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短編集

ランチのアッコちゃん

地味な派遣社員がプライベートな出来事で落ち込んでしまい、仕事も身が入らなくなり、さらには食欲も無くなってしまった。そこへ同じ女性ではあるものの、雲の上の存在として知られる通称「アッコさん」から指令を受けるようになる。 しかしその指令は型破りというか、なんとも「不思議」という言葉がよく似合うようなものだったのだが、その指令をこなしていくうちに、「アッコさん」の秘められた思いと願い、そして気遣いが表れ […]

甘いお菓子は食べません

「甘いお菓子」というのはある意味レトリックで、「お菓子」は恋愛に見立てている。直接的にタイトルのことを表すと「もう(少女マンガや純愛小説のような)甘い恋愛はしない(もしくはできない)」と宣言しているようなものである。 それ故に短編集であるが、ドロドロとした恋愛模様、そして赤裸々に語る女性の恋愛事情を描かれており、その姿はなんとも「怖い」という一言である。 その「怖さ」たるや、男性にしかわからない女 […]

骨風

本書のタイトルからして無骨な作品のイメージがあったのだが、実際に中身を見てみると短編集であり、表現もけっこうそぎ落としつつ、伝えるところは伝えられている作品である。しかしそれでいて繊細で、痛みや「死」といったことを向き合いながら、ひたむきに生き続けるような姿を映し出している。 もちろん短編集であるので、表題作の「骨風」や「矩形(くけい)の玉」「花喰い」「鹿が転ぶ」「蠅ダマシ」「風の玉子」「今日は  […]

地球の中心までトンネルを掘る

本書の主人公は特定の人物ではない。「もしもあなたがこのような状況だったら」ということについて「孤独」や「共感」を味わえる短編集である。 全部で11編あるのだが、その一つ一つのストーリー・シチュエーションを自分に重ね合わせやすいものもあれば、シチュエーションがシチュエーションであるだけに重ね合わせにくいものもある。 もちろん最初から最後まで全部読む必要も無く、共感や重ね合わせやすいものをピックアップ […]

すべての神様の十月

「10月」と「神様」の関連性は深い。その理由として10月は別名「神無月」と呼ばれており、諸説あるものの全ての神様が出雲大社に集まるため、それ以外の地域では神様がいなくなってしまうことから表している。ちなみに全ての神様が集まる出雲では「神在月(かみありづき)」と呼ばれている。 「神様」の存在については宗教によって一人だけか、たくさんいるのか、そして一人もいないなど差異がある。ちなみに日本では神道の考 […]

愛は苦手

私自身、異性と付き合ったことがない。「モテない」と言うのもあるのだが、それ以上に自分自身が女性との付き合い方が分からないと言うのがある。そのことを知りたいということも本書を購入しようとした一つの理由にあるのだが、本書はそういった恋愛ものではない。 本書は、家族・恋人・夫婦など様々な状況における「愛」とは何かについて描いた短編集である。しかし短編集とは言ってもテーマには必ずと言っても良いほど「愛」が […]

ラブ・オールウェイズ

元々恋愛作品を取り上げている著者の中でも、著者本人が「特別な本」と銘打っているのが本書である。本書が出版される2年ほど前、ちょうど本書の短編集が連載している2012年に本書に掲載されている挿絵の引用元である絵本作家・伊藤正道氏が55歳の若さでこの世を去った。その引用元となった作品も伊藤正道氏の遺作と言える「僕への小さな旅」などから絵・文章が取り上げられ、なおかつ本書の最終話には伊藤氏に捧げるために […]

献灯使

本書のタイトルは「けんとうし」と呼ぶ。ただ「けんとうし」というと、どうも「遣唐使」を連想してしまうのだが、本書はあくまでは「献灯使」として扱っている。 本書は表題作の他にも「韋駄天どこまでも」「不死の島」「彼岸」「動物たちのバベル」と言った作品が収録されている短編集である。 中でも注目すべきは表題作の「献灯士」であるが、その「献灯」について辞書で引いてみると、 「社寺・神仏に灯明(とうみょう)を奉 […]

憧れの女の子

本書のタイトルを見ると「憧れている女の子がいる」というように見えてしまうのだが、表題作はそうでは無く「女の子」を持つ事に憧れるという意味合いでつけられている。本書はもうすぐ三人目の子供を産もうとする母親を主人公にした夫婦を描いている表題作の他に、短編が5つ収録されている。 特に本書で強調しているのは「男女」の風景であるが、子供の産み分けもあれば、夫婦仲、さらには婚約関係、恋愛、そして親子と様々な「 […]

三階に止まる

とあるマンションのエレベーターに乗ると難解に止めようとしても必ず三階に止まってしまう。それがたとえ二階に止まりたいと言っても、七階に止まりたいといっても、である。エレベーターの欠陥があるのかと思ったがそうではなかった。ではどうしてなのか。そこには身の毛もよだつような真相が隠れていたという。 本書はタイトル作である「三階に止まる」をはじめとした短編集であるが、タイトル作のように身の毛もよだつようなミ […]