TAG

文春新書

福沢諭吉 背広のすすめ

日本で始めて「スーツ」という概念が生まれたのは幕末のころ、長きにわたる「鎖国」が黒船の来襲により終焉を告げたことからである。 日本では「スーツ」のことを「背広」という言葉に置き換えることができる。おそらく「背広」を着たサラリーマンが「父親の背中」のように広く見せるためと勝手に推測してしまう。 ではなぜ日本では「背広」と呼ばれるようになったのか、「背広」とは何かと問われると著者同様私も考え込んでしま […]

平成人(フラット・アダルト)

本書は「平成生まれの人」を呼んでいるのだろうか、平成の時代から「社会人になった人」なのだろうかと考えさえする。しかし、本書の言う「平成人」はそうではな第一章のタイトルにもある「ヒラのせいじん」と呼び、「平」坦な仕事をこなす毎日を過ごし、メールやネットといった平らな人間関係を構築する人を指している。もっぱらその傾向にあるのは平成の時代に活躍をしている私たちの世代を中心としているため、最初にいったこと […]

中島敦「山月記伝説」の真実

中学か高校の国語の授業でおなじみの「山月記」。私は高校の時に山月記に出会い、テストの向けて暗記をするほど何度も読み返していた事を昨日の事のように覚えている。 その著者である中島敦はそれほど有名にならず33歳の短い生涯に幕を下ろした。 中島敦はどのような生涯を送ったのか、そして名作「山月記」はどういった経緯で生まれたのか、本書はそれらのことについて迫っている。 第一章「カメレオンと虎」 山月記に出て […]

牡蠣礼讃

牡蠣は「海のミルク」を呼ばれており、影響かが高いことはよく知られている。魚介類の好きな私にとっても牡蠣は好物の一つであるが、小さい頃は生牡蠣が食べられなかったという苦い思い出もある(確か小学校低学年の時だった)。 本書は三陸沖で牡蠣の養殖をしている人が世界の牡蠣と、自ら牡蠣漁師としての人生を綴った作品であり、知られざる「牡蠣」の謎についてこれでもかというほど詳しく書かれた一冊である。 第1章「Rの […]

人間を守る読書

タイトルからしてインパクトが強烈である。ちなみにこのタイトルは批評家ジョージ・スタイナーの「言語と沈黙」でとなえられた言葉だという。 読書というのは人それぞれであり、愉しみのために読書をする人、仕事や人生の目的のために読書をする人それぞれ違う。著者自身の読書観はこうである。 「多くの人たちが誤解していると思いますが、仕事や研究のために本を読むことは読書ではありません。私はこれを「調べる」と言ってい […]

「書評の部屋」ボツネタ集その2

ボツ理由:批判の仕方があまりにも過激すぎて、さすがにバッシングされるだろうと思ったから。   変容する日本の中国人社会 新華僑 老華僑 posted with ヨメレバ 譚 路美/劉 傑 文藝春秋 2008年04月21日 楽天ブックス Amazon Kindle 7net honto e-hon 紀伊國屋書店     本書は日中間の歴史、そして中台間の歴史について書かれている。 […]

風呂と日本人

おそらく「風呂」という沐浴文化がある国は非常に少なく、日本はその一つにあるが、宗教性よりも、日課・レジャーの要素が多岐にわたる「風呂」文化があるのは日本ぐらいであろう。今となっては観光として温泉を愉しんだり、家庭でも戦闘、もしくは楽しみや癒しのための入浴剤があるほどである。単に風呂と言っても楽しみ方は人それぞれである。 ではなぜ日本にはこのような「風呂」の文化が栄えたのか、もともと「風呂」の起源は […]

評伝 川島芳子―男装のエトランゼ

日中戦争時代、この二国間の狭間で生き抜いた二人の女性がいた。一人が山口淑子、「李香蘭」と呼ばれた女性である。もう一人は本書で取り上げる川島芳子(本名:愛新覚羅 顕シ ※シは王ヘンに子)、「男装の麗人」として名をはせた女性である。 本書はこの川島芳子にスポットを当てているが、今から25年前にジャーナリストの上坂冬子が上梓した「男装の麗人・川島芳子伝」を例に挙げながら、この本で取り上げられなかったとこ […]

断る力

まず勝間氏というとディスカヴァーやダイヤモンド社から出てくるというのが強かった。しかし文春新書から出てくるとは驚いた。勝間氏に、 「ようこそ我がテリトリーへ」 と言いたくなる。当ブログでは文春新書は多く取り扱っているので、社会的な傾向が強いところが多いが、こういったビジネス関連を取り上げることもたまにある。たが「たまに」なので勝間氏の本がこういった新書が出されると文春新書ファンの人たちはさぞ驚きの […]

石油の支配者

今は世界恐慌の煽りを受けて落ち着いているが、そうなる前までは原油高の高騰が深刻な問題として挙げられた。近くのガソリンスタンドでは1リットルあたり180円台後半までいったほどである。 本書は原油生産に関する政治的な駆け引きと、原油高の高騰の元凶とメカニズムについて迫っている。 第一章「原油価格高騰の真相」 半年前であったか、石油に関して営業を行っている人と呑む機会があった。その時に原油高の高騰につい […]