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推理

イヴの末裔たちの明日 松崎有理短編集

人には誰しも「究極の選択」といった場面に直面することがある。その数・質は人それぞれかも知れないが。 それはさておき、本書は悲喜こもごもの「究極の選択」が求められる物語を5編取り上げている。そもそも「究極の選択」は人生の大きな転機になるのだが、その「転機」自体は悲しいところからの脱出や、長らく未解決だった件を解決することなど様々な傾向のものが収録されている。 全て近未来のSF作品であるのだが、現実味 […]

月岡草飛の謎

本書は架空の俳人である月岡草飛の謎について追っている短編集である。もっとも作品集を見ていく中で月岡草飛の放蕩ぶりや、突飛な行動などが目立つなど、俳人というよりも、ある意味「廃人」と言うほかない様な人物のように思えてならないが。 自由気ままに生きる月岡草飛の周りには、異質なものが舞い込むのだが、実際に欲望のまま突き進んでいった先が異世界なのだから、ある意味ナンセンスな物語である。よくあるラノベの異世 […]

ジグソーパズル48

タイトルを見ると、「AKB48」に似せてつくっているような印象である。しかし本書は女子高生たちが様々な事件に巻き込まれながらも、解決に導いていくという物語である。しかも同じ高校、さらには同じ学級のクラスメートたちであり、それが全員で48人いるから「48」と名付けている。 女子高生ならではの青春を謳歌しているかと思いきや、ことあるごとに事件が起こり、青春どころではなく、事件の推理を行っていくような流 […]

消えた断章

推理作家を目指すとある大学生は妹の友人と出会うことに。その友人にはある事件に巻き込まれた。身内トラブルのように見えて、実は殺人事件だったという。その事件は友人の一家が崩壊する序章となったのだが、その事件の裏にはどのようなものがあったのかと言うものである。 推理小説というと、事件が起こり、謎を解明し、解決するといった一種のフォーマットのようなものがあるイメージだが、本書にはそれがなく、むしろ推理をす […]

レジまでの推理 本屋さんの名探偵

本屋を「知のオアシス」と本書の帯に書いてあったのだが、まさにその通りである。もっと言うと「オアシス」というよりも、「桃源郷」といった方が良いのかもしれない。知的な快感を得ることができ、なおかつさらなる知を求めて毎日のように通いたくなるほどである。知的な意味で「変態」な私なので、そう思ってしまってならない。 私事はそこまでにしておき、本書はその書店を舞台にしたミステリーである。しかしミステリーという […]

ライオンの歌が聞こえる

本書はサブタイトルにもあるように「平塚おんな探偵の事件簿」の第二弾であり、言うまでもなく平塚を舞台にし、2人の女性探偵が事件をドタバタしながら解決に導くというものである。 何てことがない依頼から事件が発展し、様々な関連性を調べていくのだが、その赴く中で平塚の細かい地名なども挙げられており、平塚市民であれば「ここか!」と言ってしまうようなこともあるようにつくられている。 ミステリー作品でありながら、 […]

名無しの蝶は、まだ酔わない 戸山大学〈スイ研〉の謎と酔理

ミステリー作品であるのだが、ある意味ミステリー作品ではないような雰囲気を持つ一冊であるのだが、そのミステリーの中で推理作品にあたるのかというとそうではない。本書の帯にも書いてある通り推理作品ではなく「酔理」作品であるという。 というのは大学の研究会なのだが、そこは事件に対してトリックを暴くというような「推理」を解き明かすのではなく、酒に対してどのように酔うのか、それを追求する研究会であるという。も […]

ジェリーフィッシュは凍らない

本書の帯には「21世紀の「そして誰もいなくなった」登場!!」とある。そもそも「そして誰もいなくなった」の作品は名探偵エルキュール・ポワロシリーズで有名なアガサ・クリスティーが著した推理ミステリー小説である。それに近いような雰囲気を醸したことからそう名付けられたのかもしれない。 本書を読んでみてどうなのかというと、もちろん本格的なミステリーであるのだが、本書で起こった事件の「謎」がいかにして生まれ、 […]

名探偵の証明 蜜柑花子の栄光

「密室館殺人事件」で有名な蜜柑花子の名探偵シリーズの一冊である。今回はその密室館殺人事件に関連する人物からの依頼だった。しかしその依頼を受けた事件は完全に蜜柑花子を試しているかのようなゲームを持ちかけているようだった。まるで犯人たちはそのゲームを嘲笑いながら楽しんでいるような感じで、事件の行く末を見ている。 肝心の蜜柑花子は移動を繰り返しながら未解決事件を紐解いていくのだが、なぜ「移動」をするのか […]

杉下右京の冒険

人気ドラマ「相棒」シリーズで水谷豊が演じる杉下右京が主人公として、三宅島や御蔵島、そして韓国を舞台にした謎の事件を描いている。 「相棒」シリーズのファンの人であれば十分に楽しめる一冊であるが、私自身「相棒」はあまり見たことが無い(と言うよりTVすらあまり観ない)人なので、前知識はそれほどない。しかし人気ドラマである「相棒」シリーズそのものを堪能することができる。 文字から出てくるセリフは、ドラマで […]