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日本史

明治日本はアメリカから何を学んだのか 米国留学生と『坂の上の雲』の時代

元々江戸時代における「鎖国」の時代は特に諸外国と一切関わりが無かったとは言えない。当時の「清王朝」だった中国大陸とオランダのみ交易が認められ、長崎の出島を玄関口に貿易などの交易が行われた。 しかし1853年、アメリカの蒸気機関船「ミシシッピ号」をはじめとした4隻の船が浦賀沖に来航した。それ以前にも琉球や小笠原に来航したが、特に幕末の始まりとして浦賀沖の来航が有名である。このときにペリーから開国に関 […]

プロ野球オーナーたちの日米開戦

日本においてプロ野球が生まれたのは1920年の時である。ちょうど100年を過ぎたのだが、コロナ禍においてもプロ野球は根強い人気を誇っている。強さを追い求めるチーム、パフォーマンスも含めたチーム、地域に根ざしたチームなど様々である。大東亜戦争以前にもプロ野球チームが存在しており、チームの中にオーナーも存在していた。本書ではそのオーナーに焦点を当て、オーナーたちとプロ野球、そして大東亜戦争との関わりが […]

多様な子どもの近代 稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち

「子ども」の扱いはもちろんのこと、境遇も時代と共に変わっていく。かつては丁稚奉公といったもので、学校での勉強をせずに働きに出て、社会そのものを学ぶと言ったことがあった。そのため働くこと以外での知識がなく、文字も読めないといった人も少なくなかった。 やがて時代は変わっていき、子どもを取り巻く環境も変わってきた。本書はその子どもにまつわる「近代史」を取り上げている。 第1章「「稼ぐ子ども」をめぐるポリ […]

靖国神社の緑の隊長

今年の1月12日、本書の著者であり、ジャーナリストで作家の半藤一利氏がこの世を去った。世に送り出した本は数知れず、とりわけ戦前・戦後における近現代の日本史について多くの議論を巻き起こした人物として上げられる。 本書は元々軍人の合祀に批判的だった半藤氏だが、A級戦犯の合祀について反対しただけであり、戦争の犠牲者(戦死者)について祀ることについては否定していなかった。その祀られた軍人の中で特に強い印象 […]

日本統治下の朝鮮 – 統計と実証研究は何を語るか

1910年の朝鮮併合から、1945年の大東亜戦争終焉まで日本の植民地となった朝鮮半島。その朝鮮半島では創氏改名をはじめ、日本の文化に改めたり、弾圧を受けるといった論調が主だったのだが、果たして併合後の朝鮮半島はどうなったのか、併合後の史料を通じて考察を行った書籍はいくつか存在する。ちなみに本書もその一つであるのだが、あくまで「実証主義」として、史料をもとに、なおかつ経済的な観点から論じしているのが […]

撰銭とビタ一文の戦国史

お金を支払う文句に「ビタ一文支払わない」がある。この中の「ビタ一文」とはいったい何なのかと言うと、元々「ビタ」は漢字一文字で「鐚」と書く。文字通り金の編に悪のつくりのため、元々は粗悪な紙幣や貨幣などのお金を表すのだが、いつのころからか転じて非常に少ない金額のことを表している。もっとも粗悪なものであるため、今で言う所の一円にも満たない価値のある銭と言えるのかもしれない。 本書の話に移る。もともと日本 […]

モノから見たアイヌ文化史

私自身、北海道出身であることからアイヌ語やアイヌ文化には些か興味がある。もっともアイヌ文化についてはある程度知識はあったのだが、それを広く世に伝えたというと、過去に2度アニメ化されたマンガ「ゴールデンカムイ」がよい例である。 本書はアイヌの文化を「モノ」の観点から取り上げている。 Ⅰ.「日本史とアイヌ史」 日本の歴史の中にアイヌ民族は切っても切れない関係となっている。その関係はどのようなものだった […]

今日われ生きてあり―知覧特別攻撃隊員たちの軌跡

鹿児島県知覧町には「知覧特攻平和会館」がある。大東亜戦争の際に帝国海軍によってつくられた「神風特別攻撃隊」、通称「神風特攻隊」が編成された場所である。その特攻隊の隊員となり、散っていった方々がどのようなもの・ことを遺していったのか、その記録が詰まった一冊である。 第一話「心充たれてわが恋かなし」 特攻隊員としての日々、そして日本のために死ねるという誇りと悲しさ、そしてその特攻隊員の家族たちの心境が […]

港の日本史

港の歴史というと、幕末からスタートしたイメージを持ってしまうのだが、実際には日本書紀や古事記にも出てくるほどであり、いわゆる「神話」の時代から存在したのだという。もっとも今のような「港」ができはじめたのは明治になってからのことであるのだが。 本書は日本史の中でどのような「港」の概念ができ、なおかつ港の定義を育んできたのか、そのことについて取り上げている。 1章「「港」でわかる日本の7000年史」 […]

自殺の歴史社会学―「意志」のゆくえ

3月は自殺対策強化月間である。日本では今もなお毎年3万人もの人が自殺する。その自殺の要因として様々なものがあるのだが、様々な角度から「厭世(世の中を嫌がる、絶望する)」を思ってしまい、自殺するような傾向も少なくない。少し物騒かもしれないのだが、本書はその自殺はどのような歴史を辿ってきたのか、20世紀から現代に至るまで、どのような理由にて自殺したのかを紐解いている。 第1章「自殺を意志する―二十世紀 […]