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書評

金持ちの床屋さん

もし「人は誰でも「お金持ち」になれる」という言葉を聞いたらあなたは信じることができるだろうか。 多くの人は「信じない」と答えるだろう。 しかし、それは「お金儲けの方法」としてとらえているからであり、別の方法で「お金持ち」になることができる。それは「節約する」と「殖やす」ことにある。 本書は「お金持ちの一般庶民」となるべく、とある床屋が「お金持ち」になるまでのストーリーを描いている。 第1章「はさみ […]

「ネットの自由」vs.著作権~TPPは、終わりの始まりなのか

ネットが隆盛し、YouTubeなどの動画共有サイト、さらにはブログやSNSなど個人で発信できるサイトが色々と出てきている。色々投稿できる、表現できるのだが、そこには必ずといってもいいほど「著作権」が議論の的になる。 この「著作権」について、ネットの自由と著作権はいつも議論になるのだが、昨今行われているTPP(Trans-Pacific Partnership:環太平洋戦略的経済連携協定)の交渉が大 […]

日本語の歴史~青信号はなぜアオなのか

日本語はおかしいようでおもしろい。 本書のタイトルにある「青信号」という名前だが、実際は緑色の様な色をしている。それでいながら「アオ」なのはなぜなのか。 「アオ」というと、他にも「青ざめる」や「真っ青」などが挙げられるのだが、いずれも「アオ」を表していていない。ましてや「ブルー」で表すような色合いでもない。 このようなアオの喩えは、「おかしいようでおもしろい」といえる一部分にすぎないのだが、他にも […]

不可能を可能にする視力再生の科学

私自身、今はそれほど近視など、視力に対して難はないのだが、高校の時に「仮性近視」と呼ばれる症状にかかり、左目が低下してしまった。これについては何とか直り、今となっては正常である。 その一方で私の周囲には、近視に悩み、眼鏡を余儀なくされるひとも少なくない。中には老眼に悩む人もいる。老化によるものもあるのだが、昨今のようにパソコンなどの普及により、視力そのものが低下しやすい環境にあると言える。 本書は […]

おはなしして子ちゃん

本書は2012年に文芸雑誌「群像」の7月号に収録されたものと単行本化された一冊である。本書が上梓される前の作品「爪と目」では第140回芥川賞を受賞した。本書は受賞後の1作目として世に織り出された一冊である。 ホップな作品からダークな作品に至るまで幅広く揃えてある10編の短編集だが、印象に残っている物として本書のタイトルにある「おはなしして子ちゃん」、小学生の主人公がふと立ち寄った理科準備室、だが閉 […]

毒男の婚活

7月~9月に放送された「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」という番組で「喪女」について描かれたのだが、それの男性版といえるのが「毒男」なのかもしれない。これは自分自身の推測であるが、本当はいったいどのような定義なのか、そして毒男たちはこれからモテるため、というよりも結婚するためにどうしたら良いのだろうか。本書はその状況を憂い、自ら経産省を辞め、婚活のためのNPOを立ち上げた男がすべて語る […]

梅蘭芳―世界を虜にした男―

舞台芸のなかで「女性」を演じる男性を「女形(「おんながた」、もしくは「おやま」)」と呼ばれている。歌舞伎ではよく女形を演じる俳優もいるのだが、名手として、かつては六代目中村歌右衛門が挙げられ、現在は五代目坂東玉三郎が挙げられる。 本書は中国大陸における「京劇」と呼ばれる、伝統芸能があり、その中で「不世出の女形」と呼ばれた梅蘭芳(メイ・ランファン)の生涯を綴っている。彼の生涯を綴るとともに、中国大陸 […]

ドール~ルクシオン年代記

今までいくつかSF作品を呼んだ事のある私だが、「ドール」と「レディ」の2編だけでこれほど分厚い物を読んだにもかかわらず、スリリング、かつ爽快さを覚えた小説は存在しない。むしろ分厚さも苦にならないほど、スイスイと読むことができる。 最初に「ドール」だが、よくある「SF作品」というと、宇宙で働く人、科学者、戦闘員といった、どちらかと言えば「人間」が描かれることがほとんどである。この「ドール」も人間のよ […]

言語の社会心理学 – 伝えたいことは伝わるのか

「言葉」というのは実に不思議なものである。その理由として挙げられるのは、言葉は文字通り伝えられるものもあれば、人によっては曲解して伝わるものもあれば、全く伝わらないものもある。 そう考えると、言葉は本当に「伝わるもの」なのかわからなくなってしまう。ましてや日本には「以心伝心」や「阿吽(あうん)の呼吸」という言葉があり、言葉を使わなくても「伝わる」ということもある。 本書は「言葉」についてどのような […]

妖怪学の祖 井上圓了

「妖怪」の話は日本でも大昔から言い伝えられている、古くは「祟り」として人に疫病をもたらすと言われていた。江戸時代にはいると、「瓦版」と呼ばれる現在のニュースが妖怪にまつわる話を載せるようになったのだが、大概は迷信やデマだったという。 その妖怪の話について「学問」として確立し、妖怪の歴史や民話を集め体系化させた学者がいる。その学者の名は「井上圓了」。本来は哲学者・宗教学者出会ったのだが、なぜ「妖怪学 […]