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書評

人を育てる時代は終わったか

社会人5年目を迎えて3ヶ月経つが、その中で後輩への指導のウェイトが仕事の中でも高くなっている。しかし仕事量も確実に増えておりその中でのやりくりであるため、人を育てる余裕そのものが失われている感も拭えない。 私のような事象は私だけではなく、どの職場でも起こっていることであるという。さらに「成果主義」が導入されてきたことにより、人を育てるよりも自分自身の「成果」にこだわるあまり、社内の人間関係がギスギ […]

無縁社会の正体―血縁・地縁・社縁はいかに崩壊したか

昨年取り上げた「無縁社会~“無縁死”三万二千人の衝撃」は現在進行形で起こっている社会問題の一つであり、かつ日本人の現状そのものを映し出している。 たしか「光に向かって~3.11で感じた神道のこころ」という本で仙台のある神主が震災後初めて東京に着たときに「心の被災地」となぞらえて衝撃を受けた話を思い出す。「無縁社会」はまさにこのことを言っているのかもしれない。 本書もまた「無縁社会」について書かれて […]

ツーリズムとポストモダン社会―後期近代における観光の両義性―

1989年の「ベルリンの壁崩壊」以降、東欧を中心に「ポストモダン」と呼ばれる社会に変化をしていった。観光もまた様々なところから考察、そして変化をしていき「観光社会学」の学問まで誕生するほどまでなった。本書はその観光と「ポストモダン社会」の関連性について「観光社会学」の学問のみならず、映画作品とともに考察を行っている。 第1章「「ザ・ビーチ」の憂鬱」 まず「ザ・ビーチ」について取り上げる必要がある。 […]

友だち不信社会

「友だち」と呼ばれる存在は学校・会社問わずかけがえのない存在である。しかしその「友だち」そのものの存在が信じられないものになってしまっている。もっとも「いじめ」が顕在化した80年代後半~90年代前半もあるのだが、インターネットなどが普及したことにより「掲示板サイト(裏サイト)」やメールなどでの誹謗中傷の書き込みやメールが相次ぎ、それが心の傷となり、自殺に追い込まれる人もいる。 本書はそのかけがえの […]

団塊モンスター―“妄走老人”たちの事件簿

価値観や常識は時代とともに移ろいで行く。しかしその時代に取り残され、昔の価値観や常識を振り回し、周りを辟易する人がいるのだという。本書のタイトルは「団塊世代」におけるそのような人たちにスポットライトを当てているが、すべての「団塊世代」ひとがそうではなく、かつ「団塊世代」ではなくても、昔の価値観を振り回す人もいることを前置きとして加えておく必要がある。 第一部「妄走老人」 「団塊世代」の多くは企業が […]

近所がうるさい!―騒音トラブルの恐怖

「ご近所様」という言葉はもはや「死語」なのだろうか。 「近所迷惑」になるようなことがもはやニュースで取りざたされるほどの「事件」になることも最近では多くなってきている。「近所迷惑」という訳でも無いが、「騒音被害」としては直近でも羽田空港の再拡張により千葉氏への騒音苦情が大幅に増えたというニュースがあった。「ご近所様」と呼ばれる時代の中で様々なことを共有したり許しあった時代があった。たとえそれが「騒 […]

ゴジラ音楽と緊急地震速報 ~あの警報チャイムに込められた福祉工学のメッセージ~

昨年の3月11日より幾度となくTVで「チャラン・チャラン」と緊急地震速報が流れたところも多かった。 普段TVを見ない私にとっては携帯電話からサイレンのような音でやってくる緊急地震速報をその音を聞いただけで怯えてしまうほど聞いたことがある。 本書はその「チャラン・チャラン」となる緊急地震速報のメカニズムとゴジラ音楽の関連性について考察を行っている。なお監修者である東京大学教授の伊福部達氏は叔父にゴジ […]

生きぞこない …… エリートビジネスマンの「どん底」からの脱出記

著者の北嶋氏より献本御礼。 「死にぞこない」という言葉はよく聞く。しかし「生きぞこない」という言葉は初めて聞く。 それはさておき、かつて第一線にたったエリートマンがいつの間にか凋落し、最底辺の淵をさまようことも最近では少なくない。北嶋一郎氏もその一人であるが、まさに「どん底」という人生を這いつくばりながら今日も生きている。そう、歯を食いしばるほど必死な形相で。 破綻や自殺未遂など人生における「絶望 […]

あきらめなかった いつだって

2009年に女優として初めて「国民栄誉賞」を受賞し、現在では日本を代表する女優として、齢90を越えてもなお第一線で活躍している森光子。彼女の人生は必ずといってもいいほど順風満帆とは言えなかった。 「波乱」という言葉よいうよりも、約20年にも及ぶ長い「下積み」の経験が約80年にも及ぶ女優人生の大きな土台としてある。「放浪記」を筆頭に「おもしろい女」「桜月記」などで活躍した女優が自ら半生をつづった一冊 […]

食える数学

かつて学校で習った「数学」、それが会社員として仕事を始めた今でも活きることもあれば、単なる机上の空論として終わったものもある。 もっというと、学校の授業の「数学」そのものを苦手としたり嫌ったりとする人が多い。 しかし最近ではビジネスの場でも「数学」が重要視されてきており、ビジネス書でも「数学」をテーマにしたものが乱舞している。本書は「学術の為の数学」ではなく、「社会人としての数学」、すなわち「食べ […]