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日常

イノセント・ツーリング

よく巷にある小説は近未来や過去などを描いている所がほとんどだが、本書ほど現在の状況をもとにした作品はないと考える。コロナ禍の第一波がやって来て、1回目の緊急事態宣言が発令され、閉塞感漂うような日常から開放され、ようやく初夏を迎えたときに、止まりかけていた日常を探し求めるためにツーリングを行うという作品である。 しかしこのツーリングにはコロナ以外にも理由があった。それは若くして命を失った親友の家族と […]

愛が嫌い

「愛」と言う言葉を好いている人もいれば、本書の登場人物に出てくる人のように嫌いな人もいる。それは人それぞれと言った方が良いのかもしれない。 本書は愛を憎むと言うよりも、軽んじた「愛」を嫌い、自分自身の日常を取り戻すと言った物語である。その中には大人になれていない人々がおり、自分自身を見つけ、つくっていくためにもがき苦しんでいる姿がここにあった。 また本書はあと2編あり、「しずけさ」と「生きるからだ […]

明るい覚悟 こんな時代に

著者はかつて文化放送のアナウンサーで、文化放送退社後は作家として活躍している。ありとあらゆる側面での作品を生み出してきたが、その著者は今年の1月で75歳を迎えた。75歳はきりが良いのだが、いわゆる「後期高齢者」の仲間入りを果たしたことになる。 これからの人生をどのように生きたら良いか、「老い」という避けられない要素が色濃く映り、なおかつ周囲の近しい方々が逝去する、あるいは病に倒れる中、自身も物忘れ […]

生きることの社会学ー人生をたどる12章

「社会学」は、一見生活と縁遠いように見えて、実はかなり密着している。今日の社会現象と日常などを紐解く中でミクロ・マクロ問わずに紐解いている学問である。そもそも社会学は生きていく中でどのようにして密接に関わっているのか。本書は生まれたから死ぬまで、そして国家や社会そのものに至るまでの社会学を紐解いている。 第1章「社会とは何か」 そもそも「社会」とは何かについて根源的な所を紐解いている。辞書で見ると […]

100歳まで読書

「あなたにとって『読書』とは何か?」 当ブログを行っているなかで何度も聞かれたかわからないほど、聞かれた質問である。ことあるごとに答えは変えているのだが、もっとも私として「読書」は「旅」であり、人生における「日常」そのものである。それだけなくてはならないものであり、読書とともに現在の自分がおり、今のようなブログが書けるようになった。もしも「読書」がなかったとしたら・・・と考えると想像もつかないほど […]

ブスの家訓

何とも刺激的な一冊なのだろうか。まず表紙からしてどの国民的アニメを模しているのかは用意に想像がつき、なおかつ自虐しているようなタイトルのようでいてならない。本書は著者自身家族をもっているのだがその日常と同時に’、自らの半生も綴っている一冊である。 第1章「ブスの実家」 著者自身の実家と家族のエピソードを取り上げている。著者の実家は自宅からさほど離れていないように見受けられる(もっとも私自身の実家は […]

ゆうゆうヨシ子さん-ローボ百歳の日々

本書に出てくる「ヨシ子さん」は著者の母であり、なんと100歳を迎え、現在102歳である。その息子である著者も今年で喜寿を迎えるため、老齢親子と言えるのだが、ここまで親子共々長生きでいられることも珍しくもあり、素晴らしくもある。 本書はそのヨシ子さんが80代から102歳までの中でしたため続けてきた俳句を披露しながら、日常を映し出している。 単純に親子の日常であるのだが、年齢も年齢なのか、それとも著者 […]

いつも日本語で悩んでいます ―日常語・新語・難語・使い方

本書は色々な意味で大人気である「朝日新聞」の「ことばの広場」と呼ばれるコラムを書籍化した一冊である。新聞記事は毎日のように作られるのだが、単純に記事を書くだけでなく、日本語として間違っていないか、文章構成は大丈夫かといった「校閲」を行う方々もいる。本書は朝日新聞の「校閲」を行う「校閲センター」の方々が日本語の悩みについて週に一度「ことばの広場」というコラムで明かしている。 1.「覚え違いしていませ […]

猫は抱くもの

人と猫、一見接点がないように見えて、実は接点が存在する。そのことを示している一冊と言える。 猫も人間も何人・匹と出てくるのだが、それぞれの物語があり、それぞれ人と猫との関わりが人間と共有するところ、共感するところ、相反するところなど様々である。さらに関係の中にはハートウォーミングなエピソードまであり、人と猫との関わりの良さがものの見事に描かれている。 そのためか本書のタイトルのようなことはまさにそ […]

駐在日記

警察の「駐在」というとミステリーのようなイメージを持ってしまうのだが、本書は決してそうではなく、駐在警官と地域住民との暖かな関わりを描いた物語である。 短編集ではあるのだが、連作であり、駐在警官が様々な人と触れ合うことによって、多かれ少なかれの事件はあるものの、殺人事件と言った重いものではなく、心温まるような出来事に遭遇すると言った、いわゆる本当の意味での「日常」が描かれている一冊である。 もちろ […]