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文化

源氏物語、〈あこがれ〉の輝き

著者のノーマ・フィールド氏(以下:ノーマ氏)は大学時代にいやというほどその名を聞いた。ちなみに私ので他大学は小樽商科大学で、今はブームは去ったが「蟹工船」で有名な小林多喜二の母校である。ノーマ氏はシカゴ大学教授であり、日本研究者である。そのノーマ氏は最近小林多喜二について研究を行っており、私の大学でも上げられ、ノーマ氏も1〜2回ほどその大学で講演を行った。そのことから私は「ノーマ氏=小林多喜二研究 […]

ジャパンクールと江戸文化

ジャパンクールについては取り上げたばかりで(「ジャパンクールと情報革命」)、しかも江戸文化と共通するところがあるという考察がされている内容も含まれていたのだが、偶然というのは恐ろしいものでそれを銘打った本がほかにあった。本書は今大流行している日本アニメ・マンガの「ジャパンクール」とこちらも流行となっている江戸文化の関連性について考察している一冊である。 第1章「ジャパンクールから見える江戸文化」 […]

江戸人のしきたり―日本橋、天麩羅、三社礼、寺子屋、歌舞伎、吉原…日本人の知恵と元気の源泉

江戸時代というと様々な文化が栄えた時代でもある。しかし鎖国状態であったため海外からの文化を取り入れるということではなく、日本独自に築き上げた文化であったため、幕末に外国からきた者たちは非常に珍しがり、かつ畏敬の念を払ったとも言われている。その江戸文化は落語の世界、とりわけ古典落語の世界から存在しているため、江戸文化というのはわりととっつきにくいというわけではない。本書はその中から江戸人のしきたりを […]

日本の風俗―起源がよくわかる本

普段当たり前にやっている挨拶などの礼儀作法やマナー、年中行事と言った者は一体どこからきているのか、なぜこれを行っているのかというのを皆さんは考えたことがあるか。本書はこう言った起源をわかりやすく解説されている一冊である。民俗学的にも入門書であるのでこれからこう言った学問に入るという人でもすんなりと前知識を取り入れていける。さらにこれを読めば普段やっていることをもっと心をこめて行える、はずである。 […]

クジラは誰のものか

今、それほどでもないが先日にはシー・シェパードが日本の調査捕鯨船を妨害工作をしたという事件があった。当ブログでも昨年末に「日本人とクジラ」でもって共生の在り方を主張してきたが、クジラについての再認識が必要であると考え本書を手に取った。 序章「クジラと人間」 捕鯨問題は日本の食文化にも大きく影響を及ぼすと考えると本書で言う「試金石」というのはまさにその通りであろう。捕鯨問題は環境問題や動物愛護の問題 […]

囲碁文化の魅力と効用

小学校の時に囲碁をやったことを覚えている。今ではほとんどやらないが、以後の番組を見ることがたまに観る程度である。 しかし囲碁というのは五目並べのように簡単なものではない。碁石でもって陣地取りをするゲームであるため戦法や定石のみならず、細やかなルールも覚えなくてはいけない。しかし一度ルールを覚えれば囲碁の世界は無限に広いといわれているのでやればやるほど病みつきになり、勝っても負けても勉強になる面白い […]

コスメの時代―「私遊び」の現代文化論

本書を読んで、ずっと前に「電車の中で化粧する女たち」を書評したことを思い出す。確かこの時に書いたのは、「化粧とファッションについて」、「化粧はマナー違反であることの反駁を求める」ことであった。今思えばこのコスメと「遊び」、「オタク」の考察についてがほとんど書かれていなかったことに気づく。だが本書はこういったことをさらに深化して考察している1冊である。 序章「ファッションの八〇年代から化粧の現代へ」 […]

サンタクロース学

今日は「クリスマス・イブ」である。仕事と書評に生きる私にとっては無縁のことであるというと、何かさびしい気が起こるので、私情はここでおしまいにしておく。 本書のタイトルを見ると一見不思議な学問である。サンタクロースを学問としているのだからクリスマスとサンタクロース、それをどのようなことを考察しているのだろうかという興味を抱き本書を手に取った。ちなみに本書は「哲学の学校」シリーズであることを見ると、何 […]

天気予報いまむかし

ニュース番組でも新聞でもインターネットでも必ず流れる天気予報は流れる。この天気予報はどのような歴史があるのかというのを見てみたいがために本書を手に取った。 本書は天気予報についての今昔について書かれている1冊である。 第1章「天気予報の文化的側面」 よく天気予報で「今日は暦の上では…」というのが多い。実際「暦」というのは全部で二十四節あり代表的なもので言うと「立春」や「秋分」といったものがあるだろ […]

文明開化失われた風俗

「ザンギリ頭を 叩いてみれば 文明開化の 音がする」 明治時代の文明開化を象徴する非常に有名な都都逸(どどいつ:七・七・七・五の音数律で歌われるものであり、江戸時代末期に誕生した)である。 1853年にペリーが浦賀沖に来航したことをきっかけに明治維新への潮流が巻き起こり、その一方で様々な外国文化が日本に入ってきた。とりわけ文明開化の時代では「牛鍋」というのが大流行した。江戸時代まではこういった「肉 […]