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歌舞伎

平成の藝談――歌舞伎の真髄にふれる

歌舞伎の世界は絶えず変化する。2020年5月には十一代目市川海老蔵が十三代目市川團十郎白猿を襲名する。令和の時代になっても歌舞伎は常に進み続けている。 そこで平成の時に活躍した先人の至芸はどのようなものだったのか、そしてこれからの歌舞伎はどうなっていくのか、本書は平成における歌舞伎がどのように変わっていったのか、そしてどのように伝承していったのか、そのことについて取り上げている。 第一章「舞台の心 […]

野田秀樹×鎌田浩毅 劇空間を生きる

まさに「異色の対談」といえる一冊である。方や演劇の世界にて生きる演劇人、方や火山学者。同級生ではあるものの、進んでいる道は全く異なる2人が演劇について語るというものである。 第I部「演劇界の旗手の軌跡」 第1講「子ども時代~夢の遊眠社──生まれと育ちと」 著者の一人である野田秀樹氏が生まれ育ち、そして演劇の世界に入るまでの所を取り上げている。さらに演劇の世界に入り、学生の時につくった作品まで言及し […]

十一代目團十郎と六代目歌右衛門―悲劇の「神」と孤高の「女帝」

今でこそ市川海老蔵は十一代目が有名であり、なおかつ七月大歌舞伎では、その息子である堀越勸玄が史上最年少宙乗りで話題となった。今となっては現・海老蔵が「海老さま」と呼ばれるようになったのだが、その「海老さま」と呼ばれた源流はその海老蔵の祖父にあたり、本書で取り上げる十一代目市川團十郎(以下:十一代目團十郎、または團十郎)である。しかし團十郎と名乗った時期は3年ほどであったため、今もなお「九代目市川海 […]

市川猿之助傾き一代

市川猿之助の名跡はすでに四代目に受け継がれており、本書で紹介される猿之助はその前の代であり、現在は二代目市川猿翁である。現在でこそパーキンソン病を患っており、満足に舞台をこなすことができないのだが、現在は実子である九代目市川中車(香川照之)の稽古指導を行っている。三代目猿之助は歌舞伎界の孤児でこり孤立無援の状況、なおかつ新聞や劇評家からの批判にもさらされながら、ケレンの演出やスーパー歌舞伎を誕生し […]

小山三ひとり語り

歌舞伎を全く知らない人にはあまり知られていない名前であるが、歌舞伎を知るとなるとその人の存在感は大きなものとなる。 「中村屋の生き字引」 著者につけられた異名のようなものである。その名と重なるほどの人生を著者は送ったと言っても過言ではない。と言うのは4歳の頃に歌舞伎入りするのだがその時に十七代目中村勘三郎(当時は三代目中村米吉)に弟子入りした。その後十八代目勘三郎、六代目勘九郎・七之助兄弟と長年仕 […]

九代目松本幸四郎

昨年の12月に記者会見が行われ、37年ぶりとなる高麗屋三大襲名が再び行われることとなる。本書で取り上げる九代目松本幸四郎が父の最後の名前である松本白鸚(まつもとはくおう)の二代目を襲名し、七代目市川染五郎が十代目松本幸四郎に、そして四代目松本金太郎が八代目市川染五郎にそれぞれ襲名する。その襲名を1年後に控えた今、九代目松本幸四郎はどのような足跡をたどっていったのか、そして二代目白鸚になってからどの […]

江戸「粋」の系譜

「粋」という言葉は「いき」と読む人もいれば、「すい」と読む方もいる。江戸時代にはそういった「粋」と呼ばれる人物や文化があり、落語や歌舞伎などでそれが伝承し続けられている。 しかしその「粋」はどこから生まれ、育てられ、現代に根付いているのか、本書ではそのことについて取り上げられている。 第1章「江戸時代のメディア・プロデューサーたち」 「メディア」と言うとテレビや新聞、週刊誌などがあるのだが、江戸時 […]

吉原という異界

現在の吉原はソープランド街として有名であるのだが、江戸時代から大東亜戦争前までは花魁をはじめとした遊女たちが栄える郭街として知られた。もっとも落語や歌舞伎でも吉原を舞台にした作品は数多く収録されており、「吉原」の街は今も昔も有名である。しかし吉原はいつの頃にできて、どのような変遷をたどっていったのかは私自身わからない。本書は、吉原の歴史を紐解いている。 第一章「戦後の新都」 今でこそ吉原は東京都台 […]

舞台の神に愛される男たち

舞台というと色々あるのだが、本書では演劇や歌舞伎と言った数多くの人々が彩る所を「舞台」と定義している。その中では主役が最もスポットライトを浴び、演技をこなしていくのだが、そのこなしていく中で「名脇役」とも呼ばれる人物もいる。もちろん名脇役と呼ばれる方々の中には主役を張っていた時期もあり、その経験から脇役として主役を支えている人もいるのだが。 本書はその舞台で脇役としても主役としても支え続けていた名 […]

私の「歌舞伎座」ものがたり

これまでずっと立替工事を行ってきた歌舞伎座だったが、今年の4月1日に五代目歌舞伎座がオープンし、連日「こけら落とし」公演が行われている。 2009年1月に行われた「(四代目)歌舞伎座さよなら公演」からはや4年3ヵ月。歌舞伎ファンはずっと新たな歌舞伎座として待ちわびてきたことだろう。 その歌舞伎界であるが、今年になって十八代目中村勘三郎、十二代目市川團十郎と重鎮が相次いで逝去した。江戸歌舞伎として牽 […]