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書評

満月珈琲店の星詠み

「星詠み」はいわゆる「星占い」の一種であるが、その星詠みに疲れた方々に対し星や月にまつわる飲み物・料理を振る舞う喫茶店がある。しかもその喫茶店は「満月」の夜にしか開店しない店である。 来店する方々も星詠みに疲れた方々であるが、起業家やライターなど様々な仕事の人が立ち寄る。しかもその喫茶店のマスターは猫というもの。 来店するそれぞれの人に合わせた「星詠み」と併せてのメニューが振る舞われるのだが、それ […]

最後の審判-終末思想で読み解くキリスト教

ミケランジェロ・ブオナローティの代表的な絵画に「最後の審判」がある。現在はバチカン市国にあるバチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂の祭壇に描かれている。この「最後の審判」はキリスト教における「終末論」の考えにあり、「怒りの日」と同義に扱われている。 もっとも「最後の審判」の考え方はキリスト教のみならずユダヤ教・イスラム教・ゾロアスター教にも同様の考え方があるのだが、本書はあくまでキリスト教における「最後 […]

叙述トリック短編集

本書の冒頭に この短編種は『叙述トリック短編集』です。収録されている短編には全てトリックが使われておりますので、騙されぬよう慎重にお読みくださいませ。p.8より と記載されている。しかも冒頭は「読者への挑戦状」と銘打っており、著者と読者との駆け引きといった魅力も持っている。 短編集のように見えて一編それぞれに、著者の織りなすトリックがどこにあるのかを、短編の物語の中に散りばめている。もっとも冒頭に […]

神々の復讐 人喰いヒグマたちの北海道開拓史

すでに時期は冬に入っており、熊を始め一部の動物は「冬眠」の時期に入り、ある意味落ち着いたシーズンと言える。それ以前までは特に出身地である北海道を中心にクマの出没情報が後を絶たなかった。襲われたといった話はほとんどなかったものの、先日、熊を飼っていた人が、その熊に襲われ、亡くなったという痛ましいニュースがあった。 熊に襲われて殺されるというニュースはホットなようでいて、大昔はいくつかあった。本書は特 […]

あの日の交換日記

「交換日記」自体、現在あるかどうかはわからないのだが、私が学生だった当時はごくわずかだったとはいえやっている人たちがいた。どんなことを書くのかというと、何も日常的な事を書いただけとのこと。今となってはメール、さらにはLINEなどのチャットなどもあるため、デジタルの面で交換日記ができるにはできるのだが、その必要がないほど、コミュニケーションツールも進化している。 コミュニケーションツールが進化すると […]

幕末の先覚者 赤松小三郎―議会政治を提唱した兵学者

今こそ衆議院・参議院といった議会政治は行われている。もっともこの「議会政治」をなし得たのは帝国議会を樹立し「国会を創った男」として知られる板垣退助に他ならないが、板垣以前に「議会政治」を提唱した人物がいた。本書はそのうちの一人である赤松小三郎を取り上げている。 赤松は幕末にて活躍した兵学者、及び政治思想家だったが、大政奉還をされる少し前に上田藩へ帰国の途上で暗殺されるという非業の死を遂げた人物であ […]

インタビューズ

実際に私自身インタビューを行った事が何回かある。仕事と言うよりも、プライベートの場のインタビューしかないのだが、実際に質問をしながらその人の本質を明かしていくのがどうしても面白い。 本書は「平成」と呼ばれる時代について、100の人びととのインタビューをもとにして、深層を映し出す物語である。1989年から2019年の30年間の中で、何が起こり、インタビューを受けた人びとはどのような変化・出来事が起こ […]

世界の神話 躍動する女神たち

世界にはそれぞれの場所における「神話」があり、その中でも「神」は存在する。日本でも八百万の神と数多あるが、海外における神話でも八百万とまでは行かなくとも、多くの神々が活躍していた。 その中でも本書は「女神」にフォーカスを当てている。「女神」とひとえに言っても、美の女神から強い女神、さらには一風変わった女神まで網羅している。 1.「絶世の美女神」 美女神というと、ギリシャ神話におけるアフロディーテの […]

ふりかえる日、日―めいのレッスン

物語は、突然の出来事などから起こることもあれば、何気ない日常からも生まれる。特に何気ない日常の中にも多少なりの「変化」があるのだが、その「変化」のあり方が、日々の物語を紡いで行く。 本書は主人公の姪が日々触れるあらゆるものに耳を澄ませて成長して行くと言うものである。五感のうちの「聴覚」によって春夏秋冬を描き、なおかつ物語として織りなしていく所に魅力がある。 ショートショート形式にて描かれており、タ […]

大都市はどうやってできるのか

ここ最近コロナ禍により、首都圏を離脱して、地方に本社を移転するという動きが見え、なおかつ人口の流れも同じような動きを見せている。ただ年代や場所によっては転入が多く、人口も増加している所もあるため一概には言えない。 そもそも企業や人が続々と入り、一つの「都市」として栄えてきたが、それがなぜ「大都市」となって発展していったのか、本書は「都市経済学」を観点に紐解いている。 第1章「なぜ都市ができるのか」 […]