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エッセイ

並行宇宙でしか生きられないわたしたちのたのしい暮らし

面白い人は着眼点もまた独特である。もっとも「独特」と言える観点は、日常生活の中で生まれているという。 本書のタイトル自体は、けっこう宇宙人のような銘打ち方であり、なおかつ不思議ちゃんなのかなという印象を持たれてしまう。しかし本書の著者はある意味「宇宙人」と言えるほどの天才なのかもしれない。ユーモアにしても、着眼点にしても、自分では到底観ることのできないところをことごとく突いている。 車の運転にして […]

臆病な詩人、街へ出る。

中学の時代から詩を始め、高校になった頃には現代詩の中でも権威ある賞の一つである「中原中也賞」を受賞するなど、賞を総なめにしてきた。そのため「早熟の天才」と言われるようにまでなった。 しかし大学へ進んだ後は著者自身「冴えない女」と自称するようになった。なぜ「冴えない」と自称したのか、そこには、 就活経験ゼロ、恋愛経験も未熟。残されていたのは、世間知らずで平凡な「冴えない女」だったp.3より とある。 […]

皆川博子随筆精華 書物の森を旅して

私事ではあるのだが、私自身が書評を始めたのは2007年のことである。それから13年もの間、多くの本と出会うこととなった。数え切れないのだが、書評を行っただけでももう5千冊を超えている。本という書物に迷いながらも旅を続け、今に至っているのだが、この旅はまだまだ終わらない、もっと言うと一生終わらないかもしれない。 私事はここまでにしておき、本書は1970年代から約50年もの間文壇で活躍した皆川博子氏が […]

明るい覚悟 こんな時代に

著者はかつて文化放送のアナウンサーで、文化放送退社後は作家として活躍している。ありとあらゆる側面での作品を生み出してきたが、その著者は今年の1月で75歳を迎えた。75歳はきりが良いのだが、いわゆる「後期高齢者」の仲間入りを果たしたことになる。 これからの人生をどのように生きたら良いか、「老い」という避けられない要素が色濃く映り、なおかつ周囲の近しい方々が逝去する、あるいは病に倒れる中、自身も物忘れ […]

自然に学ぶ

本書の著者の名前を見てピンと思い浮かんだ人もいるかもしれない。もっとも本書の帯にも書いてあるのだが、今からちょうど20年前の2000年にノーベル化学賞を受賞した方である。その白川氏が自身、そして研究者としての人生を振り返りながら、科学の愉しさをエッセイとして綴った一冊が本書である。 1.「自然に学ぶ」 長らく科学的に研究を続けていった中で新たな発見を見出すことができるようになる。と同時に科学におけ […]

40歳までにコレをやめる

当ブログの「管理人紹介」で生年月日を明かしているのだが、私は現在34歳である。今年35歳を迎えるため、四捨五入するといよいよ40代、俗に言う「アラフォー」の仲間入りを果たすこととなる。実際に40歳になるまではあと6年であるのだが、もっとも毎日当ブログを更新していくとあっという間に迎えてしまう。 私事はここまでにしておき、本書の話に移る。文筆家・エッセイストの著者は1980年生まれで今年40歳になる […]

見るだけで運が上がる 魔法の言葉 不思議な写真

サンライズパブリッシング様より献本御礼。 本書はフォトブックであり、なおかつ運が上がる言葉を列挙した一冊である。 言葉というと、使い方、さらには種類によって、運気が上がったり、逆に下がったりすることがある。また写真についても、日常的なものから非日常的なものに至るまであり、観ることによって運気が変わることさえもある。 本書は「運気が上がる」言葉や写真を慎重に選びつつ、総合的な運気、人間関係、マインド […]

世を観よ

本書の著者はシテ方観世流の能楽師であり、3歳から初舞台を踏んで、77年もの芸歴を持つ。ちなみに著者はめでたく傘寿を迎えた。その傘寿を迎えるにあたり、日本と日本文化、身辺のこと、そして自らのホームグラウンドである能についての自らの見地を綴っているのが本書である。 一.「日本の四季」 日本には「四季」がハッキリとしており、四季折々の情景や食事などが楽しめることも日本らしい特徴である。その特徴を能の作品 […]

kaze no tanbun 特別ではない一日

本書は「短文集シリーズ」とある。実際に観てみると小説のようなやりとりもあれば、最近のニュースや日常などのエッセイもある。「短文集」とひとえにいっても、小説チックに描くようなこともあれば、エッセイチックに描くようなこともある。 本書のタイトルである「特別ではない一日」は単純に言うと「ありふれた日常」を表しているのかもしれない。 ありふれた日常の中で、なおかつ特別でないごく普通の一日の中で出てくる「特 […]

曙光を旅する

歴史小説でも有名な葉室麟が西日本を旅し、歴史や文豪などを知るために渡り歩くという一冊であるのだが、その西日本を旅したことにより、生まれた歴史小説も数知れず存在する。いずれも歴史的な論拠も捉えつつも、物語としても仕上げてきている。その原点が本書にあると言える。 ちなみに本書は朝日新聞の西日本版で掲載したものもあれば、本書のために書き下ろしたものも存在するため、連載しか観たことがない方々にとっても愉し […]