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ミステリー

お助け同心 尾形佐門次

江戸時代を描いた小説において、「同心」という名前を目にする。「同心」は江戸時代における役人の一つにあり、庶務や警備などを行う、あるいは軽犯罪を取り締まる警察の役割を担っていた。 同心は各藩におかれていたのだが、同心のあり方も多様であり、伊賀や甲賀では忍者を祖先とした同心がいる。また同心で有名な所では本書でも紹介される八丁堀の同心である。江戸時代初期に寺の多くが八丁堀から浅草に移動となり、その跡地に […]

量子人間からの手紙 捕まえたもん勝ち!

本書は先日取り上げた「捕まえたもん勝ち!」シリーズの第2弾である。本書の主人公は元アイドルの刑事を中心に事件を追うものであり、今回は変人の刑事とタッグを組む。今回はカメラをすり抜けて殺人を犯す犯人との闘いを表している。 ある意味近未来の様相を示しているように見えるが、その「近未来に見える」所にトリックがある。そのトリックを暴くべく2人の刑事たちが謎を追うという作品である。 しかも本書は謎解きのミス […]

采女の怨霊

采女は表紙にもある通り「うねめ」と読む。采女とは、 古代、郡の少領以上の家族から選んで貢進させた後宮の女官。律令制では水司・膳司に配属。うねべ。「広辞苑 第七版」より とある。本書は民俗学者が「采女」の謎を解き明かすために、古代の歴史を紐解くべく、奈良の地へと降り立った。そこには「采女神社」と呼ばれている実際にある神社に赴き、采女の謎を探ると言う物語である。 実際に「采女」は奈良時代において伝説と […]

ぼくをころさないで

本書はとある離島のペンションが舞台である。そのペンション、もとい離島には奇怪な存在がいる。それが人を喰らう「野良犬」がいるのだという。犬の中には獰猛で人を「噛む」と言った種類もいるのかもしれないのだが、「喰らう」犬は見たことも聞いたこともない。もちろん小説の世界であるため、フィクションではあるのだが。 その離島にて連続殺人事件が起こる。当初は人喰いの野良犬の仕業だろうと言われたのだが、その「人」と […]

天災は忘れる前にやってくる

諺に「天災は忘れた頃にやって来る」というのがある。そのパロディのように見えるタイトルだが、本書の物語は災害の前に現場にやってこようとしたら「事件」に遭遇すると言うものである。そう考えるとタイトルは「人災は忘れる前にやって来る」と銘打った方が良いのではとも考えてしまう。 しかもその舞台となる方々が勤める会社が、噂やホラ話といった風説をネット配信するという、雰囲気としては「虚構新聞」の雰囲気を持ってお […]

捕まえたもん勝ち! 七夕菊乃の捜査報告書

元々はアイドルだったのだが、夢を求めて引退し、警察官への道を進んだ。その「夢」こそ「刑事」だった。しかしその叶った「夢」の舞台は想像以上に厳しいものだった。「刑事」の世界の中で「元アイドル」と呼ばれる女性が入ったことによる風当たり、さらには刑事同士の確執など渦巻いている世界の中で刑事をやっていけるのかの葛藤があった。 しかし女刑事の周囲には一癖二癖ありながらも、難事件を解決する目的がある。本書で取 […]

貴方のために綴る18の物語

ミステリーはいくつか読んだことがあるのだが、本書の帯に「新たなるミステリーの形」と言う言葉に惹かれ、手に取った。実際に呼んでみるとミステリーであるのだが、短編集という部分もある。 実際は短編集ではなくミステリーであるのだが、なぜ「短編集」と書いたのかというと、タイトルに「18の物語」と書いてあり、18の物語をそれを読んだ女性の心理を描いている。実際にとある老人から女性に依頼されたのだが、女性もさる […]

法廷遊戯

本書は法科大学院(ロースクール)に通う3人の学生が中心となっているのだが、法律を勉強する中で法曹の道へと進んでいく。しかし学生の告発をした差出人不明の手紙が届いた所から物語が始まる。 この手紙が起因となって不可解な事件が立て続けに起こる。3人の学生はその真相を究明すべく法律をもとに、解き明かしていこうとするのだが、様々な分岐が起こる。さしずめ裁判を行っているかのようなものだった。 事件と法律は密接 […]

予断捜査

東京のとある住宅街で一家殺人事件が起こった。その家族の妹が旅行の最中だったため、難を逃れたが、ニュースを知り、急遽戻ってきた。 なぜそのような事件が起こったのか、犯人は一体誰なのか。殺された家族は資産家でもあり、大学教授だった。しかもその大学の総長の選挙を控えていただけに、怨恨を始め、様々な線で捜査を行っていったが、実際には「一家」の歪んだ実態が明らかになっていった。 日本の国会や自治体のみならず […]

鬼同心と不滅の剣 牙貸し

江戸時代における身分の一つに同心がある。現代で言う所の警察官であるが、その中でも町の奉行所の中で見回りや軽い犯罪の取り締まりを行う役割を担っている。最近でも見かけることがあるのだが、地元の警官がパトカーや自転車、あるいは白バイ、徒歩でパトロールをする役割と考えれば良い。 前置きが長くなったが、本書は江戸の大伝馬塩町(おおでんましおちょう、現在の東京都中央区日本橋本町四丁目)の長屋で賊に襲撃される事 […]