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小説

光をえがく人

もしもあなたが気分が沈む、あるいはネガティブな状況に陥ったときに何を行うか。音楽を聴く、本を読む、飲食をするなど方法は沢山あるのだが、中にはアートに触れると言うのもまた心洗われ、ネガティブな気持ちから解放されると言う人もいる。 本書はそのような人たちを描いた短編集であるのだが、それぞれの境遇の中にある「アート」、そして触れることによってもたらされる効果が見て取れる。もっともアート自体は論理では無く […]

五つの季節に探偵は

人間には感情や理性の他に、「心」がある。しかしこの「心」が厄介で、表に出てくる心境もあれば、誰にも悟られることのない心の「闇」の部分もある。その「闇」の中に、隠された「本性」がある。 その「本性」を暴かずにいられないとある探偵が16年の長い月日の中で5つの事件と出会った。それぞれ春夏秋冬、そしてもう1つの春と合計5つの季節で以て描かれた短編集である。 一番古いものとして2002年春、そこから200 […]

見た目レンタルショップ 化けの皮

何とも物々しいタイトルなのだが、表紙にもあるように、化け狐を扱う主人と狐たち。そして狐たちをレンタルする10人のお客が織りなす物語が本書である。もっとも10人のお客もまた「訳あり」で、化け狐をレンタルしたことにより、化けの皮が剥がれるようになってくる。その剥がれた人間の本性とはいったい何かをあぶり出している。 もちろんレンタルを行っていく中で 条件1 犯罪行為に使わない 条件2 中身が入れ替わって […]

チームⅢ

来月開催の出雲駅伝から大学駅伝シーズンがスタートする。その後は俗に「伊勢路」と呼ばれる全日本大学駅伝があり、関東の大学のみとなるが、正月の風物詩である箱根駅伝もある。他にも中学や高校、実業団、さらには男女関わらずなど様々な「駅伝」があり、TV放送も数多くある。 もっとも有名なものでは箱根駅伝であり、箱根ランナーの中にはオリンピック、さらには世界陸上で活躍している選手も少なくない。しかし選手によって […]

ヴィクトリアン・ホテル

私事だがあまりホテルに行ったことが無い。もっとも旅行もここ最近行っていないことも理由であるが。 私事はさておき、本書の舞台は誰もがうらやむ超高級ホテルである。しかしそこに訪れた宿泊客は一癖はあれ、普通の宿泊客であり、繋がりはないように見えた。しかしある事件を契機に、知られざる「関係」がだんだんと浮かび上がってくる。 ミステリー作品となるとホテルが舞台になることはけっこうある。ホテルの殺人事件、しか […]

阿修羅草紙

本書の表紙を見るからに「阿修羅」の雰囲気を見せている。その表情、さらにはタイトルにあるように、忍びにいるとある少女が、奪われた巻物を取り戻すために戦いに投じていくという物語である。 戦国時代のイメージを持ってしまうのだが、細川勝元や山名宗全がいる時代であるため、室町時代の中期にあたり、ちょうど応仁の乱における戦いにあたる。しかし本書は応仁の乱自体を舞台としておらず、その裏で忍びたちとの死闘を描いて […]

つながりの蔵

人には必ず、何かしらの「つながり」を持っている。親子にしても兄弟姉妹にしても、友人にしても、職場・学校の人間関係にしてもである。 本書はとある小学生が家の外れにある蔵が舞台である。小学生は父を亡くし、母と兄弟とで暮らしていた。その哀しみを隠しながら友情・恋愛・ファッションとを謳歌しながら、友達と一緒にとある蔵に入った。 その蔵にはもちろん昔ながらもものや、親・祖父母、あるいはその上の代にまつわる品 […]

愛という名の切り札

「結婚」や「恋愛」のあり方は年々変わってくる、というよりも「多様化」している。結婚届を出して、結婚式や結婚パーティーを行うような結婚もあれば、「事実婚」と結婚届を出さずに同棲したり、付き合ったりすることもある。 また恋愛観・結婚観もまた「様々」である。本書は特に結婚観に関しての「それぞれ」の考え方を描いている一冊である。離婚をしたい女性、結婚に価値を見いだす女性、逆位見いださない女性と様々な結婚観 […]

共犯者

本書はミステリーの中でもよくある、1つの殺人事件を追っていくというものであるのだが、その殺人事件が意外な人間関係をあぶり出していくこと、さらには家族や警察、世論まで動き、やがて壊れるなど1つの殺人事件をきっかけに、人間、あるいはその周りの人びととの関係にある「闇」が明らかにされるという一冊である。 もっとも事件の謎を解き明かすと言うよりも、むしろその謎解きの中に出てくるなかでの、世間・人間関係の変 […]

緊急事態下の物語

「緊急事態宣言」は新型コロナウイルスの感染拡大の度合いによって出ており、これまで緊急事態宣言は4回、まん延防止等重点措置は2回発令された。第7波は発令されていないが、「BA.5対策強化宣言」が地域によって出ている。 本書はそのコロナによる緊急事態宣言下の中で紡がれる物語である。この「緊急事態宣言」の色が強かった時期として1回目の宣言下がある。その時は飲食店はどこの店も閉まっており、学校もなく、会社 […]