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中公新書

海ゴミ―拡大する地球環境汚染

「環境問題」と一括りにしても様々な問題があるが、新聞・TVで取り上げられる環境問題はその氷山の一角に過ぎない。 本書で紹介する「海ゴミ」も少数ながらメディアで取り上げられるが、あまり熱心に取り上げられていないものである。この「海ゴミ」の問題は地球環境もさることながら、生態系への悪影響、さらには、国内外の事情など複雑な要素が絡んでおり、解決までの道のりは険しく、かつ遠いが看過できない問題でもある。 […]

風流 江戸の蕎麦―食う、描く、詠む

本日はクリスマスイブでだが、それを過ぎるとすぐに「年越し」が始まる。その「年越し」になると「おせち」とともにいわれるのが「年越しそば」である。「年越しそば」とはいったいどこからきたのかというと、諸説はあるもの少なくとも1814年頃に刊行された「大坂繁花風土記」により定着されたとあるらしい。 「年越し」と呼ばれる年末に限らず、納涼として「そば」があり、即席麺としてのそばであれば一年中食べられている。 […]

超高齢者医療の現場から - 「終の住処」診療記

バブル崩壊のころから日本は「高齢化社会」と言われてきた。そして現在では総人口に対する高齢者の比率は20%に迫る勢いを見せ、「超高齢社会」と言われてもおかしくないほどにまでなった。 その時代だからでこそ「医療」や「福祉」が重要なものとなるが、本書は病院や「老人ホーム」などの高齢者施設の現場と現状を鑑みながら、これからの「超高齢社会」の医療のあり方を提言している。 第一章「実の娘の介護放棄」 「介護放 […]

官僚制批判の論理と心理 - デモクラシーの友と敵

近頃のTVや新聞でも相変わらず「官僚批判」が後を絶たない。もっとも「官僚を叩けば日本は良くなる」といった幻想を信じているようにしか私には思えない。 しかしその「官僚制批判」を政治哲学という観点から紐解けるという。本書はそれを明かしている。 第Ⅰ章「リヴァイアサンとロマン主義」 「リヴァイアサン」と言えば「万人の万人に対する闘争」で有名なトマス・ホッブズの代表的な作品である。主に階級的な政治(絶対王 […]

ブラジルの流儀―なぜ「21世紀の主役」なのか

「BRICs」の一つであり、経済的にもスポーツとしてもホットといわれているブラジル。「スポーツとしても」とあるが、サッカーワールドカップが2014年、夏季オリンピックが2016年、このブラジルで行われる。 中国やインド、そしてロシアが2000年代の台頭となっていく中で、ブラジルは一歩遅れた状態にあった。しかし前述のオリンピックやワールドカップが開催されるようになってから新興国の中でも主役となりつつ […]

印象派の誕生―マネとモネ

フランスでは19世紀中頃に「印象派」というものがあった。代表的な人物として挙げてみると、本書の副題にあるマネとモネ、ゾラ、ルノワールと枚挙に暇がない。クラシック界でも同じように「印象派」があり、ドビュッシーやラヴェルが活躍した。本書は印象派の研究の中でもマネとモネの比較を中心に「印象派」によって美術の趣がどのように変わっていったのかを考察している。 第1章「印象派の成り立ちを見てみよう」 印象派が […]

超「超」整理法 知的能力を飛躍的に拡大させるセオリー

野口悠紀雄といえば「「超」整理法」という本で有名であるが、すでに「Web2.0」と言われて久しく、仕事や整理の状況も劇的に変化してきた。著者も、 「「超」整理法を書き直す時が来た」(序論より) というほどであるので、これからの時代に沿った「「超」整理法」だが、時代のスピード、特に情報が飛び交うスピードが飛躍的にアップしていることからさらに、「超」をつけ、「超「超」整理法」という名で新しい「整理法」 […]

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ

昨日の午後に民主党代表選が行われ鳩山由紀夫が代表に選ばれ、6年半ぶりに代表職に就くこととなった。民主党にしてみれば新しい船出といったところであろうが、私から見たら96年の民主党結党から約8年間続いた「菅・鳩山」体制に逆戻りしたのではないかと邪推してしまう。今の鳩山由紀夫が頼りがいがあるのか、それとも旧態依然の体質に戻りたいのか民主党議員たちの心情は闇の中である。 ともあれ、民主党は新たな船出となっ […]

イワシはどこへ消えたのか―魚の危機とレジーム・シフト

私が子供の時、周りの友達の多くは「嫌いなもの」というと「イワシ」と答える人が多かった。しかし今となってはそのイワシも見るのが珍しいように思える。見たとしても100円ほどで売っている缶詰と言ったところである。本書を少しめくった所によると、現在の水揚げ量はピーク時の60分の1にまで減少しているという。数字自体は疑いはあるとはいえどそれに近いのは間違いないだろう。珍しいまでになったのだから。 その一方で […]

戦う動物園―旭山動物園と到津の森公園の物語

旭川市にある「旭山動物園」、福岡県北九州市にある「到津の森公園」の共通点は絶望的な危機となった状態から見事に変貌を遂げたことにある。かたや試行錯誤の末「行動展示」を行うことによって「日本一の月間入園者数」を記録し、かたや地域の力でもって閉園から復活させた。本書はこの2つの動物園の復活へのエピソードと両園長の交流について書かれている。中公新書は学術的なものが多く読みにくいものが多いが、良い意味で「中 […]