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小説

失踪.Com 東京ロンダリング

失踪者は毎年のように出るのだが、そもそも失踪者と言うと理由もあれば、理由もなく失踪をする人もいる。その失踪者がいかにして生まれたのか、本書ではそこに事故物件が住んでいる人々であるという。その事故物件をロンダリング(洗浄)する業者が再び動き出した。 しかしそのロンダリングをするような人々に対してとある「妨害」があった。その妨害は一体だれが、そしてどのように行われてきたのか、それを負っていくうちに事故 […]

アシタノユキカタ

「母を訪ねて三千里」という作品がある。本書はその作品に少し似ている部分があった。先述の作品は母を追いかけて遠い国へと自ら旅をした。一方本書の場合は「母を探して」と言う部分で共通するところであるのだが、主体となって動いているのはその母の恩師であり、なおかつ一人ではなく、探している母の娘も一緒に連れてのこと。しかも国跨ぎでなく、地方をまたいで探しに出かけるというものにある。 その旅の中で知ることとなっ […]

死の天使はドミノを倒す

とある事件が起こり、警察や検察、弁護士といった人間が関わる。それらの人物の周りには必ずと言ってもいいほど「ミステリ」と呼ばれるものが出てくる。 本書はそれらの他にも売れない作家や編集者などが交わり、「文章」に携わる方々も巻き込んだものである。そこにはある「事件」が共通しているのだが、その事件が「死の天使事件」である。 では「死の天使事件」とは一体どのような事件なのか、そしてなぜ謎に包まれたのか、関 […]

ピンポン

本書のタイトルと言うと、今から15年前に映画が公開され、大人気を博した作品といて有名であるのだが、本書はそれとは全く関係がない。しかし卓球小説であることには共通するものである。 先述の映画の主人公は高校生である一方で、本書は中学生である。中学校で卓球に出会い、そこで活躍していく物語であるのだが、その卓球を通じた人とのやり取り、さらには卓球の歴史も掘り下げながら、中学生は成長していく作品である。 本 […]

肉骨茶

家族は旅をしていたのだが、その旅の最中に家族と抜け出し、友人の別荘に身を隠すことになった。しかしその身を隠した先で「食」の地獄に身を投げることになった。その食を逃れるための旅と逃走に対して、結局のところ「食」の尊さと言うよりも、そのものの「怖さ」と言うものを思い知らされた一冊と言える。 中編ではあるものの読みやすさもあるのだが、その「生きる」ことにおける「食」を考えさせられ、なおかつ食に対するあり […]

シンデレラの告白

中世から近世にかけてのヨーロッパでは魔女裁判が横行し、陰湿な社会となっていった。その社会の中で生きるとある姉妹は、姿から「鬼」と称されるほど外見は醜い一方で、心の美しさは存在した。 その心の美しさをいかにして表していくのか、密告や魔女裁判などのような醜い社会の中でどのように光り輝いていくのかも描いている。 中世ヨーロッパの歴史を事細かに研究して描いているだけでなく、人としての生き方、そして人とは何 […]

COVERED M博士の島

瀬戸内海の小さな孤島を舞台にした物語であるのだが、その舞台にとある医療研究の材料を集め、行うのだが、その「医療」は「美」を追究するものであるという。 その追究に対してある主人公は当選をすることになった。人生に絶望をしながら、そこから脱するために全身整形を受けるのだが、その受ける舞台が孤島というのも突っ込みどころがあるのだが、その舞台で手術・研究を行う博士の死体が見つかった。そこからミステリが始まる […]

戦始末

どんな戦いや行動にも「後始末」は必要であり、その後始末はいったい誰がやるのかと言うのもカギである。本書は戦国時代における戦の後始末であるのだが、その中でも「負け戦」の後始末は大変なものである。どのように大変なのかと言うと「負ける」というネガティブな感情もあれば、最小限に被害を抑えるというような実務的な負担もあるので、両方の意味で大変なものである。 その戦における後始末の中心的存在となるのが「しんが […]

まっぷたつの先生

「まっぷたつ」と言っても物理的にそうなったら怪奇小説であるのだが、本書はそうでなく、人格、あるいは時間軸的に「まっぷたつ」を表している。「時間軸的」というのが本書において最も重要な要素であり「現在」の自分と「過去」の自分それぞれを表している。その表している中でどのような交錯があったのかを描いている。 その交錯は人間における変化を表している一方で、ある年代を2つ取り上げつつ、ぞれぞれの境遇と過去と現 […]

『レ・ミゼラブル』の世界

今からちょうど155年前に作られたロマン主義の大河小説がある。その名も「レ・ミゼラブル」。元々は「悲惨な人々」を意味している悲劇なのだが、その悲劇は小説の枠を超え、映画やアニメ、ミュージカルにも展開していった。特にミュージカルの世界では「夢やぶれて」「民衆の歌」は一つの曲として一躍有名となった。そもそも「レ・ミゼラブル」はどのような小説で、その小説を描いたヴィクトル・ユゴーの思想とは何かも併せて取 […]