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短編集

五つの季節に探偵は

人間には感情や理性の他に、「心」がある。しかしこの「心」が厄介で、表に出てくる心境もあれば、誰にも悟られることのない心の「闇」の部分もある。その「闇」の中に、隠された「本性」がある。 その「本性」を暴かずにいられないとある探偵が16年の長い月日の中で5つの事件と出会った。それぞれ春夏秋冬、そしてもう1つの春と合計5つの季節で以て描かれた短編集である。 一番古いものとして2002年春、そこから200 […]

緊急事態下の物語

「緊急事態宣言」は新型コロナウイルスの感染拡大の度合いによって出ており、これまで緊急事態宣言は4回、まん延防止等重点措置は2回発令された。第7波は発令されていないが、「BA.5対策強化宣言」が地域によって出ている。 本書はそのコロナによる緊急事態宣言下の中で紡がれる物語である。この「緊急事態宣言」の色が強かった時期として1回目の宣言下がある。その時は飲食店はどこの店も閉まっており、学校もなく、会社 […]

おとぎカンパニー モンスター編

3年前と今年の元日に続いて3冊目となった。「おとぎカンパニー」シリーズ自体、ある種「もしも」といったシリーズのように見えて、なおかつコミカルに作られており、面白く読むことができる。ちなみに本書はその第3弾の「モンスター編」である。 おとぎ話におけるモンスターはいくつもいるのだが、本書はペガサス、狼、メデューサ、ヴァンパイアなどが題材となっている。会社を経営するモンスターもいれば、会社の社員となって […]

クレイジー・フォー・ラビット

人間関係は年齢や年代、さらには今あるポジションなど、あらゆる要素で変化する。もちろん人間関係の中には、学生時代において築いたものが旧交を暖めるように、時間をおいて復活したり、ずっと続いたりするようなこともある。 本書は年代別の人間関係について短編集にて描いている。小中高大のそれぞれの学生時代、そして最後は30代とそれぞれの人間関係、特に友情の変化がどうであったか、もちろん著者の思い出も兼ねているた […]

飛石を渡れば

私自身「茶道」のことはよくわからないのだが、その茶道を行う中で「茶室」と呼ばれる所でやる所もあれば、外で行う「野点(のだて)」もある。特に茶室のイメージの中には、躙(にじ)り口に入るまでの中で飛石があるというイメージを持ってしまう。 本書はその茶道にまつわるエピソードを12編取り上げている。ちなみに取り上げられているものとして家族のものもあれば、実際に茶道を体験してのものも描かれている。情景もまた […]

貴方のために綴る18の物語

ミステリーはいくつか読んだことがあるのだが、本書の帯に「新たなるミステリーの形」と言う言葉に惹かれ、手に取った。実際に呼んでみるとミステリーであるのだが、短編集という部分もある。 実際は短編集ではなくミステリーであるのだが、なぜ「短編集」と書いたのかというと、タイトルに「18の物語」と書いてあり、18の物語をそれを読んだ女性の心理を描いている。実際にとある老人から女性に依頼されたのだが、女性もさる […]

ウミガメみたいに飛んでみな

仕事においても、プライベートにおいても「うまくいかない」時に遭遇することは少なくない。人によっては特に「挫折」と呼ばれる経験をしてしまい、心が折れそうになることもある。もちろん「心折れる」状況によっては一人で立ち上がることができる一方で、立ち上がれないようなこともある。特に後者は周囲の「支え」や「励まし」が不可欠である。 本書はそのような状況に陥る若者たちを描いている短編集である。就職活動から恋愛 […]

おとぎカンパニー 妖怪編

明けましておめでとうございます。本年も「蔵前トラックⅢ」をどうぞよろしくお願いいたします。 新年最初の書評はこちらです。 —- 本書はタイトルにある「おとぎカンパニー」三部作の3つ目にあたる一冊である。おとぎ話に出てくるキャラクターが会社を構えて、活動を行うというようなショートショートと呼ばれる一冊であるが、本書は「妖怪編」のため、古今東西の妖怪たちが会社をつくって活動をするというもの […]

百年と一日

「さよならだけが人生だ」 これは元々井伏鱒二の言葉で有名のイメージだが、中国大陸における唐の時代において干武陵と呼ばれる詩人がつくり、井伏鱒二が意訳したものである。しかしいつしか井伏鱒二が発した名言として有名なものとして挙げられる。 もっとも日常の中で、どうしても「出会い」と「別れ」がある。その中でも長い人生の中でたった一日なのかも知れないのだが、一日の出来事の中では、人生のターニングポイントとな […]

ママナラナイ

本書のタイトルにある「ママナラナイ(ままならない)」は辞書を引いてみると、 思いどおりにならない。自由にならない。「大辞林 第四版」より とされている。人生はどうしても思い通りに行くことはなかなか難しい。そう考えると誰しもが人生は「ままならない」とも言える。 それはさておき、物事にしても「ままならない」とおもえることがたくさんある。本書の主人公は不動産会社に勤めているのだが、仕事にしてもプライベー […]