TAG

選書

寅さんとイエス

見るからに特異なタイトルである。後者はキリスト教における絶対神として崇められている存在である一方で、前者は渥美清演じるフーテンの露天商であり、口八丁で様々なトラブルに巻き込まれながらも、強く生きる人間である。 全く共通点のない二者だが、実は意外な所に共通点が存在する。それは「風貌」と「ユーモア」である。疑わしいかもしれないが、その根拠について本書の中身に入っていこうと思う。 第一章「「人間の色気」 […]

「いろはかるた」の世界

「かるた」というと、有名なものでは、6月まで放映されたアニメ「ちはやふる」で取り上げられたほど有名な百人一首がある。これは平安時代に詠まれた和歌が100首取り上げられており、取った枚数を競うゲームである。 「かるた」と言えば、もう一つ「いろはかるた」がある。これは昭和40年代に一大ブームが起こり、現在は下火となっているものの、正月を中心に子どもたちに親しまれている。本書は「いろはかるた」とは何か、 […]

明治神宮~「伝統」を創った大プロジェクト

JR山手線の原宿駅を出て少し歩くと明治神宮がある。毎年正月になると初詣客でごった返す姿は、正月の風物詩としてニュースで取り上げられる。 明治神宮には明治天皇と昭憲皇太后(しょうけんこうたいごう)が祀られている。そもそも明治神宮が作られたのは1915年、昭憲皇太后が崩御された1年後の事である。 本書は明治神宮ができるまでの経緯と、東京、ひいては日本としての明治神宮の存在について考察を行っている。 第 […]

遠野物語と怪談の時代

夏はそろそろ終わりを迎えるが、夏になると「怪談話」をよく聞く。「怪談」は落語の世界でも良く出てくるものとして「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」や「怪談 牡丹灯籠(かいだん ぼたんどうろう)」といった、いわゆる「怪談噺」がある。童話の世界でも怪談は存在しており、有名どころでは小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)がよく知られている。 日本にも怪談にまつわる伝説が存在しており、柳田國男をはじめ多くの民俗 […]

天下無敵のメディア人間~喧嘩ジャーナリスト・野依秀市

「言論界の暴れん坊」「反骨のジャーナリスト」 と様々な異名を戦前・戦後にまたいで活躍したあるジャーナリストがいた。 その男の名は「野依秀市」。ジャーナリストとして日本のタブーを映し続けただけではなく、「三田商業界」「実業之世界」「やまと新聞社」など多くのメディア機関を創立した実業家としての顔も持つ。その一方で徹底した「反体制」を敷き、何度も収監され、戦後には、多くの書籍・メディアがGHQの検閲に引 […]

靖国神社の祭神たち

ちょうど68年前の今日8月15日は、大東亜戦争(太平洋戦争)が終結した。全国各地で戦没者慰霊が行われる。 と同時に戦没者慰霊として靖国神社に参拝する方々もいる。国民の中には国会議員もおり、閣僚もいる。かつては首相も公式参拝していたが、国際事情もあってか参拝しなくなった。 この靖国神社の参拝を巡り中国・韓国をはじめとした国々は非難の対象にしている。その理由はA級戦犯が祀られているからであるという。し […]

大学教授の資格

日本には様々な大学が存在するが、大学の数と同じくらい「大学教授」も存在する。大学教授もさることながら、準教授や助教とよばれる方々は教鞭にたつような免許を持っているのかと言うと、そうではない。大学教員の免許は小中高校と違い、存在しないのだという。 そう考えると大学教授は得体の知れないような存在のように見えてしまう。本書は大学教授の役割と資格について「謎」と呼ばれる部分を中心に紹介している。 第1章「 […]

ハイエク ―「保守」との訣別

日本もそうであるが、アメリカやヨーロッパ各国では形は違えど、「資本主義」によって経済は回っていると言える。資本主義といえども、様々なものがあり、「自由資本」や「社会資本」といったものまであるのだが、本書で紹介されるハイエクこと「フリードリッヒ・ハイエク」は自由市場をもとにした資本主義論者であると同時に、批判者でもあった。また、今日の経済にある「自由資本主義」の根幹を定義した論者としても知られており […]

カネと文学~日本近代文学の経済史

私の周りには様々な「作家」がいる。ある人は「あまり儲からない」、またある人は「儲かるツール」として扱われている。ただ、共通しているのは、「名刺」として広く自分の名前や考えを知らせるツールとして「出版」がある。 その「出版」を通じて、自分の作品や主張を広める人のことを「文士」を呼び、そしてその文士たちが集う世界のことを「文壇」と呼ばれるが、かつて「文士」や「文壇」と呼ばれるところは「貧乏」の代名詞だ […]

音楽とは何か-ミューズの扉を開く七つの鍵-

「音楽とは「音」を「楽」しむためにある」 これは私が高校時代、吹奏楽部の先生に教わった言葉である。音楽の世界を去ってからもその言葉は今も信じている。 私は中学・高校と吹奏楽を、大学ではオーケストラの部活やサークルに入り、音楽漬けの毎日だった。もっと言うと小学5年生からの器楽隊も含めると、実に12年もの間、傍らにはいつも「音楽」が会ったように思える。 その「音楽」とはいったい何なのか。今ではクラシッ […]