目はそれよりも古典落語に比重を置いているという。私自身落語は聞くが二代目三平の落語はまだ一度も聞いたことがないのでどういった落語かというのは説明でき […]

ミスター・ジャパンカップと呼ばれた男―異端の挑戦

馬券会計学を読んでちょっと競馬に関して興味を持ち始めた。本書は「ジャパンカップ」が創設された前後に関するノンフィクション作品である。「ジャパンカップ」というと今ではこれのほかにも「ジャパンカップダート」も行われており、それらをともにして「ジャパンカップウィーク」を形成しているという。この「ジャパンカップ」が創設されてから外国馬が日本のレースに出始めた。ただ日本場が外国のレースに参加したが負け続けた […]

囲碁文化の魅力と効用

小学校の時に囲碁をやったことを覚えている。今ではほとんどやらないが、以後の番組を見ることがたまに観る程度である。 しかし囲碁というのは五目並べのように簡単なものではない。碁石でもって陣地取りをするゲームであるため戦法や定石のみならず、細やかなルールも覚えなくてはいけない。しかし一度ルールを覚えれば囲碁の世界は無限に広いといわれているのでやればやるほど病みつきになり、勝っても負けても勉強になる面白い […]

馬券会計学

著者の丸の内様より献本御礼。 私は競馬はあまりやったことがない。だが一応競馬番組を見たことがあるくらいで、非常に夢否馬くらいしか知らない。当然馬券の買い方は分からないズブの素人である。本書は会計の観点から競馬の本質をついた一冊である。わからない人がますますわからなくならなければいいが。 第1章「クラシックレースを「126.8倍」楽しむ方法」 本書を読むと昨年の桜化賞の3連単の払い戻し倍率である。ち […]

極上 歌丸ばなし

もはや「「笑点」の顔」とであり、落語芸術協会の会長であり、ついこの前まで肺気腫で入院していた桂歌丸の自伝である。本書が発売されてまだ間もない時に笑点で本人が宣伝していた時に三遊亭楽太郎が「遺書ですか?」と言ったそうだが、笑点を見ている限りではあと30年は大丈夫だろう。 第一章「生まれ育った真金町」 八代目桂文楽が「黒門町」、三代目古今亭志ん朝が「矢来町」と言われるが如く、桂歌丸も「真金町」でまかり […]

親馬鹿力のおかげです―福を呼ぶ、人の育て方

「気をつけろ 黄色い着物が やってくる」 一昨年の秋に林家木久扇・木久蔵のダブル襲名し、名実ともに「馬鹿親子」をほしいままにした。「笑点」見ている人であればわかるだろう。 本書はその親子の生い立ちと共に木久扇の子育て指南をする一冊である。「抱腹絶倒!」とまではいかないが、面白おかしく書かれており、今の子育ての現状にたいして暗に一石投じるようであった。 第一笑「こんな親だけど、よろしく」 ここでは木 […]