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書評

もんじゃの社会史―東京・月島の近・現代の変容

「もんじゃ焼き」と言えば、「月島もんじゃ」というほど月島のもんじゃ焼きはあまりにも有名である。個人的にも「もんじゃ焼き」といえば東京名物という固定観念を持ってしまう。 その「もんじゃ=月島」という構図がいかにしてできあがったのか、そして「月島」と「もんじゃ」は時代とともにどのような変化をたどっていったのか、本書を見てみよう。 第1章「月島のルーツ」 「月島」自体は江戸時代に存在しない。明治20年に […]

真っ当な野菜、危ない野菜 ~「安全・安心・おいしい」を手に入れる賢い知恵~

八百屋やスーパーなどで売られている野菜、その野菜の中には「真っ当」なものから「危ない」ものまで溢れているのだという。 ではこの「真っ当」と「危ない」の基準はどこにあるのだろうか。そして「真っ当」な野菜が少なくなった理由とはいったいどこにあるのか、処方箋はあるのか、本書は農業そのものの現状とともに提言をしている。 第1章「農業の産業化で失われた4つのこと」 簡単にいえば、「真っ当」と呼ばれている野菜 […]

生きざま~私と相撲、激闘四十年のすべて

ポプラ社 様より献本御礼。 私が小さい頃の角界は「若貴フィーバー」と呼ばれる中で第六十五代横綱 貴乃花光司は絶対的な強さと人気を有した。相撲としてスター街道を進みながらも、度重なる怪我やスキャンダルに苛まれた。しかしそれにもめげず優勝街道を突き進み、そして引退。その後骨肉の争い、親方への再起など波瀾万丈に満ちていた。 「若貴フィーバー」の時代、同期と呼ばれた力士の中には、現在親方として角界に残った […]

パトロネ

本書のタイトルにある「パトロネ」は、フィルムに納められている円筒の缶を指している。最近ではデジタルカメラが増えてきているせいか、フィルムと同じようにあまりみられなくなったとも言える。しかし古くからの写真愛好家にとってはフィルムカメラの感触と映し出される写真の味わいが忘れられず使用している人も少なくないのかもしれない。 私自身もプライベートで写真を撮ることはあるのだが、大概は携帯電話のデジタルカメラ […]

同期生~「りぼん」が生んだ漫画家三人が語る45年

仕事の世界にしても、本書にある漫画の世界にしても、あるいはそれ以外の世界にしても「同期」はある。しかもその「同期」は親友にも戦友にもなりやすくある。 本書は毎年行われている「りぼん新人漫画賞(以下:新人漫画賞)」の第一回入賞者の3人が、それぞれの漫画観と同期たちの思い、そして編集者との出会い、そしてそれぞれの人生について綴っている。 第一章「一条ゆかり」 「砂の城」や「有閑倶楽部」をはじめ少女コミ […]

今、原子力研究者・技術者ができること

2011年3月11日に起こった東日本大震災を引き金とした「福島第一原発事故」により、日本、ひいては世界中で「脱原発」の気運が高まった。12月に行われる衆院選でも各政党のマニフェストは異口同音ながらも「脱原発」を掲げている。 わたしもゆくゆくは「脱原発」はした方がよい考えであるが、それ以前に「原発」とは何か、そのために原子力研究はどうするべきかを考える必要があるのではないかと考える。毒をもって毒を制 […]

おいしいコーヒーの経済論――「キリマンジャロ」の苦い現実

「缶」にしても、「インスタント」にしても、「ドリップ」にしても私たちの中で愛されているコーヒー。かく言う私もホットコーヒーを飲みながら書いている。毎日缶コーヒーやインスタントコーヒーを飲まないと気が済まないため、コーヒーを飲まない日はむしろ珍しいほどである。 そのコーヒーにまつわる貿易や経済については当ブログでも何度か紹介したことはあるのだが、本書はその中でも有名な「キリマンジャロ」の銘柄から経済 […]

日本の難点

シリーズ「『宮台真司』の思考を解剖セヨ!」最後は日本そのものについてである。 人には長所や短所もあれば、「難点」が存在する。それは日本という一つの「国家」にも同じことが言える。その難点はいったいどのようなものなのだろうか。本書では「コミュニケーション・メディア」「教育」「幸福」「米国」「日本」のそれぞれのカテゴリーに分け「現状→背景→処方箋」という順序で考察を行っている。 第一章「人間関係はどうな […]

タブレット革命 ~iPad登場でわかった“板型PC”の破壊力

家電量販店を見かけると「iPad」をはじめとした「タブレットPC」がいろいろと売られている光景をよく見る。自分自身もタブレットPCは「欲しい」のだが、自分自身の仕事・プライベートを考えると「まだ必要がない」と思いつつ、売場を去ってしまう。 とはいえノマドワークをするために大いに役立つ「タブレットPC」によってPCワークはどのように変わるのか、ビジネス・プライベート双方の観点でどのような変化をもたら […]

サブカルチャー神話解体―少女・音楽・マンガ・性の変容と現在

シリーズ「『宮台真司』の思考を解剖セヨ!」第6弾はサブカルチャーである。これまで社会にまつわることばかり取り上げてきたのだが、今回ほど私が取り上げたいものはない。宮台氏は社会学者であるが、サブカルチャーにまつわる言及も多い。 その言及の源流を探るべく、1992年~1993年に「アクロス」という雑誌で連載されたものから2007年版に加筆された本書をみてみることとする。 第1章「少女メディアのコミュニ […]