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書評

世界の食料ムダ捨て事情

皆さんは「食品ロス率」という言葉を聞いたことがあるのだろうか。簡単にいえば食べ物を食べずに廃棄する、とりわけ飲食業界や食品を販売する業界を対象に使われる数字である。 何を言いたいのか、というと本書にも直結しているのだが、食糧を生産しても、私たちの口に入らずに廃棄するケースも多いのだという。かと思えば貧困にあえいでいる地域では食糧を満足に得ることができず、餓死してしまう人も多い。 本書では世界中で起 […]

日本的ソーシャルメディアの未来

今やソーシャルメディアはTwitterやFacebookを中心に発展を遂げており、それによって災害や政治運動に使われることも少なくない。日本ではアメリカやヨーロッパといった国々ほどではないものの例外ではない。 本書ではソーシャルメディアの未来と日本の未来、そしてインターネットの未来を予見するとともに、ソーシャルメディアの光と影について二人の著者が対談形式にて迫っている。 第1章「コミュニティ(共同 […]

午後6時の経済学

「午後6時」というタイトルが特徴的である。「午後6時」というと大体就業時間を迎え「アフター5」ならぬ「アフター6」となり、ビジネスマンによっては勉強や他の仕事の時間、さらには仲間内での飲み会などで消費するような時間に充てられる。しかし最近は「不況」と呼ばれるせいか、終業後も仕事で残ることもあれば、まっすぐ自宅にもどり、夕食後は家でゴロゴロする、という人が多いように思える。 本書は戦後日本の一日の喩 […]

数学のリアル

学校で学ぶ「数学」、しかしその科目を忌避する人は少なくない。ましてや学んだとしても、「生活の役に立たない」というほど、生活と直結しないと考えられている。 しかし、この数学は実際の生活に直結しているのだという。しかも私の生活の目に見えないところで。本書はその「目に見えない所」で活躍する数学を解き明かしている。 第1章「指数・対数は人間の命を守った!」 高校の時に学ぶ「三角関数」や「指数・対数」、前者 […]

日本農業の底力~TPPと震災を乗り越える!

洋泉社様より献本御礼。 日本の農業は今、危機にさらされている。日本の食料自給率は平成22年現在でカロリーベース39%(農水省発表「食料自給率の推移」による)、さらには東日本大震災により、東北地方を中心に農業の生産高はかなり落ちており、食糧自給率は落ち込むことはほぼ確実視されている。そう考えていくと農業は衰退の一途をたどっているように思えてならない。では、農業の衰退している本当の理由はどこなのか。或 […]

サラリーマン誕生物語~二○世紀モダンライフの表象文化論

今となってはほぼ「あたりまえ」の存在であるサラリーマン、かく言う自分もサラリーマンのはしくれであるが。サラリーマンはいつごろ誕生し、どのような背景があったのか、そしてサラリーマンそのものがどのように進化していったのか、本書は現在のサラリーマンの原型を映し出している。 第一章「通勤電車に乗る」 通勤電車と聞くと大概は満員電車にすし詰めの状態で通勤、仕事終了後の帰りも同様の状態になり、そして家に帰る頃 […]

私、社長ではなくなりました。 ― ワイキューブとの7435日

「千円札は拾うな。」「検索は、するな。」「ぐっとくる?」など数多くの著書を生み出してきた方であり、新卒採用コンサルティングとして一世を風靡したワイキューブの安田佳生氏であるが、昨年の3月30日に民事再生法の適用の申請を受け、社長の座から降りた。 その社長の座から降りて1年経とうとしたとき、改めて、著者自身の社長時代だけではなく生い立ちを見直し、「禊ぎ」として綴っている。 1章「満員電車からの脱出」 […]

ココロ医者、ホンを診る―本のカルテ10年分から

精神科医の観点から本を「診る」、というのもユニークである。本書の著者である小西氏は10年以上も前から毎日新聞の「毎日の本棚」欄にて書評を書き続けた。その書評のヴァリエーションは著者の専門である医学のみならず、小説や雑学に至るまで幅広く、難易度も問わず、あらゆるの書評を行っている。 本書は10年以上続いた「毎日の本棚」にて掲載された書評を独自の観点からカテゴリーに分けて紹介している。 第1章「隣の芝 […]

独立完成への苦闘

戦後GHQによる統制により、日本国憲法が発布・施行されることとなった。それからGHQの統制から1952年にサンフランシスコ講和条約が結ばれ、解放された。そこから「独立日本」として再出発するが、本書では政治的に「激動」と呼ばれた独立日本の出発から安保改定の闘争までの歴史を描くとともに、昨今の日本政治で学ぶべきことを提言している。 第Ⅰ章「独立日本の出発」 GHQの占領から事実上解放されたのが、最初に […]

道教の世界

「道教」は聞いたことはあるのだが、いざこれは宗教なのか、というと首を傾げてしまう。ちょっと調べてみると、 「中国固有の宗教。儒・仏と並ぶ三教の一。不老長生をめざす神仙術と原始的な民間宗教が結合し、老荘思想と仏教を取り入れて形成されたもの。後漢末の五斗米道(ごとべいどう)に起源している(Weblio辞書より、一部改変)」 むしろ宗教と言うよりも「思想」というべきなのかもしれない。本書では、知っている […]