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事件

向島・箱屋の新吉 梅若の涙雨

本書は「向島・箱屋の新吉」シリーズの第3弾となる作品である。本書の舞台は現在の墨田区堤通にある「木母寺(もくぼじ)」。その創建のきっかけとなる梅若丸を弔ってつくった「梅若塚」がある。 新吉はいつもの箱屋の仕事で移動をしている最中、梅若塚を通っている最中に女が涙している姿を目にした。その女に涙の理由を聞くと、女衒(ぜげん・江戸時代に、女を遊女に売ることを業とした人のこと)に売った娘の行方を捜している […]

向島・箱屋の新吉

江戸の向島にて箱屋をしている男が主人公で、そこにて出くわした事件を解決するために奔走する一冊である。そもそも箱屋とは、 1.箱を造り、またはそれを売る家。また、その人。 2.御座敷に出る芸妓に従って、箱に入れた三味線を持って行く男。はこまわし。はこもち。はこ。「広辞苑 第七版」より とある。特に本書では2.の意味を指している。表紙にも男性が黒い長方形の荷物を持っているのだが、この中には三味線が入っ […]

刑事が法に背く時

よくある「こいつおまわりさんです」を連想するようなタイトルである。警察、もとい刑事は犯罪者に対しては厳しく取り締まり、善良な国民に対してはやさしいイメージがもたれる。しかしあくまで私のイメージにあたるため、他の人にとっては、ドラマ・アニメ化されたマンガ「ハコヅメ」の1シーンのごとく警察に対しての罵詈雑言のような事も少なくない。 それはさておき、刑事であっても一人の「人間」である。法律と道徳の狭間に […]

<銀の鰊亭>の御挨拶

とある港町の高台に「銀の鰊亭」と呼ばれる老舗料亭・旅館があった。風景を一望できる所と高台にあるところから「高級」と名付けられたのだろう。 しかしその料亭には謎の「事件」が連続して起こった。しかもその料亭に通う人、働く人にも何かしらの「謎」があり、本書の帯の通り「謎」がいっぱいだった。その謎を解くとなると、料亭で料理を舌鼓しながら一息つけるわけでもなく、謎を解いていかないと行けないことになる。 その […]

おいしくて泣くとき

子どもの貧困を救うために「子ども食堂」と呼ばれる活動が全国的に行われている。無料、もしくは有料でも手頃な価格で食べられ、子どもたちの「共生」やケアを主体として行われている。特に「格差」が社会的も深刻に取り上げられ、なおかつ貧困が子どもにも波及してからそのような活動が広がりを見せた。しかしながら、昨年初頭から出てきた新型コロナウイルスの感染拡大により、運営自体が厳しくなってしまうケースが後を絶たない […]

偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理

とある駅前交番の警察官だが、推理力はズバ抜けている部分もあるが、実は「訳あり」とも呼ばれている警察官である。 その警察官の名が本書のタイトルになっている狩野雷太、そして彼が所属している交番が神倉駅前交番である。本書はこの警察官の周囲で起こった事件、そして狩野雷太自身が推理した物語を5編収録されている短編集である。 一見小さい事件のように見えて、実は大きな事件のきっかけとなるようなものだらけであり、 […]

ほんのこども

「子ども」と言うと純真無垢であり、なおかつ可愛い存在とも言える。しかし純真であるが故に、時として残酷な言葉をなげかける、あるいは残酷なことを行おうとすることもある。 しかしそれらは自発的に行うと言うよりも、両親、さらには周囲の人物の影響によるところが多い。本書で登場する子どもたちの親が起こしたある「事件」がきっかけにより、性格や行動が歪んでしまった、いや「壊れてしまった」が適当かも知れない。 壊れ […]

全部ゆるせたらいいのに

「許す」と言う言葉は、人の度合いによってできるかどうかが大きく異なってくる。よくある「あたりまえ」や「ありがとう」と同じようなものなのかも知れない。 今ある状況が、自分自身の持っている許容量を超える様な事になった時、そういったことが突然起こり、不安を呼んでしまうことも往々にしてある。そうなったとき、あなたは洞のように思い、振る舞うのだろうか。 人によっては、想像もできないことに相容れられず、許せな […]

サリドマイド 復活した「悪魔の薬」

この頃新型コロナウイルスに関して治療薬やワクチンの開発がドンドンと進んでおり、国産の治療薬やワクチンの開発もそろそろ佳境を迎えていると言う話を聞く。治療薬などを含めた薬の開発は著しいのだが、薬の中には、中には薬の中でも好ましくないような分類に当たるようなものも存在する。 本書で紹介するのはサリドマイドであるが、薬、もとい化合物として知る方もいることだろう。むしろネガティブな意味で知られるケースも少 […]

数式に記された愛

本書のタイトルからして数学者が主人公なのかと思いきや、実は発明家だった。もっと言うと、「『愛』について数式を使って証明せよ」といった問題を解く物語なのかとも邪推したのだがそれでもない。 ではいったい本書はどのような物語かというと、発明家の主人公が不思議な数式に出会った。その数式には「愛」の原型が隠されていただけでなく、世界の火種となるようなものも隠されているものだった。その数式に秘められた暗号が、 […]