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物語

ハッピーバースデイ3.11~あの日、被災地で生まれた子どもたちと家族の物語

あの震災から4年を迎えた。復興に向けて歩を進めてはいるものの、未だに傷跡は癒えていない。それだけにもどかしさも感じてしまう。 しかし、悲しみに満ちた震災の中で産声を上げた音がそこにはあった。 それは新たなる命の誕生の音である。 本書は震災前後に生まれた11人の子供の誕生エピソードについて、その前後に起こった震災を交えて紹介している。 もう二度と戻らない失われた命の中で、生まれた命は今もなお生き続け […]

たまさか人形堂それから

本書は「たまさか人形堂」という架空の人形屋を舞台にした短編集であるが、最初に収録されている作品からずっこけてしまった。タイトルは「香山リカと申します」。ニュースやワイドショーを観る方はお気づきだと思うが、あの精神科医を連想してしまうような名前である。ただ、本書で取り上げている香山リカはその人とは関係無く、あくまで人形の名前であることだけは付け加えておく必要がある。 他にも「髪が伸びる」や「小田巻姫 […]

生きるとは、自分の物語をつくること

自分自身「生きること」で悩むことが多い。その「生きる」とは何なのか、それは全くと言っても良いほどわからないことがある。しかし本書は「自分の物語をつくる」ことにあるという。確かに様々な自伝が存在しており、それらがあたかも「物語」のごとく書かれているため、そういえるのかもしれない。しかしそれはなぜ名付けられたのか、そのメカニズムについて対談形式で取り上げている。 Ⅰ.「魂のあるところ」 「魂」と言う言 […]

江戸を割る―和算とトリック・占いの不思議なつながり

本書のタイトルは「江戸を割る」と書いてあったが、「何を割るんだろう」と疑問に思ったのだが、サブタイトルを見ると「割り算」であるという。 本書は江戸時代における「割り算」をピックアップしながらトリックや占い、日常生活についてどのように受け入れられたのかについて取り上げている。「割り算」というと割った後の答えになる「商」と余った数の「余り」と言うのがある。それを算出する方法について、かつては棒を並べた […]

いつか、この世界で起こっていたこと

昨日と同じく短編集を取り上げるが、本書は東日本大震災の悲しみを実在では無く、むしろ風刺を込めた物語として作られた作品である。もっとも印象づけられているのが 最初の所である「うらん亭」というもの。これは福島第一原発事故のことを描いている。他にも「波」は三陸などを襲った大津波のことを表し、「無く男」は放射能汚染や風評被害にまつわることをあぶり出し、「チェーホフの学校」は、今から28年前に起こった「チェ […]

高く手を振る日

自らも老いて、妻に先立たれて、人生そのものの行き止まりに瀕していた男性が、大学時代の思い出の写真を見つける事から物語は始まる。大学時代と言ってももう50年ほど前の事であり、印象の強い子と意外は忘れ去られてもおかしくないのだが、その主人公は今もなお大学時代の淡い恋物語の記憶を残していた。その思い出を約50年の歳月をかけて精算するとき、その男性はどのような心境の変化があったのか、「老い」と「恋」の両側 […]

まわりの人を幸せにする55の物語

「幸せ」とはいったい何なのだろうか。それを自分自身も考え、行動しながら答えを探している。しかしその「幸せ」の答えは1つではないし、場合によってはない事さえある。しかしただ一つだけ言えることはある。「幸せ」の答えは己の心の中にあり、その心の中にあるものを忠実に実行することによってまわりの人を幸せにする事ができる。 本書はその「幸せ」にまつわる物語を55個収録されている。「感謝をする」「ゴミを拾う」「 […]

「福」に憑かれた男 人生を豊かに変える3つの習慣

「福」と「憑かれる」と言う言葉は相反しているように見える。「福」と言えば、「幸福」とか「福の神」と言ったようにポジティブな印象はあるのだが、「憑かれる」は地縛霊や貧乏神に取り憑かれるというように、どちらかと言えばネガティブな印象を与えてしまう。 でも「福の神に憑かれる」と言うのであれば、私とてまんざらでもない。 個人的なことはさておき、本書は街中の小さな本屋が倒産危機に遭い、福の神との出会い、そし […]

海辺の恋と日本人~ひと夏の物語と近代

海というと、夏の海水浴を連想する人も多い、中には各種サーフィンなどマリンスポーツを連想する人もいることだろう。取り分けマリンスポーツの中には冬でも行っているものもあり、私の住んでいる近くの由比ヶ浜に行くと、砂浜を歩く人、あるいはサーフィンをする人もよく見かける。 日本人と「海」は多くの歴史があり、それにまつわる物語も多い。本書は海と日本人の物語作品の変遷を追っている。 第1章「物語の発生―夏の海辺 […]

戦後日本の聴覚文化~音楽・物語・身体

「聴覚文化」というのは、簡単に言うと「ラジオ」をはじめ、最近ではオーディオなど、耳を通じて楽しむ、知ることのできる文化のことを表している。テレビなどの視覚文化は日本において戦後になってから始まったのに対し、ラジオは昭和時代に入ってからのことであり、戦争の政局などのことを伝えるための手段の一つとして挙げられた。 本書は日本において長らく続いた「聴覚文化」を日米関係、さらには昨今発達している電子メディ […]