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文学

読書は格闘技

私自身読書は「一期一会」の出会いと思っている。しかしそういったことは私だけに限らずとも読書に対するとらえ方は人それぞれある。ちなみに本書の著者は「格闘技」なのだという。これも強ち間違いではなく、書き手の考えと読み手の考えの戦いであり、時には同調しながらも対立することがあるという表れでもある。もっとも私自身だったら自分自身の思想と正反対の本を読む際にはそのようなことが言えるのかもしれない。その「格闘 […]

温泉文学論

「温泉」というと「憩いの場」とか、「癒しの場」というような役割を担っている。本書のタイトルである「温泉」を舞台とした文学作品を中心に取り上げているが、温泉と文学というと関連性がないようであるように思えてならない。作家が作品を仕上げるために温泉旅館に缶詰になる事もあり、温泉を舞台にした作品を生み出しやすいといえるのだが、それも温泉文学が寄与したとも考えられる。 第一章「尾崎紅葉『金色夜叉』・・・・・ […]

瓦礫の中から言葉を―わたしの<死者>へ

東日本大震災では、多くの人命が失われ、多くの家屋が失った。復興は今でも進んでいるのだが、思ったよりも進んでいない、という事実も存在する。そのような状況の中で、震災によって2万人近く失った人々はどのように思っているのだろうか、そして私たちは亡くなられた方々にどのような言葉を送るのか、本書はふるさとを失った作家が言葉を手がかりに、自らの文学と人生を回顧している。 第一章「入江は孕んでいたー記憶と予兆」 […]

魯迅――東アジアを生きる文学

魯迅というと「阿Q正伝」「狂人日記」「故郷」といった作品が有名であり、日本にも留学経験があることから、中国大陸・日本双方の国で愛されている数少ない作家の一人である。 作家としての魯迅、いち中国大陸の人としての魯迅、東京・仙台に留学を経験した魯迅、思想家など学者として活躍してきた魯迅、と様々な「魯迅」の顔が見える中で、本書は魯迅の生涯にスポットライトを当てると共に、どのような変遷で多くの名作を生み出 […]

主人公はいない―文学って何だろう

書評を常日頃から行っている私自身にとって小説などの文学作品は苦手である。というのは背景描写からどのようにして読者に伝えていけば良いのかわからないのと、決まった読み方がないこと、さらには叙情的な表現が多く、どこをピックアップしたら良いのかわからないところにある。 その文学作品をどのようにして読むのか、どのようにして役立て、楽しむのか、本書は文学研究、及び文学ゼミを行っている立場から文学の良さを提示し […]

カネと文学~日本近代文学の経済史

私の周りには様々な「作家」がいる。ある人は「あまり儲からない」、またある人は「儲かるツール」として扱われている。ただ、共通しているのは、「名刺」として広く自分の名前や考えを知らせるツールとして「出版」がある。 その「出版」を通じて、自分の作品や主張を広める人のことを「文士」を呼び、そしてその文士たちが集う世界のことを「文壇」と呼ばれるが、かつて「文士」や「文壇」と呼ばれるところは「貧乏」の代名詞だ […]

ケーキの歴史物語

男女問わずスイーツが人気を呼んでいる。 そのスイーツの代表格として挙げられるのが、本書で紹介する「ケーキ」である。 私も甘いものは好きであるが、ケーキ自体は誕生日とクリスマスといった「記念日」にしか食べない。その理由は単純に食べるきっかけがないから、としか言いようがない。 それはさておき、ショートケーキと言ったオーソドックスなものから、ノエルなど様々なケーキが存在しており、まさに「色とりどり」のケ […]

やさしい古典案内

最近では「ビジネス書」をよく見かけ、当ブログでもビジネス書をよく取り上げる。しかし最近になって「貞観政要」などの古典にも目を向こうとしており、これから書評に関するシリーズを挙げているが、いずれも「古典」にフォーカスを当てている。 元々古典は読みにくい印象があったのだが、読めば読むほど、その作品についての深みを覚え、読んでいくうちに時が過ぎるのを忘れてしまう。まさにじっくり読むためであり、考え方とし […]

民話の森の歩きかた

「民話」と言うと聞き慣れない人あ多いのかもしれない。しかし「童話」と聞けば子供の頃に親しんだことを思い出す。 しかしこの「童話」も元々民衆の中で伝わった話、いわゆる「民話」の形で今日親しまれている。 本書はその民話のなかから「シンデレラ」や「赤ずきん」「長靴をはいた猫」などよく知られる話を精神学・文芸学の角度から考察を行っている。 第Ⅰ章「シャルル・ペローとヴェルサイユの民話」 シャルル・ペローの […]

笑い ─ その意味と仕組み

人は誰しも「笑う」ということを行ったことはあるだろう。「笑い」と言うのにもいろいろな種類があり、口を開けて大きな声で笑うものや、唇の口角を上げるだけの「笑い」もある。どのような形でさえ「笑い」は「笑い」である。 人はどのような時に「笑う」という感情が起こるのだろうか、そして哲学的に「笑い」という感情が考察され始めたのはいつで、どのように思索は変遷していったのか。本書は人間の基本的感情である「笑い」 […]