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短編集

世事は煙の如し 中短篇傑作選

本書のタイトルの一部である「世事」とは、 「1.世の中の事。処世の事。  2.僧が、通常の食事以外にとる食事。  3.世帯のこと。家事。また、食事。」(「広辞苑 第七版」より) とある。食事という意味合いが多いのだが、実際には「家族」や「世帯」といったものがあり、男女の関係を表している。男と女の関係は全く関係ないように見えて恋人同士や夫婦など、紐解いていくと色々とある。 本書は男女関係を基軸にした […]

ラジオ・ガガガ

私自身テレビはあまり見ない。その代わりラジオを聞くことが頻繁にある。ごく最近ではニコニコ生放送で行われたり、インターネット配信しているようなラジオもあり、それを聞くことが多くなったのかも知れない。テレビのように見ることによって行動を奪うことなく、何かをしながらの片手間に情報を得たり、面白く聞いたりすることがあるため、重宝している。 本書はその「ラジオ」をテーマにした短編集であるのだが、取り上げられ […]

スクロール

本書は短編集であるのだが、その短編集は「青春」と言う言葉がギュッと詰まっている短編集と言える。短編一つ一つには学生や社会人、といった舞台や年齢層は異なるものの、一直線に仕事やプライベートを突き進むというような状況にあることを感じ取れる。 本書のタイトルである「スクロール」は何を意味しているのか、短編集のタイトルの一つであるのだが、仕事の場では思い通りに行かずくすぶっていた中で事件が起こり、そこから […]

赤へ

人間における「本当」というのは何か、そこには「本性」というのがある。もっともそれが表れるのは極限の状態、それも「生」と「死」と言う言葉に直面するような場面によって出てくるのかも知れない。 本書はその「生」と「死」を描いた短編集である。その生死はなんとも生々しく、なおかつ不穏さもはらませているような部分も多くある。しかも生死との出逢い方もそれぞれ、年代もそれぞれでありながら、その「それぞれ」さが読ん […]

小型哺乳類館

色々な動物が存在するのだが、その中では小さなかわいい動物が存在するという。そもそも小型の哺乳類にはどのような種類があるのか、小さな哺乳類を主軸とした12の物語である。 もちろん小動物であるため、かわいさもあり、なおかつ独特の動物の生態も描かれているのだが、実際に小動物なのかと思いきや、マンモスなど口が裂けても「小動物」の部類に入らないような動物まである。 とはいえ、小さなマンモスであれば小動物と言 […]

BB/PP

何か「バーバパパ」のようなタイトルのように見えるのだが、ある言葉の略であり、「Blue Beard」と「Purple Pubes」の頭文字を取ったものである。日本語に直訳するのはエチケットの関係から省くのだが、ある意味コードネームのようなものであることが窺える。 本書はタイトルも含めた短編集であるのだが、人工知能があるなど「SF」の要素も含まれている。 しかし本書はSF作品のみならず、叙情的、なお […]

虹の向こう

本書のタイトルを直接英訳すると「Over The Rainbow」とある。もちろん表紙にも記載があるのだが、「オズの魔法使い」を連想するようなタイトルである。 本書は4編の短編小説である。その短編は一つ一つ本書のタイトルの一部、それにも似たようなタイトルが並んでいる。 ミステリー作品が4つあるのだが、いずれも謎の解き方が明快でありながらも、一気に読め、なおかつ一つ一つがつながっていないながらにして […]

肉小説集

肉というと色々な肉がある。主立ったものでいうと、豚肉・牛肉・鶏肉が挙げられるのだが、他にも私の好きな羊肉、鹿肉、猪肉など種類を挙げるだけでもキリがない。 その肉をいかにして小説にして行くのか本書を手に取るときに首を傾げ続けてきたのだが、短編集の中で必ずと言ってもいいほど「肉」が出てくる。一見何も脈略のないように見えて、実はそれぞれの肉と共にストーリーが組み込まれている。 そう言う意味では極めて斬新 […]

謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル)

「謎が謎を呼ぶ」と言うのはミステリ小説の常套句であるのだが、その常套句らしさを出しているのが本書と言える。本書は短編集であるのだが、他の短編集と異なる要素がある。それは「全編完全に自作ではない」ことにある。とどのつまりオリジナル小説もあれば、海外のミステリ短編を著者が翻訳したものも2編含まれている。 その海外ミステリもオリジナル作品に似せるようにし、なおかつミステリ好きにたまらない短編を取り上げて […]

心臓異色

文字通り「心臓移植」のことを表しているのだが、もっともスーツ姿の大泥棒がある女性との出会いが足を洗うこととなった話と、本書のタイトルにある心臓移植をした男が恋愛をしながらも心臓移植前のオーナーを追ったなどの6編の物語から成り立っている。 現実のように見えてあたかもファンタジー小説の様相を見せており、1編1編が特徴的なファンタジーを描いており、なおかつ奇想天外な物語と現象でもって、本書を面白くさせて […]