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書評

消費税をどうするか―再分配と負担の視点から

消費税を増税するかの論議が急がれている今日この頃である。過去の政治政策による赤字国債も増え続け、現在では約950兆円にも上るほどである。そのためか国債の格付けランクも下がり、IMFからも赤字解消の督促まで上がっている始末である。 さて本書である。消費税は1989年、ちょうど平成に入った頃に導入され、銀行ショックなどあった1997年にも5%に引き上げられている。しかしそれから14年の間に消費税の変動 […]

ギンガ

小説を読むと不思議な感覚に見舞われるが、本書は今までの小説の中でも最も不思議な一冊と言える。関西から世界へ、そして世界から関西へと移るバンドの物語であるが、風変わりさはまさに良い意味での「奇天烈」な作品と言える。 確か、内容にも「訳のわからない狂気」と言う言葉があったのだが、まさにその通りと言えよう。むしろその「狂気」がロックに、そして音楽に昇華させていると言った方が良いのかもしれない。時折歌詞も […]

横綱の品格

今年の始め、横綱白鵬が連勝を重ね、双葉山の記録した69連勝を更新するのではないか、と囁かれ始めた。しかし記録は稀勢の里に敗れ連勝は63でストップしてしまった。69連勝の壁の厚さというのを感じさせた印象だった。その双葉山も前人未踏の70連勝にならなかったとき、師と仰ぐ安岡正篤に打電した、「未だ木鶏たりえず」も名言としてあげられている。 本書は横綱としてどうあるべきかを説いているように見えるタイトルで […]

ツイッターノミクス

本書を取り上げる時期が遅かったせいか、今となってはFacebookが大いに取り上げられる傾向にある。ウェブ社会の潮流は非常に速いことが窺える。しかしソーシャルツールとしての「Twitter」も隆盛が続いているだけに本書を取り上げるのも一興であろう。 本書は前書である「ウィキノミクス」の続編にあたる一冊でTwitterがもたらす社会の変化について論じつつ、これまで北米で起こっている現象をTwitte […]

人生がときめく片づけの魔法

著者とは昨年の12月に行われた「日本タイトルだけ大賞2010」でお会いしたばかりである。ちょうどそのときに著書を拝見したが、面白かったせいか発売日に購入した。 ではなにが面白かったのか、それは本章とともに見ていくことにしているが、まず言っておかなければならないのが、ありとあらゆる「整理術」や「片づけ術」とははっきり違うところが本書にはある、といっておきたい。 第1章「片づけても、片づけても、片づか […]

新左翼とロスジェネ

「左翼」という言葉が隆盛したのは1960年代後半から1070年代にかけてである。ちょうどそのときは「60年代安保」や「大学紛争」が起こった時期と重なる。 「左翼」というと、日本赤軍も思い出すがついこの前に永田洋子死刑囚が獄中で亡くなり、日本赤軍にまつわる事件は終わったという声があるが、私はこういう時こそ日本赤軍とは何だったのだろうか、左翼とは何かを考える必要がある。 戦後最長の好景気と言われた時代 […]

「きれいごと」を言い合っても世の中は変わらない

株式会社オトバンク 上田様より献本御礼。 社内外問わず「きれいごと」を言う人は必ずいる。政治のニュースでも「きれいごと」を言う人がほとんどであり、辟易をしてしまう。 しかしその「きれいごと」が体をなしているのかというと、ほとんど見あたらない。むしろ口と行動に齟齬があるようにしか見えない。 本書はきれいごとを言うような日本の政財界について苦言を呈するとともに、中国・韓国・日本と三国を見てきた著者がど […]

サブプライムから世界恐慌へ 新自由主義の終焉とこれからの世界

サブプライムローンの焦げ付き問題が発生したのは2007年夏頃、世界恐慌こと「リーマン・ショック」が起こったのは2008年秋だった。その頃からか経済は急速に衰退し、資本主義のあり方も問われだした。本書はそれの要因について様々な考察を行った一冊である。 結論からいうと「社会主義」が誕生するだろうといっているが、日本は元々「民主主義」は標榜しているものの、「社会主義」のような国家形態だった。当ブログで何 […]

残念な努力

著者はこれまでノート術や仕事術に関する本を読に送り出してきたのだが、本書ほど「異色」といえるような本を出版したことはなかったように思えてならない。 「残念な〜」は山崎将志氏の仕事習慣や思考法でベストセラーとなり、ビジネス書界でも流行語のように扱われるようになった。本書はそれに便乗しながらも著者自身が見たり、聞いたり、体験してきた「残念」なものをビジネスの視点から取り上げられている。 第1章「「ノー […]

こちらあみ子

本書は第26回太宰治賞を受賞した作品を含めた短編集である。ちなみに賞を受賞した作品名はそれではなく「あたらしい娘」というタイトルだった。 個人的にタイトルと内容を照らし合わせると改題したあとの「こちらあみ子」の方がしっくりと来る。理由は簡単で、主人公が「あみ子」であるだけに、タイトルと内容にギャップもなく読むことができる。 さて、内容はと言うと、あみ子の小学校〜中学校の間の不思議な体験を描いている […]