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書評

贈答の日本文化

贈答の文化は世界中に形は違えど存在する。日本でもその例外ではなく、夏の「お中元」やもうそろそろやってくる「お歳暮」などが代表的である。ほかにも「結婚祝い」や「出産祝い」、「快気祝い」などの祝い事にも贈答の文化が根付いており、その「お返し」もまた根付いている。 日本の文化に「贈答」が根付いたのはいつの時代だったのだろうか。そしてなぜ「贈答」の文化が根付いたのか、本書は民俗学、宗教学、哲学などの観点か […]

看護崩壊~病院から看護師が消えてゆく

現在の医療制度について「医療崩壊だ」と叫んでいる論者も少なくない。現在の医療制度ばかりではなく医療業界でも悲鳴を上げているのだが、その一つには「看護師不足」が挙げられている。 「白衣の天使」と呼ばれる看護師であるのだが、その実態は「過酷」という言葉が似合うほどである。本書はその「看護師不足」や「過酷労働」などの実態、さらには本当の看護師のあり方について迫っている。 第1章「医療崩壊を加速させる「看 […]

世界を、こんなふうに見てごらん

動物の見る「世界」は実に不思議なものである。本書は動物行動学者が綴った動物の視点と自らの視点をあわせ持ったエッセイ作品集である。 全部で10編のエッセイと1編の講演録が収録しているのだが、チョウをはじめサル、クラゲ、イルカなど多種多様な動物についても描いており、どの動物一つ一つの紹介をしている文章に動物そのものの躍動感を感じてしまうことさえある。動物を見る愉しさ、そしてその行動を知る愉しさを優しい […]

部下には数字で指示を出せ 儲ける課長の会計力

著者の望月様より献本御礼。 今年の夏のビジネス書は「数字」や「数学」で乱舞したといっても過言ではない。その理由は様々であるが、一つにはビジネスを行っていく上でそれらが、いかに重要であるのか再認識され始めたのかもしれない。 本書も「数字」の需要性についてかかれているが、あくまで「勘定」としての「数字」の重要性を説いている。 第1章「「値引きはどこまでしてよいか」がわかる売上と利益の関係」 経営や商売 […]

たった一度の人生を記録しなさい~自分を整理・再発見するライフログ入門

ダイヤモンド社 市川様より献本御礼。 「もし人生が二回あればお母さんの言う通りに高校へ行くけど、 一回しかないんだから自分の自由にさせてください。」 これはプロレスラーを経て総合格闘家として活躍し、現在は全日本プロレスで活躍している船木誠勝が中学卒業後、新日本プロレスに入団しようとしたときに放った言葉である。 少し話がずれてしまったが、本書は「人生の記録」の方法の一つとして「ライフログ」を紹介して […]

20代でムダな失敗をしないための「逆転思考」

著者の上田様より献本御礼。 このごろ「思考法」の本がビジネス書の中でとりわけ多い。その大きな要因としては、ビジネス書の本当の価値となる「実践」を容易に行えるところにあるのかもしれない。 本書は若くして起業し、幾多の失敗を重ね、現在では「Febe」や「朗読少女」で成長が著しいオトバンクの上田渉氏が幾多の失敗を重ね、身につけた「逆転思考」についてを伝授している。 CHAPTER1「まずは” […]

アキバを創った12人の侍

かつてから電気街と言われ、今となってはオタクの聖地の一つと言われている秋葉原、通称「アキバ」。そのアキバは現在のように変容していったのか。そしてこれからのアキバはどのように変容していくのかについて、本書では実際に現在のアキバに変容させた方々、そしてこれからのアキバを構築させ、挑戦する方々を「侍」とし、紹介している。 1章「常識はずれの発想が”アキバ”を創った」 おそらく現在 […]

象の背中で焚火をすれば

「地震」と「原子力」 今年はこの2つの単語が頭から離れられないと言っても過言ではない。3月11日に起こった「東日本大震災」は東北どころか日本全体にとっても大惨事と言える。そこから復興をしている矢先に台風12・15号が日本を直撃し、復興の道のりが遠のいている印象にある。 本書は阪神淡路大震災をはじめとした地震、原子力、そして政治を風刺したエッセイ集である。 <像の背中で焚火をすれば>. […]

雪姫(ゆき)―遠野おしらさま迷宮

岩手県の遠野というと「河童」が有名である。私だけかもしれないが「遠野=河童」という固定観念に支配されているのかもしれない。 元々は「遠野物語」の説話により生まれたものであるが、この作品は最も有名な民俗学者の一人である柳田國男が1910年に発表した作品である。昨年はその発表100周年を迎えることを考えると、「遠野物語」フィーバーと呼ばれるのかもしれない。事実昨年は「遠野物語」に関する作品が次々と取り […]

日本の1/2革命

西洋では「ピューリタン革命」「名誉革命」「フランス革命」「ロシア革命」など様々な革命が近世から近代のあいだで起こった。 では、日本ではどうか。ほぼ無いというに等しいかもしれない。唯一あったとしても1853年の開国から明治維新を指すことが多いだろう。 しかし著者の両人はその革命は「半分」であったという。ではなにが「半分」なのだろうか。本書ではそれについて解き明かしている。 第一章「日本人がフランス革 […]