TAG

新潮選書

昆虫未来学―「四億年の知恵」に学ぶ

「昆虫」というと、小さい頃の夏休みには昆虫集めにはまった人も少なくないだろう。私はどうか、というと小さな虫でも身をよじるほど虫が大の苦手であったため、昆虫集めはやったことがなかった。 そのような自分が本書を紹介するのもおこがましいが、本書は昆虫の進化と特性、さらには今日の環境問題の関連について考察を行っている。 第1章「昆虫とはどんな生物か」 「昆虫」と一括りにしてもいろいろいるのだが、生物学上で […]

無駄学

世の中には数多くの「無駄」が存在する。これはある人にとっては必要なことであっても、傍目から見たら「無駄」と思うものも含めて、である。世の中では「無駄」は排除すべきというのが一般論として挙げられているが、では「無駄」とはいったい何なのだろうかという問いに移る。 本書ほど「無駄」について科学を含めて多角的に論じたものはないと思うが、そもそも本書の著者である西成氏は渋滞にまつわる研究者であり、新潮選書で […]

恋愛哲学者モーツァルト

本書のタイトルからして「?」という印象であるが、モーツァルトが書いた歌劇を見てみると「なるほどな」と言う印象であった。モーツァルトと恋愛は歌劇から連想されることがあるのだが、モーツァルトは歌劇を制作するに当たりどのような恋愛観を持っていたのかというのも知りたくなる。本書はモーツァルトと恋愛、その知られざる関係について、歌劇を中心に考察を行っている。 第一章「モーツァルトとオペラ史における愛の発見」 […]

自殺予防学

日本では毎年3万人もの人が自殺をしている。とりわけ多いのが借金での金銭問題、労働状況による過労自殺、人間関係の縺れからによる自殺が挙げられる。心的、金銭的、物的観点から、様々な理由から自殺をしていくためどのように対策を立てるべきなのかというのは一概に語ることは非常に難しい。本書のタイトルは『自殺予防学』であるが、あたかもそういった学問が存在するのかと考えてしまう自分がいる。一昔前からそういったこと […]

無差別殺人の精神分析

昨年の6月に秋葉原無差別殺人事件が起きてからもう1年と2カ月経つが、その事件の傷跡はまだ残っている。それだけではなく度重なるインターネットにおける掲示板での「殺人予告」が後を絶たず、これから無差別殺人が起こるか分からない状態である。先ごろでも数々の無差別殺人事件があり、国民たちを恐怖に陥れている。本書はここ最近起こった無差別殺人事件を精神医学的に分析を行っている。 第一章「秋葉原無差別殺傷事件」 […]

麻薬とは何か―「禁断の果実」五千年史

また大麻所持事件が起こった。 大麻に関する事件は去年・今年だけでもTVやインターネットニュースにおいてみない日と言うのが珍しいくらいにまでなった。大麻については覚せい剤と同じく精神に異常をきたす「ドラッグ」として扱われ、法律では「大麻取締法(正式には「麻薬及び向精神薬取締法」)」が制定されており、厳しく問いしまっているのが現状である。学術的な研究でも毒性や精神依存性について強く、生活に支障をきたす […]

日本人の愛した色

色というのは不思議なものである。動物が生活をしていく上で最も扱いやすく、最も喩えられやすい。 本書のタイトルは「日本人の愛した色」であるが、もともと日本の文化は「視覚」によって築かれた文化であるだけに「色」というのは非常に重要なウェイトを占める。「色」を調べるとなると文化そのものを調べられるので本書のように選書の形式で納められたこと自体が奇跡だと私は考える。コンパクトになった「色」にまつわる日本文 […]

故国を忘れず新天地を拓く

今も昔も変わらないことだが、面積の割には人口が多い日本。しかしあふれかえる人口をどうにか分散しようと台湾や韓国を併合し、インフラを整備して日本人を移民したり、満州を建国しそこでも移民を推進したりした。本書はそういう所ではなく、カナダやハワイ、北南米への移民に関して書かれている。 当然そこでは非常に過酷な環境であったが、日本人の根性の強さに感動し、現地の人々に勇気を与えたということには称賛に値する行 […]